ふたりのシンデレラ (光文社文庫)/鯨 統一郎
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文中に、古巣の劇団の名前が出てきて、妙にドギマギした。
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物語の設定が、小劇団なんですね。
小劇団なんですが、すごいです。
脚本家、演出家が別々にいて、マネージャーがいて、役者は5人で、美男美女だらけ。
そして、美女がふたり、主役の座を狙って相手を貶めようとして……。
うらやましい!
いやいやいやいや、いやいやいやいや。
といっても、そこじゃなくてね。
うらやましい! のはどこかというと。
もう一人、本業は医者だけど道楽の芝居に有り余る金を出資する男性、つまり劇団のパトロンが出てくるのだけど、これがうらやましい。
有り余る金を、道楽で芝居につぎ込む?
つぎ込みなさいつぎ込みなさい、さあ、僕の芝居につぎ込みなさい。
湯水のごとくに使いまくって、楽しませてあげますから。
しかも、劇団の方針、作品内容、配役には一切ケチを付けないとか、どんな神様だ。
神様だ! ネ申だ!
いいなあ。(本音)
金さえあればなあ。(ぼやき)
金くれよ。(脅迫)
面白い芝居、作りますよ。(約束)
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本編の謎は、さすが鯨統一郎氏一流の、人を食った解決。
一人八役。こういうことだったとは!
お見事としか言いようがありません。
お楽しみあれ。
レビュー登録日 : 2012年05月15日