鍋田敬子 作
福音館書店
商店街のすみっこにあるお稲荷様には ひみつがありました。
たあちゃんのうちは、商店街でうどん屋をしています。美味しいうどんで
お昼どきにはたくさんのお客が来て、お店はいつも大繁盛しています。
ある日、幼稚園から帰ってきたたあちゃんの前に、
見慣れない男の子「こんた」が現れます。
おやつがわりのたあちゃんちのうどんを食べさせてくれと頼みます。
うどんを食べて満足したこんたは、たあちゃんを家に招待するのです。
そこは商店街のすみっこにある、お稲荷様の祠のなかでした。
ちょっと不思議な世界へ。
毎日 お稲荷さんにお参りしている家族の願いが
うどんやさんの商売繁盛を叶えていますが、
家族の一生懸命さもあってのことですね。
まさに 企業努力ですよ。
大阪生まれの私は きつねうどんが大好きです。
小さいころ 毎週 音楽教室に天六まで通ってました。
その帰り 天六商店街で母と入るお店で食べるのがきつねうどんと
バッテラでした。
注文すると お姉さん もしくは おばさんが
「 のだ いっちょう テラ いっちょう 」 と
厨房に向かって元気よく 声をとばします。
「 おっ 」 みたいな返事が返ってきます。
伝票には 手書きで のだ 1 テラ 1 と書かれています。
きつねうどんが しのだうどんともいうって ずっと
あとで 知りました。
たあちゃんのうどんやさんを読んで
そんな昭和のエピソードを思い出しました。