宮台真司 大塚英志「愚民社会」 | 気になる映画とドラマノート

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宮台真司、大塚英志「愚民社会」

 


 

 宮台真司はニコニコ動画における対談の後に、対談を聞いている聴衆に対して「あなたは、日本人を愚民だと思いますか?」「また、あなた自身は愚民の1人ですか、そうではないと思いますか?」という愚問を発している。

 


 

 この質問が愚問である理由は、ある国の国民が愚民であるか否かを判定するには、次の諸項目を比較評価しなければ、まったくの個人の思い込みを出ないからだ。

 


 

 愚民度を測る基本項目 以下、すべて、人口比の発生率

 

 1.ドメスティックバイオレンスの発生率

 


 

 2.幼児・児童虐待発生率・所在不明児童数人口比

 


 

 3.老人虐待発生率

 


 

 4.自己破産者件数

 


 

 5.社会福祉受給の不正取得件数

 


 

 6.離婚率

 


 

 7.中学高校におけるイジメ認知件数

 


 

 8.テレビ視聴時間の長さ

 


 

 9.図書館利用実績

 


 

 10.週平均ゲーム遊戯時間

 


 

 11.アルコール中毒、薬物中毒、ギャンブル依存症の罹患数

 


 

 12.交通事故発生率

 


 

 13.ご近所トラブル体験率

 


 

 14.セクハラ・パワハラ被害体験率

 


 

 15.新聞の誤報発生率

 


 

 16.教科書の事実誤認記載率

 


 

 17.古典的熟語、ことわざ習熟度

 


 

 18.万引き、置き引き、窃盗、暴行、ワイセツなどの軽犯罪の発生率

 


 

 19.性感染症罹患率

 


 

 20.水質汚染、大気汚染の悪化度

 


 

 21.一人あたり医療費

 


 

 22.同性愛、他国籍者、少数宗教の信者のテレビメディア登場率

 


 

 23.レンタルビデオ店で貸出し可能なビデオの他国のテレビドラマ、映画自国のドラマ・映画の比率(これが外国のものの比率が高ければ、排他性が低い)

 


 

 24.地上波テレビ放送における外国のテレビ番組の吹き替え放送の比率

 

 この比率が高いと排他性が低く、この比率が低いと、排他性が高い。

 


 

 25.首都圏街頭における、他国に対する憎悪表現を含むデモの発生率

 


 

 26.異なる国籍の高校教師、大学教師と同国籍の教師の比率

 

 外国籍教師が多いと、開かれた社会だといえる。

 


 

 27.詐欺犯検挙件数

 


 

 28.国家賠償請求訴訟発生件数

 


 

 29.再犯率

 

 

 

 30.ニュース番組において、自国を悪として他国を善とする報道と、自国を善とし、他国を劣るモノとする評価を含む報道の対比率

 

 31.世襲議員の多さ

 

 32.マタニティー・ハラスメント体験比率

 


 


 

 最低でも、以上の項目について比較考量しなければ、ある国の国民が特別、有意に、愚民であるかどうかは、判定しようがない。

 


 

 すくなくとも以上の項目は、学歴、知識に関係なく、人間性、自己陶冶、自制心、生きた教養を活かす意欲のあるなしに関わる項目だと言っていい。

 


 

 宮台真司も、大塚英志も、まるで以上の項目の検証とかかわりなく、日本人にトータルにいちゃもんをつけ、日本人こそ、最悪の国民だときめつけようとしている。

 


 

以上の項目を見ればわかるように、世界のどんな国も、とくに賢いといえる民衆はなく、特別に、愚民と言える国民はなく、日本の愚民度は比較的軽度だという他ないのである。

 

 宮台真司は、大塚英志との対談「愚民社会」の中で、なぜ、日本人が特に愚民というべきであるか、エリートが育たない社会であるかという理由を、次のように述べている。

 

 

 

「アメリカの企業経営者は、決算報告などについて不正を行うと刑事罰を課せられて懲役刑を受けるケースが多いが、日本に経営者はいかに、ルーズで不正をしょうとも、ほとんどの場合は、刑の執行を免れる。そのため、日本人には、責任意識が生まれない。これは、戦前戦中から続く日本社会特有の欠陥だ。」

 


 

 しかし、宮台真司は、そのような指摘にもかかわらず、日本の企業が石油危機、円高不況を乗り越え、欧米の製造業を上回る高品質な製品を開発する事を現に達成し得たことに一切言及する事なく、日本は「どうしようもない愚民社会」だと説き、青年たちが、そのような日本の憂うべき状況において、自分はどうすればいいでしょうか、と聞くと、まさにあなたのそのような自分で考えようとせず、人に聞く態度が問題なのだとしたり顔をして見せる。

 


 

 本当は、宮台真司や大塚英志の空ウソを批評的に見抜き、乗り越えることが、一人ひとりが成長するひとつの道筋なのだ。

 


 

 宮台真司は、「日本には家族とは、何か。NGOとはなにか。地域社会と何か。政府とはなにか、という社会の全体像を説明した上で、そこから個人の生き方を探る説明する教育システムがない」「だが、韓国には、ある」と大法螺を吹く。韓国人がそういう教育を受けたというなら、お目にかかりたいものだ。

 


 

 そして、日本人の教養の浅薄さに比べて、中國人は、「三国志」などの教養が、西欧には、キリスト教、ギリシャ文化などの教養が血肉化しているが、日本には、知識をなんらかの強力な価値のために動員し、徹底したリアリティを踏まえて、知識を行使するエリートがいない」と言う。それを言うなら、日本には、平家物語があり、万葉集がある。中国人だろうと、韓国人だろうと、アメリカ人だろうと、古典教養と乖離しつつあるのが、現代人の共通の病であって、カート・ボネガットは、アメリカの青年が急速に聖書の引用によるたとえを理解できなくなっていると指摘している。

 


 

 これは、宮台真司の言うような日本特有の欠陥ではなく、世界的現象だ。