源義綱・・・この時、佐渡に流され、入道となっていたが、元はと言えば源氏の大将・八幡太郎義家の弟で、超大物の武将だった。義綱は3人から事情を聴き、越後を救うため、総大将になることを引き受けた。
永長元(1097)年、義綱は佐渡を出て、寺泊に着き陣を構えた。義綱が寺泊に入ったことが知れると、黒鳥を怖れて散り散りになっていた越後の人々が続々と集まってきた。
寺泊のすぐそばの間瀬に居を構える豪族・間瀬入道看幽。近くの寺に越後の人々が集まり、反撃の気勢を挙げているのに、動こうとしない。実は、一人娘を黒鳥に奪われ、その妻にされていた。娘を案じて動けない看幽に対し、出雲崎城主・山本泰氏は、
「このままでは越後の裏切者になってしまう」
と説得。看幽は、ようやく義綱軍に参加することを決意する。
看幽の財力と船を手に入れた義綱は、海と陸の二手に分かれて寺泊を出発した。遂に越後軍の反撃が始まったのだ。
横越軍治・・・黒鳥の重臣。子供の頃から山を駆け回り、ヒヒやクマを相手にして育ち、親兄弟まで打ち殺した男である。
義綱の出陣を知り、越後の武将、古井川右近・分田七郎・三ッ竹五郎は、横越の城を焼打ちにする。
夜の闇にまぎれて逃げ延びようとする横越軍治は、百姓の手に掛かって討ち取られた。
横越の近くの、能代の城を守る、眞鳥次郎正任。黒鳥の従兄弟で、これも大悪党。義綱軍は眞鳥次郎正任の守る能代の城も奇襲で落としてしまう。
「何!?能代も落ちた?義綱め!捻り潰してやる!出陣だ!」
五十公野を出て、能代へ向かう黒鳥軍は、猛スピードで進撃し、阿賀野川の岸辺に着いた。
「こんげふ~けとこ、馬なんて入れらんねぇです。」
「馬鹿者!行くんだ!行け!!船はないのか!?義綱が皆隠してしまった?ええい!百姓を集めて筏を作らせろ!」
「モタモタするな!早く作れ!」
ようやく阿賀野川を渡った黒鳥軍は、待ち受ける義綱軍と激戦になり、戦いは一進一退、なかなか勝負がつかない。