いつも部活で遅いのに、珍しく授業時間前に来られた高2女子と近況についてお話ししました。どうなの?部活の方は。
すると、この前の大会では6位に入賞し、最近そのスポーツがますます面白くなってきているとのこと。
そうだよなぁ、上達すればその分面白みは増していくよな。ところで同じ競技をやっている一高のNはこないだ文系でついにトップに立ったそうだぞと言うと、え~っ!そうなの!Nちゃんすごいな~!と驚いた後、私も負けられない!と言ってパンパンに膨れ上がったカバンから数学の分厚い教材を取り出しました。フフ、良きライバルだな。
ところで勉強の方は最近どうなのかと聞くと、この前の定期テストは結構上がったと言って、順位と点数を教えてくれました。
ほう、その辺なら少なくとも東北大くらいには行けそうだけど大学はどこを目指してんの?の質問には、う~んまだ分からない、だけど東北大なら工学部ですときっぱり。
しかも機械系を志望していて、将来的には医療機器の開発をやりたい、なぜかというと人助けをしたいからで、患者を救うのは医者かなとも最初は思ったけど、最近は高性能な医療マシンが人の命を左右するケースが多いから私はこっちの方がいいと思う、と事例を交えて説明されました。
「はぁ~…そんなこと考えてんの。近いし数学得意だし…で決めたオレは一体なんなんだ。立派だね~。どういう教育を受けたらそうなるんだろう。親が素晴らしいのかな。いつ頃そう思ったの?」
「高1のときかな。家にそういう本…雑誌だったか…がたまたまあって、それを見ていてこれいいなと思ったんです」
ふう~ん…やっぱり環境なのかなぁ。この子のお宅はニュートンとか日経サイエンスとかがリビングに転がっている家なんだろうか。“たまたま”ねぇ…。もしかしてご両親は狙って置いてるんじゃなかろうか。
しかし狙ったとしても高1でそういう雑誌を手にするかなぁ。ウチにも結構ビジネス書が転がってるけどヤツが読むのは漫画ばっかりだぞ。
それにこの子は将来も医療機器メーカーをやりたいと具体的だしなぁ…。ウチなんてヒモ志望だぞ。やっぱり学校じゃなくて親とか家庭環境なんだろうな…ガックリ…
「ところで科目の方は?相変わらず数学は得意なの?」
「まあまあですね」
「じゃあ苦手は?」
「やっぱり古文と英語…かな。古文はもう全然ダメです(笑)」
「古文?この前のテストは何点だったの?」
「定期テストですか?それはほぼ満点です」
「なにっ?」
古文が苦手なのに、テストはほぼ満点。なんで?
女子曰く、学校の古文のテストは簡単に取れる。取れない人はやってないだけ。あれは本文と現代語訳と単語を丸暗記すればほぼパーフェクトを取れる。でもそれは本当の力じゃない。だから私は模試では取れないの、ということを分かりやすく教えてくれました。
「ふ~ん、丸暗記ねぇ…まあホントはそれが結構難しいんだろうけどね。オレはコスパが低いから古文は捨てた。だから入試でも5点しか取れてないし(笑)。でもその代わり英数がほぼ満点だったからいいけどお前はどうするの?英数で他人を圧倒する戦略を取るか、それとも万遍なく古文も拾いに行くか」
すると女子、「自分は評定を取りたいんです」との弁。評定?
「ハイ、だから順位も今より上をともあまり思ってない。まあそうなったらなったで嬉しいですけど私の狙いは別です。周りの人みたくそんなに勉強するヒマがあるんだったら私は部活するし。でも評定は取りたいの。だから勉強するんです」
う…それは最近オレが痛切に思ってることだ。「テストより大事なもの」というブログでも書いた。高校受験で受かるには、定期テストの点や順位などある意味どうでもいい。それより内申を取る方が大事だという話。点と内申がリンクしているならいいけど必ずしもそうではないんだよね。
…でも、大学受験もそうなのかな。大学は内申より点数だと思うけど。
詳しく聞くと、自分はAO推薦で大学に受かりたいのだと言いました。女子の学校は平均評定4.3以上だと志望先のAO推薦を受けられる。もっとも学校の先生には4.6ぐらいを目指せと言われているが。だから古文も、学校のテストは必死に勉強して頑張る。そのおかげでずっと5をもらっている。だから古文はもういいのだ。今の課題は英語表現。ここの数字を上げることが次のテストの目標です、ということを淀みなく語ってくれました。
「『数字』というのはテストの点数のことではなくて評定の数字ね?」
「そうです。科目の成績はテストの点数と平常点で決まるのでそのトータルをちゃんと取るということです」
「いや~…エライ!お前は考えてるね!漫然と生きてない。ちゃんと思考して生きているところが素晴らしい。あ、ところで…」
私は気になっていることを聞きました。「高校はテストの点数と評定はちゃんとリンクしているんだろうね」
「ハイ、しますね。なんでそんなことを??」
「テストで90点取ってるのに評定が3とかはない?」
「ないと思います(笑)」
「実技科目でも?」
「ないですよ。ちゃんと比例します」
「いや、なぜ言ったかというと今の中学はひどくてね。ああ、確かお前はZ中学校出身だったよな。こないだあそこの中2のお母さんと面談をした。体育100点、技術家庭97点なのにどちらも3を食らったんだ。ひどくないか?」
「ああ、ウチの学校はあります、あります(笑)」
「5をバンバンくれる中学校もある中、あそこはいまだ相対評価なのか全体の5%にしか5をくれないらしい。どうなってんの?無知なのかな。100点で3だよ?よほど先生の腹に据えかねることがあったとしても100点取ってんだからせめて4でしょう。実技で立て続けに3なんか食らったらナンバースクールには行けないよ…クソッ!」
その子は中学時代、自分も似たようなことがあったと教えてくれました。
実技で、テストも提出物も授業態度も良かったのに4になった。でも学年通信簿では最終的に5になったというので、どうしてかと聞いたら、「お母さんが学校にどうしてなんですか?と聞きに行ったからじゃないんですかね~」と笑う。へ~っ…、お母さんがねぇ…。
しかし、どうしてこう不条理なんだろう。100点で3て。頑張ってる子供の人生が一教師のエゴに左右されるのはつらい…身が引き裂かれる思いがする。なんとかならないものか…。

