細くて見えない糸 | KUDANZササキゲン「散文と音楽」

KUDANZササキゲン「散文と音楽」

ササキゲンのソロプロジェクト KUDANZ(クダンズ)の日記


多分だけど

私たちはみな 細くて見えない糸みたいなものでギリギリ繋がっているのだと思う

この星の中で生きている私たちには

厳密にいうとそれぞれに時間の観念があり

それぞれが選んだ空間という箱の中で暮らしている


音楽やエンターテイメントは 

異なる価値観をもった多くの人たちを

同じ空間に置く事ができる


国も政治観も宗教観も生活観も死生観も違っていても

ぶつかり合う事なく同じ空間の中で過ごすことを達成させられる


今なぜ多くの場所で分断が起きているか

色んな理由があるかもしれないけれど

人類がこの星に生まれてから

音楽やエンターテイメントは異なる人間同士の融和にどれだけ寄与してきたのだろうと思う

そしてそれらにはまともな補償もされないまま

既にどれだけの人達が職を失い離れていったのだろう


ある点においては 

人類の最大のテーマである融和に対し

生身で体現し続けてきたはずだ


だから 先人達と共に大切に育ててきた何かが

音を立てる事も許されずに壊れていく様は 

筆舌に尽くし難い

幾度も自分なりのステイトメントを持とうとしたが

何も書く事が出来なかった

嫌悪や憎悪を伴った強い言葉が何かを言い切る時

死角にあって切り捨てられたものの事を考えてしまう

今はそういう 答えのない狭間にいるはずだから

目と目を合わせて話すことの大切さを思う


コロナ対策に関しては先んじていたイスラエルがここに来て再度感染者と死者が増えてきているというニュース

インドの集団免疫とその代償を報じるニュースを見て思った

まだ分からないけど 

もしかしたら僕が生きている間の大半は

新たな変異株が出てくるいたちごっこになるのかもしれない

二月に一度ほど ワクチンの追加接種を受け続けるような人生になるかもしれない

そうなると仮定した時

僕はどう生きていくのだろう

どう生きていたいだろう


ずっとそんな事を考えている

重苦しい気持ちというよりかは

諦めの先に何があるのかを明確に見極めようと思っている



私たちは例外なく みんないつか死ぬ

今ぼくのそばにいる人達は 

死んでもいいからそばにいたい人達だ

しゃあ殺しても後悔しないか なんて

散々誰かがこすったような言葉が頭の中に湧いてくる

新たな人との繋がりなど作ることは出来ない今

これまでに繋がったたくさんの出会いを大切にしたいなと心の底から思った

その人達が 会いたいと思ってくれるのなら

ぼくは会って その時間をそれぞれにとって最高に楽しい時間にしたい



死ぬことよりも 相手にうつすのが怖くて

誰とも接触する事が出来ない人もこの世界にはたくさんいるはず

その人たちの気持ちを考えている

この インターネットという世界の中で

相互通行ではなくて 

血の通った何かが自分には届けられるかどうかということを



人はなんで産まれて なんで死んでいくんだろう

ただ産まれて ただ死んでいくだけ とか

理由なんか無い とか

色々 それぞれ色んな事を考えるだろう

ぼくは産まれてから たくさんの人と出会った

そして音楽と出会った 

音楽は 自分の身体を色んな場所に連れていってくれて

また 色んな場所の素敵な人達と出会った


それが ぼくの生きる理由だなと

いまは思います


この状況下でも 音楽を止めずにツアーを続けている友人たちの報せを見ては

頼もしい気持ちと

羨ましい気持ちと 

自分自身の中にある心持ちに手を当てて

今できる事をひとつひとつ丁寧にこなしていこうと思います


今 既に出会えた人たちの顔を思い浮かべる事ができる

そして これから出会うはずの人たちへ 

ちゃんと出会えるように


分断なんかを生んでいる場合じゃない

細くて見えなくても 

糸で繋がってる事を感じながら乗り越えていきましょう

大切に想ってくれる人を大切に


今は何よりも

10月の2本のライブが無事開催される事を祈っています

ではまた そのうちに

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