1℃上げるとシーズン約940円節約

 

 

 

 

ダイキン工業の調査によると、熱帯夜にエアコンを使用する人は約8割。

 

 

「朝までつけっぱなし派」は46%に対し、「タイマー切設定派」も34%もいて、熱中症リスクが叫ばれる中、意外に節約志向な人が今だ多いことがわかりました。

 

 

熱帯夜の睡眠時の悩みは、「暑くて目が覚める」45.5%「なかなか寝付けない33%「寝汗で寝具が湿って不快」24%と、多くの人が熱帯夜に眠りの悩みを抱えており、電気代が気になって我慢している人も決して少なくないようです。

 

 

朝までエアコンを付けっ放しにした場合の電気代は約23円(1時間当たりの消費電力(冷房時)は平均92Wで8時間使用した場合)。

 

これを高いとみるか安いとみるかは人それぞれですが、熱中症のリスクを軽減し、快適に眠るためには、多少電気代が高くつくことは目をつぶる必要があるのではないかと思います。

 

 

うちは、冷房を26~27℃設定にし、就寝30分くらい前から朝まで付けっ放し

 

そして、麻の敷パッドで寝ています。

 

お陰で寝床に入る頃には、麻のヒンヤリした感触が背中ごしに伝わってきて朝まで超快適。

 

エアコン頼りは電気代が気になる方は、少し高めの設定で寝ても背中に熱がこもらず、朝まで快適に眠れます。

 

 

「付けっぱなし」×「麻の敷パッド」は最強です。

 

 

ちなみに設定温度を1℃上げると、シーズン約940円電気代の節約となります(8畳目安)。

 

 

ダイキン工業「熱帯夜の熱中症対策とエアコン使用に関する意識調査」

https://www.daikin.co.jp/-/media/89C75E98B41B42898381A43CDDBDE51C.ashx?fbclid=IwY2xjawEWhDFleHRuA2FlbQIxMQABHQvwhJCk63OrGYQTpBO9WLg_RAd4HHnXE6wpZjdX7oGu2i4Ou66oYjbKng_aem_aFsNHZZ6JIcqcJwQ07J2pw

 

 

 

リゾートビュー ふるさと号

 

 

最近は、観光列車なるものが全国各地を走っていますが、先日、長野の方を走る『リゾートビューふるさと号』なる観光列車に乗ってきました。『ふるさと号』は、ひとことで言うと、車窓から信州の美しい自然の風景を堪能できる観光列車。長野から松本経由で南小谷(新潟県との県境付近)までを約3時間で走り、途中、日本三大車窓とも言われる姨捨駅ホームからの雄大な景色や、北アルプスの峰々や仁科三湖の美しい光景を車窓から満喫できます。

 

 

 

──そんな『ふるさと号』での道中、ちょっと腑に落ちない出来事がありました。

 

 

松本を出たあと、安曇野の穂高駅で30分ほど途中下車し、穂高神社に参拝した帰り、境内のトイレに立ち寄ると、誰かが忘れていった黒革製の財布があることに気付きました。

 

恐らく、少し前に訪れた観光客が忘れたのでしょう。失礼とは承知で中身を確かめると、何と、ざっと現金が7~8万円、その他カードや免許証等、大事なものも入っているではありませんか!

 

コンマ0・5秒…、いやいや、0・1~0・2秒くらい、酒池肉林の豪遊をする自分の幻影を見た気がしましたが、さぞかし持ち主は困っているに違いないと、邪な煩悩を振り払い、届け出ることにしました。

 

しかし、警察まで届けていては、発車時刻に間に合わない。辺りを見ると、境内の売店のようなところに、若い巫女さん姿の女性がいたので、そこで預かってもらえないか訊いてみることに……。

 

 

「すいません、この財布がそこの男性用のトイレに忘れてあったんですが、こちらで預かってもらえませんか?」

 

「あ、はい。こちらで管理してるトイレですので、こちらの方で大丈夫ですよ」

 

「良かった。じゃあ、これ、お願いできます?」

 

「あ、はい、わかりました。では、確かにお預かりさせていただきます」

 

 

ほっとしたと同時に、僕は、この後、こんな展開になるものと、想定していました。

 

 

「あ、あのぅ、誠に失礼とは存じ上げますが、せめてお名前と、ご連絡先をお聞きしても宜しいでしょうか?」

 

「いやいや、ほんの通りすがりの者なんで、名乗るほどの者じゃありませんよ」

 

「そ、そんな訳には……」

 

「それなら、しがない旅の行商人とでも記憶に留めておいておくんなせい」

 

「それでは落とし主にわたくしが叱られてしまいます。せ、せめてお名前だけでも…」

 

 

と、こんな押し問答が二、三度あり、最終的に……。

 

 

「……負けたよ。あんたが叱られたとあっちゃー、こっちも夢見が悪いってもんや……。あっしの名前は……」

 

 

と、ここで始めて素性を明かすという絵を思い描いていました(いつの間にか時代劇になってますが……)。

 

しかし、その後、巫女さんの口から出てきた言葉に、僕は絶句して立ち尽くしました……。

 

 

 

 

「それでは、お気をつけて~」

 

 

 

 

 

間抜け面を下げて突っ立ってる訳にもいかず、

すごすごとその場を立ち去るよりありませんでした…。

 

 

その言葉を最後に、明らかに巫女さんは、会話を完結した空気を漂わせており、呆然と立ち尽くす僕を尻目に、他にまだ何か御用でも?……と、言わんばかりにキョトンとしているではありませんか……。

 

 

さすがにそれ以上、間抜け面を下げて突っ立っている訳にもいかず、僕はすごすごとその場を立ち去るよりありませんでした……。

 

 

何も謝礼を期待してたわけじゃないんです(た、たぶん……)。

 

 

でも、財布が無事、落とし主に返ったとき、中身が減ってたとか、カードが足らないとか、トラブルが生じることもあるし、届け出た人間の心情として、持ち主に財布が返ったことを見届けたいじゃないですか。

 

 

思い起こせば20数年前、僕も京都の公衆電話ボックスに財布を忘れたことがありました。その時、九州から観光に来ていた紳士が届け出てくれていて、無事、財布が戻ってきたという稀有な体験をしたことがあります。

 

だからもし、落とし主に無事財布が戻り、お礼の連絡があったならば、そんな心あたたまるエピソードの一つも披露し、「あの時の男性の行いが、今回の僕の行いを導いてくれたんですよ。だから、感謝するなら、僕よりその男性に感謝して下さい」と、紳士面してカッコ付けてやろうと思っていたのに!

 

 

事実は小説より奇なり、思惑通りにいかないものです。

 

 

あれからかなり時間が経過しましたが、僕は未だ、腑に落ちない気持ちを拭い去ることができず、落とし主が探偵ナイトスクープに依頼し、竹山探偵がいきなり目の前に現れるんじゃないかなどと、あらぬ妄想を抱いて過ごしています。

 

 

自分でも極めて小市民的だなぁと自笑しつつも……。

 

 

皆さんも、こんな奴に財布を拾われたら、さぞかし面倒と思ったことでしょう……。

 

 

どうか、忘れ物にはくれぐれもご注意を!

 

 

 

リゾートビューふるさと号の行程図。

姨捨駅では鉄道ファンにはたまらない「スイッチバック」という

列車が後ろ向きに走るという体験もできます。

 

 

 

(今回の投稿内容はは2014年 当店情報誌『眠りの楽屋裏通信』vol.47に掲載したものです)

812形車両

 

このとき乗れませんでしたが、数年後再び函館を訪れたとき、

この812形車両に偶然乗ることができました。

木製でつくられた内装もレトロ感満載で素敵でした

 

 

 

 

以前、函館のハンバーガーショップラッキーピエロのイラストを紹介しましたが、今回の函館市電も10年以上ほど前に描いたもの。

 

函館市電は、路線距離わずか10.9kmの短い区間を走る路面電車。

 

レトロ感満載車両が走っているかと思えば、現代的な車両、近未来的なデザインの車両なども混在して走っており、現在と過去が交錯するかのよう。

 

 

イラストは、昭和37年~40年にかけて新潟鐵工所で製造された812形車両

 

 

丸みを帯びたデザイン、くすんだモスグリーンと象牙色の配色が何ともノスタルジックな気持ちを駆り立て、思わず描いてみたくなりました。

 

 

丁度、台風が近づいてきており、道路に写し出される、函館の街の灯がとても美しかった印象が残っています(そこまでの描写力がないため、描きやすいもの選びましたが…^^)。

 

 

赤レンガ倉庫、八幡坂、函館山からの夜景を堪能し、本場函館の塩ラーメンに舌鼓を打ち、今となっては美しい思い出です(おいおい、ホント仕事してたんかいっ!?)、

 

 

「オレが悪かった…。戻ってこーーーい!」

 

 

「早く寝んと、明日置いてくぞ!ひのとり、乗れんでもええんか?」

 

「いやや…。はやちゃんねる~」

 

 

先週末、電車好きなせがれをそう言ってまんまと早く寝かせつけ、翌日、大阪難波9時発、せがれが乗りたがっていた近鉄特急「ひのとり」に乗車し、名古屋まで行ってきました。

 

近鉄名古屋駅に到着した「ひのとり」

 

 

 

目的は、昨年秋に誕生した娘のフーカーのお披露目を兼ね、嫁(様)の実家がある長野へ帰省させるためですが、僕は仕事があるため、名古屋で特急「しなの」に乗り換え、見届けたところでお役目御免、大阪にトンボ帰り。

 

指定席まで荷物を運んだら列車から降り、プラットホームで一人お見送り…。

 

1カ月近く滞在するため、正直、こちらもちょっぴりセンチメンタルな気持ちになり、前の晩こんな会話をせがれと交わしていたことを思い出します。

 

 

「明日で父ちゃんもしばらく見納めやでー」

 

「えー、とうちゃん、いっしょにいかないのー?」

 

「あぁ、父ちゃんは仕事があるからお留守番や。寂しいか?」

 

「…さびしい、とうちゃんもいっしょにいこ?」

 

「すまんなぁ、一緒に行くことはできんのや」

 

「いやや、いっしょにいこーよ~!」

 

「すまん、はや坊…それは無理なんや…」

 

 

昨夜のことを考えると、ここからドラマチックな別れになる予感がしていました。

 

 

13時発の特急「しなの」長野行。発車アナウンスが流れ、発車音が鳴り響いてドアが閉まり、泣きじゃくるせがれを必死になだめる嫁(様)の姿に、心が打ちのめされそうになる僕。せがれはこぼれ落ちる涙を拭おうともせず、小さな手を車窓に重ね、「とうちゃん、とうちゃん…」と何度も呼びかけますが、こちらの声は、届くはずもなく、列車が動き出すにつれ、せがれの瞳に映る僕の顔は次第に遠ざかり、視界から消えていく…。

 

 

 

別れのプラットホーム、そんなドラマのワンシーンのような別れを思い浮かべていました。

 

 

しかし、現実は小説とは異なるものでした。

 

 

泣きじゃくるどころか、まるで保育園のお友達への別れ際の挨拶…。

 

軽く手を振り、「バイバーイ!」と、清々したかのような満面の笑顔…。^^

 

 

せがれにとって、父ちゃんとのしばらくのお別れより、「しなの」に乗れたことのワクワク感が完全に勝っていたよう。^^

 

満面の笑顔で手を振るハヤター。軽すぎやろ…

 

 

まぁ、それはそれでしょうがない…。

さ、かえろ、かえろ…。

 

 

3歳半を過ぎた頃から、一人で過ごせる時間も増えていき、せがれも着実に成長している証、それは親として喜ばしいことだと考えるようにしました。

 

長野で「じいじ」と「ばあば」、そして美しい虹の出迎えを受けるハヤター

 

───大阪に戻って静まり返った自宅に戻ると、手狭だと感じていた部屋が家族がいないだけでこんなに広く感じるのか、嫁に逃げられてしまった旦那の気持ちとはこういうものかと思い知らされ、長野方面に向かいこう叫びたくもなります。

 

 

「オレが悪かった…。戻ってこーーーい!」

(いや、逃げられたわけではないですよ、ホント…^^)。

 

 

約1カ月後戻ってきたとき、もしかしたら父ちゃんのことをすっかり忘れてしまっているのではないか、そんな不安に苛まれながら毎日を過ごしています。^^

 

 

名古屋までは奮発して「ひのとり」プレミアムシートで!

 

 

お陰で帰りは節約し一人高速バスを使う羽目に…(涙)、。

 

父ちゃんのことなどすっかり忘れ「しなの」の旅を
満喫するふたり


[i]

フィンランド症候群から学ぶべきこと

 

1970年代のフィンランドで行われたある研究が、私たちの健康に対する常識を覆しました。

 

働き盛りの男性1222人を対象に、「徹底した健康管理指導グループ」と、「何も指導しないグループ」に分け15年間追跡調査を行ったところ、驚くべき結果が出たのです。

 

一般的に、健康管理をしっかりすれば長生きできると思われがちですが、この研究では、定期健診や栄養指導、禁煙など、徹底的に健康管理を行ったグループの方が、かえって早死にしていたことがわかったのです(健康管理指導67人・指導なし46人)。

 

 

これは「フィンランド症候群」と呼ばれ、健康に良いとされることをすべて実践しても、必ずしも長寿になるとは限らないことを示唆しています。

 

 

もちろん、これは古い研究報告、現代医学や生活習慣とは異なる部分もあるでしょう。

 

しかし、この結果が示唆するのは、健康のためと、自分を追い詰めすぎるのはかえって良くないということ。

 

 

例えば、身の回りを見渡しても、オーガニック食品しか食べない、お酒もタバコも一切しない、定期健診も欠かさないという人が、必ずしも長生きしているとは限らないし、逆に、お酒を飲んだり喫煙する人でも、長生きしている人はたくさんいます。

 

 

「健康のために死んでもいい」なんて冗談もありますが、健康に意識しすぎるあまり、健康に取りつかれ、雁字搦めになってしまっては本末転倒。

 

 

そもそも、世の中には、星の数ほどの健康法があり、どんなに素晴らしい健康法を実践している人でも、不老不死はおろか、150歳、200歳まで生きたという話は聞いたことがありません。

 

人はいつかは寿命を迎えるんです。

 

個人的な結論としては以下の通り。

 

 

極端に健康に気をつけすぎるのも、全く気にしないのもNG。

 

大切なのは、何事もバランス、健康への意識の高さと死亡率には図のようなU字曲線を描く相関関係があるのではないか睨んでいます(まったく微塵も科学的根拠はありません、念のため…^^)

 

 

 

 

ゆったりと大らかな気持ちで、そこそこ健康に気を配る。

 

 

健康に良いことばかりが、必ずしも、健康に直結していているわけではないんですね…。

 

たぶん、。。^^

久しぶりに里帰りするような気持ちで…

 

第1作『男がつらいよ』鯉迂回が1969年。渥美清さん他界に伴い
一旦シリーズを閉じた48作『寅次郎 紅の花』公開が1995年、その後、
第49作『寅次郎ハイビスカスの花」と第50作『お帰り寅さん』公開

 

 

「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又、帝釈天で産湯をつかい、性は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発しやす……」

 

 

ご存知、『男はつらいよ』シリーズの山本直純氏のテーマ曲とお馴染みの名口上が聞こえてくると、懐かしさと安堵感に包まれ、一連のコロナ騒動もまるで別世界の出来事のように思えてくるから不思議です。

 

 

最近は暗いニュースが多くて、動画配信で昔の映画を好んで観ていますが、この【寅さんシリーズ】は、ストレスの溜まる自粛生活には打って付け。

 

お約束のタコ社長との取っ組み合いの喧嘩。マドンナとの出会い、そして失恋。

 

他愛もない日常に他愛もない出来事、そこに一喜一憂する登場人物たち。

 

展開としてはドタバタ喜劇ですが、この作品の面白さは、何と言っても渥美清氏演じる【寅さん】というキャラクターの魅力に尽きます。

 

 

普段は、粗野で乱暴な寅次郎が、マドンナに恋をした途端、初心で純真な中学生のように豹変

 

立て板に水の如く口上をまくしたてカッコ付けてたかと思うと、縁側で障子のヘリに寄りかかろうとしてズルっと滑って勢い余って庭に転げ落ちたり敷居に足の指先を打ち付けて痛がったり、笑いというものが、ヒステリックな感情の落差から生まれることがこの作品を観ているとよくわかります(渥美清さんのコケ方がまた絶妙なんですよね)。

 

 

「魅力ある人間は、自己顕示と自己憎悪が双子のように繋がっている」という幻冬舎の見城徹氏の名言がありますが、寅さんも、粗野で乱暴なだけなら単なる【野蛮な人】ですが、そこに純粋かつ、繊細な部分が同居しているからこそ、観ていて感情が揺れ動かされ、人として魅力的に映るんですね。

 

 

寅さんシリーズは、子どもの頃から親しんできましたが、今回改めて自分がこの一連の作品に【安心感】を求めていたことに気付きました。

 

 

寅次郎は相変わらず恋をし、馬鹿をやらかし、再び旅に出る。

 

 

寅次郎から滲み出る哀愁は、俳優、渥美清氏が

自分の人生を犠牲に【寅さん】を演じ切った
「哀しみ」によるものだと思えて仕方ありません…

 

 

 

観る者は、その劇中の出来事を温かく見守り、そして最後は「やっぱり日本人っていいなぁ」と清々しい余韻を残しながら物語は幕を閉じる。

 

それはあたかも、田舎に帰省し、親戚たちと再会するような心地良い安堵感

 

『とらや』は、寅次郎の故郷であると同時に、観る者の心の中に【故郷】として存在し続けるもの。

 

 

1969年のシリーズ誕生から1995年の渥美清氏他界に伴う一旦のシリーズ終了の27年間(これは奇しくも僕の青春時代とほぼ重なります)、時代がどんなに変わろうとも、いや、時代が著しく変化したが故に、【寅さん】が変わらず存在し続けていてくれたことが、心の支えになっていました。

 

今年はコロナ禍が起こり、オリンピック延期、世界中が大混乱に陥りましたが、こんなご時世だからこそ、メディアからあえて距離を置き【現実逃避】する時間も大切かと思います。

 

センセーショナルに伝え、人々の目を釘付けにしてスポンサーや視聴者からお金を頂くのがマスコミの「お仕事」ですが、でも、そのことで、私たちが不安や恐怖に苛まれ、満足に眠れず、免疫力を低下させてしまっては本末転倒…。

 

 

心が沈みがちになったときは、久しぶりに里帰りでもするような気持ちになって『寅さん』に【会いに】行ってみては如何でしょう。

 

彼は、何時如何なるときも、温かく我々を迎え入れてくれるはずですから…。

 

 

 

 

 

 

(今回のお話は2020年『眠りの楽屋裏通信』vol.62に掲載したものです)

日本の原風景とは異なる「特別な場所」

 

今年10月、軽井沢を訪れたのは、たまたま見た『ブラタモリ』でやっていたという安直な理由から……。標高1,000メートル前後の高地に位置し、平均気温8.2℃。そこは、日本の原風景ともまったく異なる「特別な場所」でした。

 

軽井沢で初めて建ったという別荘、ショーハウスは誰でも無料で入館することができます。

 

 

カラマツ等の針葉樹の緑と苔の緑が見事に調和し、冷ややかな湿気を帯びた空気が立ち込めている。視覚・聴覚・嗅覚、そして皮膚感覚を通じて脳が心地良いと感じる、そんな場所……。

 

軽井沢を訪れたのは始めてでしたが、資産家たちがこぞってこの地に別荘を持ちたがる理由がわかるような気がしました。世俗の垢で薄汚れた心を解き放つには、これ以上の場所はない。

 

ここにいると、そんな気さえしてくるからです。

 

 

 

軽井沢は元々、中仙道六十九次の宿場町として栄えた街。

 

それが明治に入り、碓氷峠の開通や参勤交代の廃止などに伴い寒村化が進み、衰退の一途を辿っていたところに、かの福沢諭吉の家庭教師も務めていたというカナダ人宣教師、アレクサンダー・クラフト・ショー氏が訪れ、この地を気に入り、明治21年に別荘を設けたことで外国人が次々に別荘を建てて発展。

 

戦後のカラマツなどの針葉樹の植林によってつくりだされた軽井沢の風景。

ショー氏が別荘を建てる前の軽井沢一帯は、農作物に恵まれず、人の流れから
遠ざかった荒れ地だったというから驚きです

 

 

しかし、この地に足を踏み入れてみると、ここには日本の原風景に必ずあるはずのもの、田んぼや畑が広がる光景がまったく見当たらないことに気が付きました。そう急峻な地形でもないはずなのに何故?

 

その答えは、後になってわかりました。

 

軽井沢の土壌の大部分は、天明の大爆発により、浅間山が噴火した噴出物が降り積もりできた土地。そのため、ph5.2と酸性度が強く農業に適さず、永住には不向きの地だったんです。

 

実際、軽井沢の農地面積は街全体のわずか2%にすぎず、そのことが避暑地、別荘地としての発展を遂げたことに大きく関与していたんですね。

 

それにしても、関西でいうと近江八幡などもそうですが、西洋人が街の建築や設計に携わり、その発展に寄与したところは、彼らの美意識が色濃く反映されていて、街の景観が本当に美しい……。

 

彼らが、その土地のことを、そこに住む日本人以上にこよなく愛していたことが容易に想像できます。実際、この軽井沢の「顔」ともなっている、針葉樹の林も、戦後の植林によって計画的につくりだされたものだと言います(それまでの軽井沢は荒れ地だったそうです)。

 

結局のところ、その土地の美しい景観をつくりだしているのは、そこに住む人々の、その地に対する深い愛情以外にないんですね。

 

 

標高1,000メートル級の高地、浅間山の噴火、農業に不向きな土壌、偶然訪れた外国人の来訪と寵愛……。

 

これら偶然が重なった結果、今の「軽井沢」の反映がある……。

 

 

そこは、日本の原風景ともまったく異なる「特別な場所」でした。

 

 

 

コケ類が多い尽くすように繁殖している様子がとても幻想的でした

 

撮影は当時愛用していたXZ-1

 

 

(今回のお話は2015年当店情報誌『眠りの楽屋裏通信』vol.50に掲載したものです)

ま、まだ、心の準備が…、。。(汗)

 

「すぐに来て!」

 

切迫した声で病院にいる嫁(様)から呼び出されたのは、年末に差し掛かった11月末のことでした。

 

予定日は12月初旬でしたが、1週間前の今朝、破水があり、外回りの予定をすべてキャンセルし、嫁(様)を病院まで送った後、何も手につかないまま自宅待機。

 

 

夜の11時になってようやく、その連絡が入ったのでした。

 

病院に着くなり、

 

「ご主人様は、ここでお待ちください」

 

と助産師さんからの指示がありました(そこが分娩室前だったことは、後から知ったのですが…)。

 

このコロナ禍で、面会は完全謝絶、立会いも難しいと病院からお達しがあり、恥ずかしながら、内心、ほっとしていたというのが正直なところでした…。

 

 

こういうシーン、ドラマで何千回見たことか。

 

オロオロと落ち着かない様子で待機する男。

 

そこに、「オギャー、オギャー」という産声が病院内に響き渡り、「おぉ、産まれたか!」と、涙ながらに喜ぶ男。

 

 

まさか、自分がこの歳になって、それを体験することになるとは思ってもいませんでしたが…。

 

「ドライブレコーダーという愛情があります」というCMがありましたが、
頭の中ではすっかり井浦新さんになりきってました…

 

 

 

しかし、出産までは長いひとは、10数時間掛かることもあると聞いていたので、ここからが長丁場。

 

この場で一夜過ごす覚悟も決めていましたが、ものの20分も経たぬうち、中に入るよう声が掛かり、面喰いました…。

 

 

「えっ、もう中に入るの?」

 

「生まれるまで、ここで待っていればいいんじゃないの?」

 

 

まさか、立会うとは想定してなかったので、嫁(様)に何と声を掛け、何をすればよいか、まったく見当が付きません…。

 

 

よしんば立会うにせよ、

 

 

「本当に、その覚悟があなたにありますか?」

 

「その選択で大丈夫ですか?」

 

「ファイナルアンサー!?」(古すぎですね…)

 

 

などと、こちらの意思を念入りに確認してくれるものと思っていたのですが…。

 

 

ち、ちょっと待って、ま、まだ、心の準備が…、。。(汗)

 

 

なかなか決心がつかず、入口付近で躊躇していると、再び有無を言わさぬ助産師さんからの指示があり、分娩室に入ると、嫁(様)は、既にベッドにスタンバイしており、こちらに気付くと、不安と安堵が入り混じった顔で、精いっぱいの笑みを浮かべました。

 

 

「どや、大丈夫かー!?」

 

「さすがにきつい…」

 

「頑張れよ…」

 

 

ほんと、男に言える台詞はそれくらいのこと…。

 

時折、陣痛の痛みにかをを歪める度、初産の嫁(様)がどれほど不安だったか想像すると、先ほどまでの自分が恥ずかしくなり、一部始終を見届ける覚悟が決まりました

 

 

 

 

────それからのことは、余程テンパっていたのか、正直、あまり覚えていないのですが、確かなことは、翌日深夜12時31分、新たな生命が誕生したということ。

 

 

陣痛から出産まで2時間半ほど。

 

周囲が拍子抜けするくらい安産でした(住吉さんに安産のお参りに行ったお陰ですね)。

 

 

「おめでとうございます。3千200g、男の子です」

 

「よく頑張ったな…」

 

「うん…」

 

 

 

嫁(様)のお腹の中で約10カ月。

 

 

ようやく対面することのできたわが子は、オギャーオギャーと泣き叫び、この世に生を受けたことを未だに受け入れられず、戸惑っているかのようでした。

 

 

母子共に無事、生まれてきてくれたことに感謝していると、助産師さんから抱いてみるよう促され、恐る恐る抱きかかえてみると、ズッシリ重く、責任の重さを痛感しました。

 

 

しわくちゃの猿のようなかをしたわが子、名前を「ハヤト」と命名しました。

 

 

これを書いてる時点で月例7カ月半。

 

身長65.5㎝、体重8.5kg。

 

 

これまで友達が自分の子どもを可愛がる姿をみて【親バカ】と呆れていましたが、いざ、自分の子どもができるとやはり可愛いものですね。

 

 

 

コロナ禍真っ只中に生まれた、わが家の希望の光です。

 

 

 

(今回のお話は、2021年 当店情報誌『眠りの楽屋裏通信』vol.63に掲載したものです)

 

 

 

 

 

追記

 

このとき誕生したハヤターも現在3歳8カ月、立派な“悪ガキ”に成長しました!^^

 

 

 

夜行バスでよりよく眠るには?

 

 

皆さん夜行バスに乗ったことはありますか? 僕はこのところ夜行バスを使って旅することにハマっています(笑)。でも、そんな夜行バスも初めて乗ったときは散々な経験をしたものでした……。

 

 

あれはまだ僕が20代の前半の若かりし頃……。

 

当時、勤めていた会社で一週間の東京出張を命じられました。

 

当時勤めていた会社は、舶来のレースやサテンなど、特殊な生地を販売していたため、出張ともなれば、サンプルがぎっしり詰まったトランクケースをいくつも出張先に送り、帰る際に返送するのが常でした。

 

ところが、その東京出張の最終日、返送する荷物の中に、うっかり新幹線のチケットを入れて送ってしまうという失態をやらかしてしまったのです。

 

東京駅新幹線の改札前で、どこをどう探しても出てこないチケット……。

 

気付いたときはあとの祭り、時間は夜の8時を既にまわっていました。

 

しかも、滞在中、何かと誘惑の多い東京で、所持金の多くを使い果たしてしまい、手持ちは9千円しか残されていませんでした(この時代ATMも夕方には閉まってたんですね……)。

 

新幹線のチケットを再購入するお金もなく、仕方なく上司に電話し、事情を説明するも、けんもほろろに「明日は大事な会議があるから、ヒッチハイクしてでも戻ってこい!」と一刀両断にされ、ほとほと頭を抱え込んだのでした……。

 

 

そんな時、思いついたのが、ちょうどその頃から台頭し始めていた夜行バスを利用するという手段でした。

 

 

今の時代なら、スマホでちょちょいと検索すれば、簡単に料金や行き先など調べられますが、当時はそんなドラえもんの道具のようなものがあろうはずもなく、シワシワの九千円を握りしめ、取りあえず大きな駅、新宿なら何とかなる!(願望)と信じ、山手線に飛び乗ったのでした。

 

新宿駅に着くと、ベテラン刑事の如く猛烈な勢いで、街行く人々に【聞き込み】をし、その甲斐あって西口付近から大阪行きのバスが出てるという【手掛かり】をつかみました。後はお金の問題と、席を確保できるかでしたが、運賃は、当時で8,400円でカツカツセーフ、座席も、幸運なことにキャンセルが発生し、奇跡的に大阪行の夜行バスに乗ることができたのです。

 

まぁ、乗ろうと思って乗った訳ではないですが……(笑)。

 

 

ところが、初めて乗った夜行バス……。

 

座席は三列シートでゆったりとしたリクライニング機能は、当時からあったのですが、こう見えて、わりと【デリケート】な僕にとって、とても眠れる環境とは言い難いものでした……。

 

バスの大きなエンジン音と振動、それに長時間座ってると、腰がどーんと重たく、だる~くなってきます。

 

夜行バスに乗られたことのある方ならご存じと思いますが、昼の便と違い夜行便は、カーテンは閉めきられ、「就寝時間」となると【消灯】となり、車内は暗闇に包まれます。

 

トイレ休憩も「就寝時間」に入ると基本的にありません。

 

もちろん、車内にはトイレが完備されてますが、暗闇の中、前後左右に大きく揺れる狭い車内を歩き、トイレにたどり着くのも至難の業で、まるで近くて遠い北方領土の如くただ眺めるばかりでした……。

 

結局、闇の中、悶々と重い腰とおしっこを我慢し、一睡たりともできず、翌日、体調の優れない体をひきずってそのまま出勤しましたが、もう二度とこんな経験だけはすまい、そう心に固く誓ったのでした。

 

 

 

──以来、20数年間、夜行バスを避けていました。

 

 

しかし、そんな僕が、去年からもう何度も夜行バスを利用し、長野や松本などに足を運んでいます。

 

もちろん、朝までぐっすり、という訳にはいきませんが、途中何度か目覚めるものの、小1~2時間位なら眠れるようになりました。

 

それもこの仕事に就き、眠るときの姿勢というものを考えるようになったからです。

 

バスのシートで寝るのも、寝床で寝るのも基本的には同じ。

 

体のどこにも力が入らず、姿勢を安定させることが重要で、それには、首と腰周辺にできる隙間をとにかく埋めることがポイントとなります。

 

 

そこで重宝するのが、トラベル用の枕とクッションです。

 

 

 

この二点を使うと、上図のように体の姿勢が安定し、揺れるバスの車内という悪条件下でも、ある程度、楽な姿勢を維持できます。

 

どちらも空気を注入して使用するタイプが嵩張らず便利。百円ショップなどで、手軽に手に入り、耳栓なども合わせて購入しておくと完璧です。

 

あとは、乗車する数時間前からは、水分をなるだけ摂らないこと。そして、普段、寝床で寝ているような「完璧な眠り」を決して望まないこと。仮眠できれば十分……という諦らめの気持も大切だと思います(笑)。

 

 

夜行バスを利用するメリットは、単に運賃が安いことに留まりません。

 

朝イチ着くので、その日を終日使えます

 

また、電車で行くと、遠回りで乗り継ぎが入り、割高な運賃になりがちな区間ほど、路線が運行されているので、かえってバスの方が所要時間も短く、効率的に動けることもあります。

 

少々きつい旅にはなりますが、体力に自信のある方は一度トライしてみて下さい。慣れてしまえば、有意義な旅ができます。 

 

 

 

(今回のお話は、2015年当店情報誌『眠りの楽屋裏通信』vol.48に掲載したものです)

当店のまくら合わせ

 

 

ごめんなさい…。

 

当店では、いわゆる「低反発まくら」は扱っていません。

 

でも、何も高飛車になって低反発まくらは扱わないといっているわけではありません。

 

それにはそれ相応の理由があります。

 

  1. ウレタン素材で汗を吸わないため、ムレやすい。
  2. まくらの高さの微調整ができない。
  3. 寝室温の変化で硬さが変化しやすく、まくらの高さも変わってしまう。
  4. 経年劣化が意外に早く起こるものも多く、ボロボロに朽ち果てていってしまう。
  5. 洗えないものも多く、衛生的にご使用いただくと支障が出てしまう。

 

などの理由により扱わないことにしています。

 

でも、実はもう一つ大きな理由があるんですが、それをここで語るにはちょっと差し障りがありますので、ご興味のある方は、直接お訊ねください。^^

 

当店で扱っているまくらを大別すると、「パイプ素材」のまくらと、「天然素材」のまくら(キャメル毛・フェザー)の2種類。

 

パイプ・天然素材のまくら、どちらにも一長一短があります。

 

当店での「まくら合わせ」には多少のお時間が掛かります(30~50分くらい)。

 

また、いきなり来店されて、店主不在の場合、せっかくご来店いただいても対応できない場合がありますので、どうか予めご了承ください。

 

生意気ですが、「まくら合わせ」をご希望の方は、電話(fax)あるいは、メールにてご予約の上、必ずまくらをお使いになるご本人さまがお越しください。

 

 

詳しくは当店webサイト、まくらページをご参照ください。

まくら | 眠りを知る店 ふとん屋クガ (konyakara-gussuri.co.jp)