徳川家康 1話 | 気になる映画とドラマノート

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徳川家康 第一回

小山内美江子 脚本の大河ドラマ「徳川家康」は、かつてテレビで見ていた時、なんだか、やたらに「戦の無い世の中」というセリフがたくさんあって、日本の「ベトナム反戦運動」だの「反核運動」だの「基地反対闘争」だの、とにかく、普段は平和を謳歌してグルメやら、テレニのバラエティ、番組、アニメと楽しんでいるくせに、何たるカマトトよ、という思いに上塗りするような、NHKの「平和と夫婦愛」の強調に嫌悪感もあったりしたものだが、今回、見直してみると、なるほど、まちがいなく、「戦の無い世の中」というテーマをいれこんでいるものの、それを超えるといってもいいなんとも知れない魅力がこのドラマにはある。

小山内美江子さん、ものすごい才能の人なんだとわかった。

 10回ほどすでに見たのだが、こんなおもしろい大河ドラマは観たことがない。







この徳川家康の実母の父親の水野の父がおだいに言っていることが、日米関係の暗喩にはなっても、日中関係の暗喩や日韓関係の之暗喩にはならない関係だというのがおもしろい。

というのは、日本には、あきらかに、保守派にも、左翼にも、反米というのがあって、平和主義もまた、アメリカ帝国主義、巨大軍事国家アメリカへの批判が根強い。したがって、よく、アメリカに対して、労働組合が旗をふって、「アメリカは出て行けー」と特に基地の街で叫ぶことがある。

ところが、小山内美江子の描き方は、アメリカと仲良くしょう」と言っていることになるのだ。

観ようによっては、米軍基地受け入れという、本来、主権の譲歩も多少とも伴ったり、兵士の犯罪に憤ったり、ヘリコプターの事故などを心配する事態が、この徳川家康を観ていると、ちょうど、水野家が、娘おだいをかつての敵国に嫁めに出したり、岡崎の領主松平忠邦が、妻おだいを織田信秀の家臣に取られたりといった屈辱が、まるで、日本が、家康のように、いつの日か、屈辱を晴らす日がくるまで、耐えに耐えて強く成長していくドラマとも見えないこともない。

 また、おそらく、この時代、無数にありえた日本人の、親や自分自身が失業したり、病気になって苦境に陥ったときこの「徳川家康の流転の子供時代に境涯」は自分の事とも思えた人たちも多かったろう。

 その点、たしかに、この大河ドラマは、類を絶している異議深い素材であり、小山内美江子は非情にうまく脚本にしていると思う。

 おだいは、「たくましい強い子」を産みたいと思う、というように小山内美江子は描いている。
 これもおもしろいのは、平和主義の自虐史観や、靖国に行くなと中国に言われれば行かない、従軍慰安婦のことではとにかく、なんでもかんでもたしかめもせず、謝罪する、では織田信長も家康もあきれ果てる状態だろう、ということになる。「たくましさ」とはいえないからである。

 むしろ、このドラマは、現代の日本への痛烈な皮肉にさえなっていて、単に、小甘い平和主義ともいえないところがある。