２０２２年 アン・テジン監督
韓国でロングランヒットを飛ばし
百想や青龍などで２５の賞を受賞した作品
これは面白いに違いないと
公開初週に見に行きました
夕方だったにもかかわらず席はかなり埋まっていました
監督は長編初作品ではありますが
「王の男」で助監督を務めた方
なるほどドラマティック
さすがの完成度でした
盲目の鍼灸師 チョン・ギョンス（リュ・ジュンリョル）
王の御医イ・ヒョンイク（チェ・ムソン）に
才能を見込まれ宮中で働くことに
実在の王仁祖（ユ・へジン）
韓国ドラマファンにはおなじみの光海君を
クーデター（仁祖反正）で追い出し王についた人
割とドラマなどでは悪く描かれることが多い
時を同じくして
清から人質として連れられていた
ソヒョン世子（キム・ソンチョル）と世子媛（チョ・ユンソ）が
戻ってくる
ちょっと仲良くなるギョンスと世子
この女優さん・・・最近どこかで…と思ったら
サムダムリのスカーフ助手の子！
ところが
あっという間に世子は病気になり
その治療にあたった御医に同行したギョンスは
暗闇であることを目撃する
「朝鮮に戻った王の子は、ほどなくして病にかかり、命を落とした
彼の全身は黒く変色し、目や耳、鼻や口など七つの穴から鮮血を流し
さながら薬物中毒死のようであった」
という
記述（朝鮮王朝実録記）がある歴史上のミステリーを
斬新に解釈・脚色した映画です
主人公のギョンス
最初に盲目の鍼灸師として登場するのですが
制作がCJeSということで
所属俳優のリュ・ジュンヨル君が主演なんでしょうけど
結果オーライですね・・・彼はうまいよね安心してみていられる
もしかして見えてるの？
やっぱり見えてない？とギョンス自身に疑問が・・・
ほどなくしてその秘密がわかるのですが
なるほどだから題名が「梟」なのかと
蛍光灯のない朝鮮王朝時代の
太陽の明るい光→薄明り→薄暗闇→暗闇の使い方が絶妙
明るいときの登場人物たちの表情が
暗闇ではどう変化するのか
そして
薄暗闇では私も目を凝らしてスクリーンを凝視
何気ないようですごく計算されている・・・
照明さん？演出力？の力かな
暗闇では「音」に敏感になる
特に「音」がもう一つのテーマのように扱われている感じで
漢方薬を切る・煮る・絞るなどの音
鍼灸の針が柔らかいおなかのツボに
入っていく音など
まるでギョンスの耳になったかのようにいろいろな
音の情報が入ってくる
そう、ついつい集中してみてしまい
緊張感を伴うんですよね
見える・聞こえる・触感など
感覚を刺激
また
それらを丁寧に描いている映画だと思います
一晩の宮中逃走劇・・・
暗闇から夜が明け
明るい太陽のもとへ出るという象徴的なエンディングへ
いや、ここで絶対死んでるでしょう当いう場面もありつつ・・・
ところで
この映画でもう一つ印象に残ったのは
ユ・へジンが王様を演じたこと・・・
いやもう全然韓国を代表する俳優さんになってらっしゃいますが
もう王様を演じる年になったのね・・・
彼が出てきたときにはちょっと意外・・・
ユ・へジンにとっても「王の男」が出世作だったからかもしれませんが
逆に仁祖の狡猾さがはまってたナイスなキャスティングでした
あと、割と元気で明るい女性を演じることが多いアン・ウンジンちゃん
悪女ともいえる王の側室の役
それからソヒョン世子にキム・ソンチョル君を持ってくるなど
わりと斬新な配役
が、見終わってみるとみんなはまってたよね
登場人物はそれほど多くないのですが
大監役にチョ・ソンハさん
ギョンスの同僚にパク・ミョンフンさん
などがしっかり脇を固める
見ごたえも充分
おすすめ映画でした
（できれば暗く集中できる劇場で見てほしい）
（うっちゃん）
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