迷い犬とワクチン | KUDANZササキゲン「散文と音楽」

KUDANZササキゲン「散文と音楽」

ササキゲンのソロプロジェクト KUDANZ(クダンズ)の日記

金魚の水を汲みに泉ヶ岳へ向かい、大和町の方へ抜けて荒川の様子を見に行った。

川沿いの広場に車を停めて、釣りの準備をして、さぁ釣り始めようと河原へ下りたら、一匹の痩せた老犬がこちらを見ている。

疲れているのか元気が無さそうだ。

周りを見渡すが、飼い主のような人影は見当たらない。

少し怯えていたが、両膝をついて手を差し出すと、頭を触らせてくれた。

ジップロックに水を入れて持っていったが、座り込んでひと舐めした程度で、喉は渇いてない様子。


飼い主が釣りでもしてるのかなと思い、とりあえず少し釣り上がって、戻ってもまだいるようだったら考えようと思った。

30分程釣り上がったのだが、どうにも犬の事が気になって仕方がなく、納竿して犬の元へ向かった。

相変わらずぐったりと横になっていて、首輪はついているものの、あまり風呂に入ってるような感じもなく、お腹は肋骨が浮き出る程度に痩せていた。

老犬だからこんなものかなとも思うけど、もしかしたらお腹が空いているのかもしれないなと思った。

そうこうしていると、川下から一人のフライマンが上がってきたので、呼び止めて犬について聞いてみるも、全く知らないとの事。

ううん、どうしたもんかと考えたが、とりあえず餌を買いに行くことにした。


携帯の電波も入らず、最寄りのコンビニまでは車で30分程。車を走らせながら様々な可能性について考えた。

首輪がついてるのと、夏毛に変わってるのと、犬の状態を見るに、ちゃんと飼われてる犬で、おそらく外飼いだろう。

犬のいた場所から民家までは車でも20分くらい走るので、もし迷い犬だとしたら警察に届けるのが一番妥当だなと考えた。

老犬を置いて釣りに行ってるのだとしたら、餌を買いに行って戻った頃には飼い主も戻っているだろう。

もしくは、犬自身が自分の家に戻れていたらそれに越したことはないと思った。


最寄りのコンビニに着いてから、大和町警察署に連絡をした所、連れてきてくれるのならありがたいとの事で、リードも何も無いけど、まあ、車にうまく乗せれたら保護しようと思いながら、また元来た道を戻った。


河原に戻ると、相変わらず犬は元気なく横になっていたので、紙皿にカリカリを入れて水で少し柔らかくして出してやろうとしたが、餌を見るなりものすごい勢いでクレクレモードに入っていたので、慌ててそれを置いたら、涎を垂らしながらうまそうに貪っていた。

やっぱり腹が減っていたのだ。

飯を食い終えたら車に乗せようと思い、餌を足して、車の中の整理をすべく向かった。

後部の荷物を全部助手席に乗せて、犬のスペースを確保して戻ると、犬はビニール袋に頭を突っ込んで袋ごと餌を食い始めていた。

ビニール食ったらいかんと思い、慌てて、ちょい待って待って、袋を引っ張ると ウ〜!と唸った。

あげるから待ちなさいと言って、袋を取って、もう一度紙皿にカリカリ入れた。

結果4杯くらい食ったかもしれない。

食い終わって少し落ち着いたみたいで、自分は少し離れた場所で煙草を吸いながら見ていたら、犬の方から近づいてきた。

行くか?お父さんお母さんのとこ帰るべ

と言い、紙皿等を片付けて車の方に向かうと、犬も後ろをついてきた。

河原と車を停めている場所は高さがあって、犬が登るのに少し苦労しそうな所で少し躊躇していたものの、自分で上がってきて、車の周りの辺りの匂いを嗅ぎながらうろうろが始まった。

飼い主を待ってるのかな。

そこから一時間くらい話しかけて、車に乗るように説得を続けた。


車を停めている広場に社用車のワゴンが入ってきて、何かと思ったら、おじさんが運転席から顔を出して、

すぐそこに熊がいるから気をつけて!と言って去って行った。


う〜ん、ますます置いてく訳にいかないなと思い、ほら行くよと、前足を後部座席に乗せてあげたら、すんなりと乗ってくれた。

案外こんなうまくいくもんなんだな。

車を走らせながら、この辺知らない?とか、自分の家近かったら教えてよ〜と話しかけたが、ただただ窓の外を見つめる犬。


警察署に着いて、犬を預かってもらい、書類を作ってもらっている時に、唐突に「飼うつもりはありますか?」と訊かれた。

いや、今の家は動物ダメなので。

そう伝えたあと、この犬がもし捨てられていたとしたらどうなるのだろうという思いが沸々とわいてきて、途中で警察官に、今後の流れについて聞いたところ、警察署で一日預かり、保健所で一週間預かりながら飼い主を待ち、その後現れない場合は、里親探しになるとの事で、すぐに殺処分とかになる訳ではないと知って安心した。

だけど、仮に里親も現れないとなった場合、自分がここに連れてきた事は、犬にとって幸せだったのだろうか、そう思った時に、あの、もし飼う人が現れない時は自分が飼います。と口から出ていた。

今すぐには無理でも、新しく家を作ろうとしているので、そこでなら面倒見られると思ったからだ。


目の前で預けられてたチワワが迎えに来られていて、そんな遠くまで行ってたんですねー!なんて話してるのを見て、なんとかあの犬も同じように飼い主がいて、迎えに来てくれる事を祈りながら家路に着いた。

犬に会ってから7時間が経過していた。

帰って携帯を見ると、大和町警察署から電話が入っていて、すぐにかけ直したら、飼い主さんが連絡してきて迎えに来てくれたとの知らせで、嬉しくてちょっと涙が出ました。

今日飼い主さんと電話で話が出来て、とても感謝してくださって、自分の選択に悩んだけど、結果的に良かったと思えました。

犬の名前はピット君で、飼い主さんは発見場所から4キロ離れた場所で岩魚の養殖をしていて、養殖池の作業の間ピット君の首輪を離して好きにさせてたのが、どこか遠くまで行ってしまって、年寄りなので目も鼻も悪く、戻れなくなったのだろうとの事だった。

ピットが若い頃はよくイノシシを追いかけていったが、ちゃんと小屋まで帰ってきたので、もしかしたら昔みたいにイノシシとか獣を追いかけて帰れなくなったんじゃないか、そんな感じで話していました。

帰りしなの熊の件も考えると、案外ピット君は余裕だったのかもしれないし、4キロくらいなら自力で戻れたかもしれないなと思った。

いわゆる、都会の犬とは育ちも違う。

とはいえ、あんな場所でヨボヨボの老犬に会ったら誰だって悩むと思いますけどね。笑

次の日自分がコロナのワクチン接種で動けなかった為、翌日再度見に行くとかいう選択肢が出来なかったのもあり、今回はこういう選択になりましたが、何事も無くてよかったです。

あまり詳しくお話を伺う時間がなかったので、近くに行った際はピット君に会いに行く事を伝えて電話を切りました。


犬、いいですよね。

ピット君には、飼い主さんに対する強い忠誠心というか、信頼をかんじました。

動画をあとで飼い主さんに見せたいなと思います。

めちゃくちゃ可愛かった。

引っ越したら、保健所に行ってみようかな。


〜〜〜

今朝、少し早いですが、かかりつけ医のご配慮でCOVID-19のワクチン1回目を接種してきました。

アレルギーや喘息等基礎疾患があるのと、インフルエンザワクチンでの副反応の酷さがあったので、結構ビビってました。

都市伝説とか、良くない噂もちらほらあったりするし。


何万分の1とか何十万分の1とか言われても、ほら、自分はギャンブルとか確率論好きですから、それがどの程度の数字なのかというと、割と当たる確率でもあるんですよね。


今のところ初日は微熱と腕の痛みくらいです。

でもなんで受けたかって、やっぱり、自分と会う人達の事を考えました。

安心して会ってくれたら嬉しいし、安心してライブ会場で握手したいです。

死にたくないより、殺したくない。

あの頃の当たり前のために、切実です。

1回目より2回目が不安。

ちょっと体調よろしくない感じなので、沢山寝ます。

受けるかどうかは個人の判断だと思うし、もう少し色々見えてからでもいいかもしれないですよね。

とりあえずは自らの身体で試してみました。

来週はMIXです。早くみんなに新作を届けたい。

色んな気持ちを込めたし、最高傑作だと思います。

で、やっぱりツアーしたいなぁ。

そのためにできることをコツコツやります。

みんなに会いたい!