『ふたりのシンデレラ』 (鯨 統一郎) | エンタメ演劇の劇作家演出家の奇妙な日常

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O-MATSURI企画merrymaker主宰。 脚本家・演出家。 ドイツ文学修士(ゲーテ『ファウスト』)。 元・演劇集団キャラメルボックス脚本演出補。(過去作はいくつか、ブクログにて電子出版してます。 http://p.booklog.jp/users/kumabetti )

ふたりのシンデレラ (光文社文庫)/鯨 統一郎

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文中に、古巣の劇団の名前が出てきて、妙にドギマギした。

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物語の設定が、小劇団なんですね。

小劇団なんですが、すごいです。

脚本家、演出家が別々にいて、マネージャーがいて、役者は5人で、美男美女だらけ。

そして、美女がふたり、主役の座を狙って相手を貶めようとして……。

うらやましい!

いやいやいやいや、いやいやいやいや。

といっても、そこじゃなくてね。

うらやましい! のはどこかというと。

もう一人、本業は医者だけど道楽の芝居に有り余る金を出資する男性、つまり劇団のパトロンが出てくるのだけど、これがうらやましい。

有り余る金を、道楽で芝居につぎ込む?

つぎ込みなさいつぎ込みなさい、さあ、僕の芝居につぎ込みなさい。

湯水のごとくに使いまくって、楽しませてあげますから。

しかも、劇団の方針、作品内容、配役には一切ケチを付けないとか、どんな神様だ。

神様だ! ネ申だ!

いいなあ。(本音)

金さえあればなあ。(ぼやき)

金くれよ。(脅迫)

面白い芝居、作りますよ。(約束)

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本編の謎は、さすが鯨統一郎氏一流の、人を食った解決。

一人八役。こういうことだったとは!

お見事としか言いようがありません。

お楽しみあれ。

レビュー登録日 : 2012年05月15日