難民支援 | エルコのブログ ~ドイツはライン川のほとりで~

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ドイツはライン川の近くに住むエルコが、日常の風景をお届けします

私が働く会社は、学校や幼稚園などに食事を提供するケータリングの会社ですが、それ以外にも難民の食糧支援もしています。

 

慈善ではなく、利益があるからやっているんだと思います。

注文票や配達伝票などもありますから、余った食材を寄付しているのではありません。

時々余った食材を引き取りにフードバンク業者が来ますが、そうでがなく難民が集まって住んでいる所に配達する運転手さんがいて、毎日市内に5か所ある施設に配達しています。

 

覚えてる限りの品を挙げてみますと、牛乳、ミューズリー、ヨーグルト、新鮮な果物や野菜、食パン、菓子パン、数種類のお菓子、5,6種類のお茶(紅茶やハーブティなど)、トルコのパンやしょっぱいヨーグルト飲料(イスラム圏のため)。

これらは全て名の通ったメーカーのものです。

そして更にレンジで温めるだけで食べられる、日本でいうお弁当のようなもの数種類。

オフィスにあるような大きな水のタンク、湯沸かし器に電子レンジも持っていきます。

 

かなり充実していると思います。

ドイツの貧困層が聞いたら暴動が起きるのではないか、そう思うくらいバラエティに富んでいます。

毎日の食べるものに困り、フードバンクに頼る人がコロナ、ロシアのウクライナ侵攻後急激に増えて、フードバンクにはあげられる食料がない、提供が追いつかずやむなく受け入れを制限しているというニュースも耳にしましたから、フードバンクのように自分で取りにも行かず、毎日これだけの食糧が貰えるとなったら、フードバンクを頼りにしている人たちの胸中は穏やかではないでしょう。

 

最初に企業として利益があるからと言いましたが、こういった事業をすることによって助成金や何かが会社に入るとなれば、それは国が難民支援をしていることに他なりません。

自国の困窮している人を支えているのはフードバンクのような民間企業や人、片や難民を支援しているのは国。

2年前、お隣さんが亡くなった家族のお墓に行ったら、ごみ箱を漁っている高齢のドイツ人女性を見て、悲しむと同時に憤慨していました。

自国民がここまでしないと生きていけないのに、難民を多数受け入れてその支援をしている。そんなお金があるなら自国民をまず助けるべきだ!と。

 

そのお隣さんも難民の状況を分かった上でそう言っていました。でも、一理あるなとも思います。

 

私の仕事は主に小学校や幼稚園に運ぶためのステンレス製の大きな器と蓋を洗うことです。

日本の小学校の給食の配膳を思い出していただければ、分かりやすいと思います。

そして、時々ですが湯沸かし器とレンジもきれいにします。

湯沸かし器はカルキがこびりついているので、それを落として外側を拭く。

レンジは中の汚れを拭けば良いだけ……

 

ではないのです、実は。

 

これ、キレイにした後の写真です。

 

扉を開けてビックリ。

物凄い焦げの臭いがして、全面まっ茶色。

何をどうすればこんな風になるのでしょうか。

しかも1台ではなく4台も、です。

これはオーブン機能が付いたものではなく、レンジの機能しかありません。

 

ステンレスの容器をメニューによっては丸ごとオーブンに入れるので、焦げつきができることがあります。それを落とせる超強力な洗剤があり、それをスプレーすると数秒後には焦げが浮き上がって茶色い溶液になります。

それを使っても、ここまでしかキレイになりませんでした。

底の部分は金属なのでよく効きましたが、側面と上面はプラスチックなのでダメなのでしょうか、中まで焦げが入ってしまったものは落とせないのかもしれません。

 

もう一度言いたい。

何をどうしたらこんな風になるんでしょうか?

 

文化や生活レベルの違いで、電子レンジを使ったことがない人がいるのかもしれません。

でも、そういう人だったら扉の開け方さえ知らないでしょうし、そうなると誰かが教えるはずですよね?

教える人は数か月もいるでしょうし、使い方が分かっている筈ですのでこんなことにはならないと思うんです。

基礎知識がない?

金属をレンジにかけて、中で燃え上がらせてしまった?

でも、1度に4台も同じ過ちをするでしょうか?

それに、火が出たらすぐに開けて消火しなければ大惨事になりますし、誰かが止めるのでは???

 

湯沸かし器もそうなんです。

カルキがびっしり、ガッチリ。

トイレの尿石除去剤を使ってカルキを溶かさないと、手でなんかこそげないくらい酷いんです。

お酢なんて、弱くて使い物にならない。

 

では、どうしてそんな風になるかと言うと、横着だから。

最初、難民の施設には水道さえないのかと思っていましたが、運転手さんに話を聞くと水道もちゃんと完備されているそうです。

私の住んでいる地域は比較的軟水のため、数日使っただけでカルキが付くなんてことはありません。

うちだって、電気ポットの掃除をするのなんか半年に一回あるかないかですから。

それが2、3日で真っ白になるのは、ミネラルウォーターの大きなタンクから水を汲んでいるからだそうです。

数メートル歩いて水道まで水を汲みに行くより、そのタンクから水を入れた方が楽だからだそうな。

じゃぁ、どうして自分たちで掃除をしないのか?と言えば、それもまた面倒くさいから。

私たちがキレイにしたものと交換しているので、どうして自分たちで掃除をする必要があるのか?という話なんでしょうね。

レンジだって、使った後に少し拭くとかすれば済む話ですけど、そういった文化や習慣がないというのもあるそうです。

確かに、数年前テレビで見た難民キャンプでは、難民たちがキャンプの現状を訴えたインタビューがありましたが、その中には

 

「ゴミがこんなに溢れかえっているのに、誰も片付けてくれないのよ」

「トイレがこんなに汚くて臭いのに、誰も掃除してくれないの、私たちを人間扱いしてくれない」

と言う人たちがいました。

 

ゴミは分別してない、自分たちのテントの周りにそのまま積んでいる。

トイレだって汚さないようにキレイに使えばそこまで汚くならないし、難民キャンプを管理している人たちだっているんだから、その人たちに掃除用具をお願いすれば良いだけの話ですけど、自分たちで掃除するという概念がないようです。

 

ドイツに来ても良いよという話であって、こちらからお客を招くように「来てください」と頼んだわけではありません。

「命の心配のない居場所を提供します」だけでなく、食料も援助されています。食うには困らないわけです。

その他に何を望むというんでしょうか?

 

難民の皆さんの名誉のために言っておくと、5か所ある施設のすべてがそうなわけでなく、1か所だけ酷いそうです。

その他4か所は自分たちでちゃんと掃除もするそうです。

 

夫曰く、ドイツの政策にも問題がある。

 

難民を受け入れはしたものの、行動の制限があります。

だからドイツでの生活を知らない。

 

・最低限のマナーやルールを学ぶコースを設けて、全員受講させるのが良い(夫談)

 

難民に現金を支給していたことで、それをドイツで使わずに祖国に送るなどをしていた人たちが多数いたため、これからは現金ではなく金券のような、食料や物品と交換できるものを支給することにした。

 

・移民のためのコースがあるように、難民にも言葉や職業を学ぶコースを用意すれば良い(夫談)
・手に職のある人は特例として就業できる措置を取るべき(夫談)
 
いずれ祖国に帰って欲しい国としてのドイツですから、一時的な措置としてはそれが正しいのかもしれません。
 
でも、現実的に考えると、夫の言うことに賛成です。
いつまでも支援するわけにもいきませんし、職人さんたちがすごく少ない今のドイツには、手に職のある人は必要ですし、それでお金を稼いで税金を納めてくれるなら、ドイツにとっても良いわけですし。
ただ問題は、レンジや湯沸かし器を自分たちで掃除する事さえやらない人たちと、勤勉な人たちをどう見分けるかという点です。
まぁきっと、怠惰な人たちは就業のチャンスがあってもやらないでしょうけど。
 
育ってきた文化や風習が違うと、当たり前に思うことも違いますから大変です。
結婚は価値観や文化が違っても本人たちが望んでしてますから、擦り合わせるのはそこまで難しくないでしょうけど、国が決めたことを受け入れるしかない国民としては、感情の処理が難しいでしょうし、だからこそ選挙でAfD(ナチっぽい考え)の支持率が上がってしまうんでしょうね。
 
私は仕事だから無感情でキレイにしますけど、そうでない場合はやっぱり難しいと思います。