アジアカップ 2019準決勝(イラン代表 × 日本代表) | ロメロの言いたい放題

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●アジアカップ 2019準決勝(イラン代表 × 日本代表)

サッカー日本代表はAFCアジアカップ2019(2019.1.28)の準決勝でイラン代表と対戦し、

大迫勇也の2ゴールと原口元気のダメ押し弾により3×0で勝利し、見事に決勝進出を果たした。

 

相手が攻撃型だろうと、守備型だろうと、システムが5バックだろうと4バックだろうと、

同じように試合を立ち上げる。

森保一監督は、対戦相手の特徴に合わせた選手の使い分けも、

交代カードを除けば、全く変えようとしない。

そして、看板チームを出した後は、試合の展開に応じて修正していく。

チームのベースから、できないこと、通用しない戦術を捨て、片付けていく。

 

トルクメニスタン戦では、左サイドに原口元気を張らせて幅を使えるように修正。

サウジアラビア戦は、割り切って守備固め。今回のベトナム戦も、

後半は縦に蹴らず、ポゼッションをリズムアップして、一列ずつ崩すように修正した。

そのタイミングは、スコアや試合状況によって異なるが、

前半の終わりから後半開始にかけて行われることが多い。

 

大きく捉えるなら、今大会の森保監督のゲーム戦略は、そのままぶつけて場当たり修正です。

 

基本的にはピッチ内で選手が柔軟に対応し、

それでどうにもならない部分は、監督が出て修正します。

遅まきの交代カードも使って。

むしろ、このようなピッチ内のアドリブを鍛えるために、

どの試合でもとりあえずそのままぶつけるを実践しているとさえ思えます。

 

準決勝のイラン戦は、総合的に試される試合でした。

対戦相手の長所と短所が、あまりにもハッキリしているため、

場当たり的な修正だとしても、シンプルに考えやすいです。

その結果として、日本が偏った戦略になっても、むしろベターでさえありました。

 

だが、イランは違う。

 

攻撃、守備、個人、組織連係、インプレー、セットプレー。

相反するあらゆる要素を、バランス良く備えた、完成度の高いチームです。

イラン代表は、まさに優勝候補筆頭でした。

森保一監督が鍛えてきたはずの対応力を試すには、絶好の機会でありした。

 

アジア最強と目され事前予想では日本より評価の高かった、

最強イランが敗れた裏側に、準々決勝・中国戦での成功体験があったのではないでしょうか?

 

今大会を12得点無失点で準決勝まで危なげなく勝ち進んできたイラン代表。

アジアでは39戦無敗、FIFAランクもアジア最高位の中東の雄が優位に試合を展開すると予想されていました。

 

結局最後までイラン代表は、日本の守備陣を崩せませんでした。

 

イラン代表は、前線のFW⑳サルダル・アズムン(Sardar AZMOUN)めがけてロングボールを蹴る単調な攻撃が多かった。

『前半途中、普段のイランならDFラインでボールを繋ぐところで、GK①アリレザ・ベイランヴァンド(Alireza BEIRANVAND)が前線に長いボールを蹴ってきた場面があった。イラン代表は、準々決勝で中国に3×0で勝ったが、それは⑳アズムンへのロングボールを中国DFがミスしてくれたことで大量点につながっています。この成功体験がイラン代表の選手達の頭にあるのではと感じた』展開でした。

 

前線FW⑳アズムンを置き、シャドー左③エフサン・ハジサフィ(Ehsan HAJSAFI)、左21アシュカン・デジャガー(Ashkan DEJAGAH)を配置した。そして、右サイドハーフ⑱アリレザ・ジャハンバフシュ(Alireza JAHANBAKHSH)、左⑪ヴァヒド・アミリ(Vahid AMIRI)を起用した。中国戦では、左シャドーに⑪アリミを起用していたが、日本戦でアウトサイドに配置した。そして、インサイドに③ハジサフィを配置した。イラン代表は、サイド攻撃でカットイン、カットアウトする戦術をとる。所謂「差し金の動き」です。

 

そして、ロシアW杯まで、左サイドハーフには、⑩カリム・アンサリファルド(Karim ANSARIFARD)、または⑭サマン・ゴッドス(Saman GHODDOS)を起用していた。何故日本戦に限って⑪アリミを左サイドハーフで起用したのか?謎である。

 

私の考えであるが、

③ハジサフィをインサイドに入れて、一つはアウトサイドにカットアウトする動きを期待したことと、もう一つは左だけのロングスローを左右対応する事ではないか?ただそれだけのことだけという事であらば左サイドの攻撃が単調になり酒井宏樹、堂安律の攻撃に繋げてしまったのではないか?

 

しかし、日本代表もイラン代表の戦術を分析している。

右サイドバック酒井宏樹、左サイド長友佑都が引き出されない。

 

また、イラン代表の選手起用にもロングボールを後押しするような点があった。

しかし、イラン代表の一番の誤算は、日本代表CB吉田麻也、冨安健洋の牙城を⑳アズムンが崩せなかった事です。

日本代表「(日本のCBの)22吉田麻也、⑯冨安健洋」には中国DFと同じようなミスは期待できなかった。

 

カルロス・ケイロス監督は、選手達に『中国戦のようなことは起こらない』事を理解させる戦略に変更すべきであった。

監督というものは、前の試合で成功した事が頭に残るものです。

また、同じ東アジアの日本代表を同じように考え過ぎたことに問題があると思います。

すぎたからこそ、その点に釘をさしておくべきだった。

そうでないと、相手が違うのに無意識レベルで同じことをしてしまう。

イランの前戦での成功体験と、それを踏まえた心理的マネージメントの欠如により、

日本にとってやりやすい展開になった可能性があると考えられます。

 

後半イラン代表は、⑩アンサリファルドを交代で出場させようとした。しかし、思い止まり、その直後に日本代表に得点を許した。

イラン代表は、守備時には前線⑳アズムン1人で中盤の守備が5枚になる。システム的には、4---1なのだが、日本代表トップにボールが入らないように5枚配置した。しかし、日本代表中盤⑥遠藤航、⑦柴崎岳は、相手中盤の横並びを崩すように立ち位置を変えた。イラン代表もアンカーに⑨オミド・エブラヒミ(Omid EBRAHIMI)が居れば⑮大迫勇也に簡単に入らないのだが、⑮大迫勇也がDFMFの間に移動して、相手DFを剥がす。要するにイラン戦は、「大迫型(α)」タイプの戦術で、⑨南野拓実が自由に展開する事ができた。大迫型は、クロスから点を取るシーンが少ない。ゴールのほとんどは中央突破や、グラウンダーの崩しから生まれる。

 

しかし、⑳アズムンがアジア最強FWとするならば、⑮大迫勇也は世界でも戦えるキャパシティを持ち合わせている。一番の凄さは、ボールを受けた時に相手DFの背後の展開をイメージできることです。今までのFWは、ボールを受けて123タッチして前の動きを見て展開するものだが、前を向く前に展開がイメージされているので、⑨南野拓実、21堂安律の動きが活かされる。⑮大迫勇也は、「懐が深く」、「競り合いに強く」、「ヘディングが強い」そして「決定力」がある。本当にやっと出てきた世界で通用するFWです。

 

しかし、攻撃を支えているのも守備の構築度、完成度の結果です。

この大会海外移籍で所属クラブチームの調整から大会に召集されていない昌子源(トゥールーズ.FC)。

また、上田直通(サークル・ブルッヘ)。

そして、鹿島アントラーズに入団した「関川 郁万(流通経済大柏高校)」など

有望なセンターバックが育成されつつある。

簡単に競り合いで負けない。

スピードで突破されない。

11で負けない。

ワールドスタンダードな選手が発掘されてきた。

 

以前にも述べたようにこのまま育てば「冨安健洋」時代は10年続くだろう。