「グラスホッパー」に引き続きまたまた伊坂幸太郎♪これも昔に映画化された作品を見たことがあったんですが残ってるイメージとしてはかなり重い話でラストもどうなったか覚えてない位で原作の方はどうなんだろうと興味があったのをようやくチェックです♪
レイプ被害者が妊娠し堕胎せず生まれた子供を中心に展開するお話なので映画化作品と同様にかなり重い話と思いきや、かなり軽快な語り口でサクサク読めちゃう♪読み始めたらあっという間でもう一晩かからず読み終えてしまいました♪「春が二階から落ちてきた」で始まり同じ一文で終わるお話に猛魅了されまくりでした♪
もう涙目になっちゃういいエピソードやセンテンスがテンコ盛りでガンジーの名言やネアンデルタール人とクロマニョン人、桃太郎の新解釈や未来から来た男などなど本当にグッとくるクスっとできるの絶え間ない波状攻撃な感じでした♪いいエピソードの数々はどれも優劣付けられないんですが唯一と云われれば自分は泉水と春の母親の競馬場での賭けのくだりが印象的でした。被害に遭って異性に恐怖を感じていた筈の彼女がこのままの自分では母親として役不足だと思い切った手段に出てその賭けに見事勝ち抜けたんだと想像出来てもう涙目になりました♪
それから登場するキャラ達ももう面白過ぎで、「すべて遺伝子で決まる」を否定する弟想いの泉水を筆頭に見掛けからは想像できない芯の強い父や兄を自分を幸福に導くお守りと実は崇めている筈の春、そして一番ウケたのはやっぱり夏子さんでした。www探偵?の黒澤や「神様のレシピ」他の伊坂作品にも登場するのは気が付きましたが序盤で泉水が友人と居酒屋で出会った女は何だったのかな?と気になります。
序盤で示されていた「紛失した薬」があんな形で回収されたのはもう、まんまとやられたって感じで最高♪兄弟で挑む放火事件の謎やその解明に乗っかってくる病床の父親に気を取られて全く注意を払っていませんでしたから♪タイトルの「重力ピエロ」も映画化版を観た時はさっぱり訳が分からなかったんですがこの原作を読み終えて大納得♪
このお話にどんな顛末を付けるのか?「お前は社会と家族のどちらに許されたいのか?」でビジネスホテルの眼光鋭い親父が再登場した時のホッコリ感は最高の収め方♪重力に逆らった泉水を大賞賛出来ました♪
「重力ピエロ」 オススメ度 ★★★★