忘れ得ぬ歌ぱーと712「修二会」 | 遊遊のブログ

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修二会

作詞・作曲:さだまさし

春寒の弥生三月花まだき
君の肩にはらり 良弁椿
ここは東大寺 足早にゆく人垣の
誰となく独白く南無観世音 折から名残り雪

君の手は 既に凍り尽くして居り
その心 ゆらり他所にあり
もはや二月堂 天も焦げよと松明の
炎見上げつつ何故君は泣く
雪のように火の粉が降る

走る 火影 揺れる君の横顔
燃える 燃える 燃える おたいまつ 燃える


過去帳に 青衣の女人の名を聴けば
僕の背に 君の香りゆらめく
ここは女人結界 君は格子の外に居り
息を殺して聴く南無観世音 こもりの僧の沓の音

ふり向けば 既に君の姿はなく
胸を打つ痛み 五体投地
もはやお水取り やがて始まる達陀の
水よ清めよ 火よ焼き払えよ この罪この業

走る 火影 揺れる あふれる涙
燃える 懲える 燃える 松明 燃える
走る 火影 揺れる あふれる涙
燃える 燃える 燃える 松明 燃える


➡️1993(平成5)年10月25日にリリースされた、さだまさしさんソロ19枚目のアルバム「逢ひみての」の収録曲で、このアルバムのタイトル「逢ひみての」は、11月から翌年3月までの、デビュー20周年記念コンサートツアーのタイトルでした。

この曲は、東大寺で三月に行われる「修二会」を題材にした曲で「五体投(五体投地)」「南無観世音」等の仏教的なフレーズが目につきます。

東大寺の「修二会」は「お水取り」とも言われ、これを過ぎると暖かくなる…と京都に住んでいた頃は聞かされていましたが、北海道に来て全く次元の違う寒さに驚いたものでした。

「過去帳に青衣の女人の名を聞けば…」ですが、そもそも「過去帳」と言うものが歌詞に入っているのが不思議ですが、これにまつわる怪談話があり、鎌倉時代に集慶という僧が過去帳を読み上げていたところ、青い衣を着た女の幽霊が現れ、
「など我が名をば過去帳には読み落としたるぞ」
つまり「なぜ私の名前を読まなかったのか」と尋ねたのである。集慶上人が声をひそめて「青衣の女人(しょうえのにょにん)」と読み上げると女は満足したように消えて行った事に由来しています。
現在でも過去帳読誦で「青衣の女人」の部分は声をひそめて読むそうです。

この曲はダイナミックな構成で、特にギターはアコギなのにスゴい迫力です。
それゆえコピーしがいがありましたが、石川鷹彦さんのアレンジですから、なかなか上手くは行きませんでした。

この曲は、うちの奥さんは知らなかったみたいで(修二会そのものを知らない)昨夜ギターで弾いた時に「誰の歌?」と聞いてきまして「さだまさしだよ」と言うと驚いていました。

まあこの人は、そもそもフォーク系はあまり聴かない人ではありますが…。

73年前の今日は、東京下町大空襲の日でした。
「修二会」では世界平和も祈願されます。
戦陣に倒れた方々の法要も行われます。

この尊い祈りが、亡くなられた方々の慰めであってほしいと願うばかりです。

水取りや 氷の僧の 沓の音
芭蕉