地元は新宿まで電車で20分足らず。
交通の便がよく非常に住みやすい地域です。
そんな私の地元(N)には、N病院というその地域では少し大きめの病院がありました。
私も子供の頃は癲癇の治療でよく通っていました。
そのN病院から少し離れた場所に、
旧N病院というものがありました。
昔から地元にあり、その建物自体は私も何度も見ていたのですが、それがかつて病院だったなんて言われるまで全く気付きませんでした。
見た目は赤茶色の外壁で、円柱の塔のような形であったため病院なんて思わなかったんです。
うろ覚えですが、窓は異常に少なく何とも淋しい建物だったと思います。
使われていた時代は、いわゆる結核などの伝染病の隔離病棟でした。
そこが使われなくなりフェンスで囲まれ出入禁止の看板が立てられるようになりました。
何度も取り壊しが計画されましたが、原因不明の事故によって中止が続いていたため、ずっと異様な雰囲気で建っていましたね。
そこに私の友人(当時小4)は興味半分で遊びに行ったんです。
フェンスをよじ登って敷地内に入り、錆びて脆くなったドアをこじ開けて中に入りました。
中は少ない窓から入り込む少ない明かりだけで、とても薄暗く、ひんやりしていて、ベッドや医療器具が散乱していました。
ここからは友人の感覚なんですが、中に入った瞬間身体中の骨が抜かれたかのように身体が軽く感じたようです。
外にいる時より軽快に動けることに楽しさを感じて、しばらくピョンピョン跳ねたり、飛び降りたりして遊んでいたようです。
そして建物の中を探索していると、上へと続いている螺旋階段を見つけました。
友人は何の躊躇もなく階段をスタスタ登って行きました。
登り切ると大きな観音開きの鉄の扉がありました。
左右の持ち手が一本の鎖で巻かれていて南京錠がしてあって壊すのは無理そうでした。
しかし
よく見ると鎖の巻き付きが緩く、持ち手を手前に引けば中が覗けると思った友人は鉄の扉を少し開けました。
少し開いた隙間から覗くと、中はベッドや器具が綺麗に並べられていて下の部屋とは全く違う光景でした。
すると奥の方のベッドの上に、何かが包まっているような白い布が少し見えました。
友人はそれをしっかりみようと身体をドアに押し付けて更に覗き込もうとしたその時、部屋の中から突然生暖かい風がすごい勢いで吹き出しました。
友人はその風に生暖かさと何とも言えぬ寒気を感じて急いでその場から逃げました。
さっきまで軽かった身体の感覚はいつの間にか重くなっていて、這い出すように病棟を出る。
そして何とかフェンスをよじ登って敷地から飛び出した瞬間、
友人は車に跳ねられました。
友人はしばらく入院しました。
入院したのはN病院。
病室の窓から旧N病院が見えてしまうので、友人はカーテンを閉めたままで数ヶ月間入院しました。
現在では旧N病院は取り壊され、N病院も老朽化のため取り壊されました。 終