満州事変の頃 続続 | 気になる映画とドラマノート

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満州事変について、早期解決を図りたい日本政府は蒋介石に直接交渉を打診したが、外交に不慣れな蒋介石は国連に、日本対する懲罰的な経済制裁をするように、求めた。これを観ていたアメリカの極東部長は日本側に国際法的には正当性を見ていたし、英国外相も、中国は国債法を知らない、と不快感を示すと同時に、これがむしろ、日本を危険な立場に追い込みかねないのであり、それがかえって蒋介石を窮地に陥らせることになるかもしれないと考えた。

 日本としては、蒋介石が直接交渉で了承してくれれば、満州事変を収束させることができたが、連盟決議されると、清国と妥結して満州を開発した法的正当性が、ドミノ式にくずれるので、中国よりも、むしろ国際世論を気にして、撤退できなくなった。これが、関東軍の勝手な行動を追認する形になり、満州国建国派が力を得る皮肉な結果になった。

 というのも、国債連盟は、英国のように、外交慣れして、国債法を熟知した大国なならばあ、日本の行動が理解できるが、弱小国は、「自国がヨーロッパにおいて同じ立場になったらどうするか」という観点から、中国に同情的に、日本に批判的な立場をとるからだ。

 結果として、連盟の総意は、弱小国の国際法への無理解をもとにした見解が、基調にになる・・・・。

 イギリスは連盟の大多数の国が、日本は中国を斟酌していると非難するのに、対し、英国自身がかつてあらゆる合法的手続きを駆使して、中東、東南アジアに進出しているので、ヨーロッパの不安と日本の問題は別なのだ、と説得を試みたが、連盟の決議は、

 「日本の満州植民は合法ではあるが、駐兵権はないという結論が、最重要問題だった。
 そして、仮に、この撤退勧告を無視しても、罰則はないので、連盟に残ることは、外交上何の問題もないことは、日本政府は知っていた。

 しかし、「あらたに、交戦行動」があった場合は、連盟として制裁するという条項があったことが、決定的に重大な問題になった。

 日本は、満州地域の治安を確保するために、熱河省の平定作戦を計画していたが、自国の考えでは熱河省が満州の治安に関わる範囲内と認識しても、他国がそう思うとは限らないとは思っていた。

 そこで、熱河省の平定作戦を実行すれば、国連の制裁条項に該当する恐れが極めて高い、
 これでは、駐兵権は認めないという決議は、それだけでは、無視するだけでよいことになるが、熱河省の平定作戦となると、話はちがう。いくら自分で、治安のためだといっても、侵略だとみなされれば、制裁を受ける。

 このことに気付いた天皇は、なによりも、国際連盟に残ることが最優先だと考えて、あわてて、熱河省平定作戦を了承したが、あれは取り消したい、と言ったが、側近は、「国策はあくまでも、閣議で決定するもので、閣議が取り消さないものを、天皇が取り消させるべきものでしょうか」と助言して、天皇は焦燥に刈られる。

 日本は、連盟に残れば、熱河省の平定作戦ができず、満州の治安を確保できない。
 連盟を脱退すれば、国際協調主義から大きくはずれるというジレンマに立たされ、結局脱退すれば、制裁を受けないし、国際連盟の多くの国とちがって、アメリカや英国は国際法の条理をわきまえているから、連盟を相手にせず、アメリカ、イギリス、ドイツ、ソ連を納得させる道筋をとりさえすれば大丈夫だろう、と考え始める。