『いだてん~東京オリムピック噺』第16回「ベルリンの壁」を見る | 愚奏譜

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ワタシ、かなでの備忘録みたいなもの。
割と内向き・オタクなハナシが多くなりそうです。

大正3年1914年4月
Ab nach Berlin めざせベルリン
のために新居探しの金栗四三。
場所は東京大塚のハリマヤ。
播磨屋の黒坂辛作は、ここから2代目。
家賃は四三が嫌がっても免除。
何故なら「金栗四三選手愛用」のマラソン足袋(三十銭)がバカ売れしてるから。
辛作は胸中複雑だけど四三に居住いを正して礼を言う。
四三も富士山が望める部屋を借りられて…いや、辛作は「箱根」だと主張。譲らない。
足袋の改良の話になると、四三は益々「足袋」から離れる提案。留め具のコハゼを減らす。
辛作は怒り…怒らない。真面目に検討。
辛作もベルリンに期する。
「ますます忙しくなるなコンチクショー!」

一段落してから、四三は「家族」の事を思う。
身勝手な振るまいに対して、仕送りまで貰っちゃったから。

四三の金回りが良くなったのを怪しむ周囲。
毎日のように豚鍋。みんなの分も払ってる。
金の事を聞かれたら、はぐらかす四三。

四三、全ては雪辱のため。国のため。


別に新キャラはないか。
久しぶりに戦後キャラが多いくらいか。


三遊亭朝太こと美濃部孝蔵は、静岡浜松辺りを万朝とフラフラ。金も無いのに飲み食い。
文無しだとは思わなかった万朝は、孝蔵を見捨てて逃亡。
孝蔵は端から文無しだから朝飯までたらふく食って、漸く白状。
適当に「噺」で誤魔化そうとしても、やはり警察につきだされる。入牢。
そこで牢名主が被っていた新聞で、橘家円喬師匠(享年四十八)の死を知る。荒れる。沈む。

早朝、新居で早速冷水浴を始めようとする四三。
お向かいさんに挨拶されてビックリ。三島家に仕えていたシマ。
シマは三島家を辞めて、今はミルクホールで働きながら東京女子高等師範を目指して勉強中。
そこで半裸の自分を気にする四三だけど、シマは天狗倶楽部で男の半裸に慣れてる。けど、馬鹿な四三は褌一丁になってしまい、シマは悲鳴。

勤務中のミルクホールで四三、嘉納治五郎、可児徳らと会うシマ。
シマの立志は痛快男子三島弥彦の影響。と語ったあとに、相手が嘉納治五郎だと気付いて恐縮するけど、上機嫌の治五郎はオリンピックのシンボルマークは面々に開陳。
五輪。あの五輪。クーベルタン考案。
ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニアの五大陸の結合と連帯を意味する。
先駆けで四三と弥彦が走ったからアジアもある!
サラエボ事件で参加が怪しくなってきてるけど、五輪である以上、唯一のアジア参加の日本が欠けるわけにはいかない。四三の責任も重大。

サラエボ事件の記事に興味が湧かない牢名主。
死人のような孝蔵。牢名主が食べてるバナナを見つめてる。
牢名主、バナナの代わりに芸を要求。
前払いのバナナをむさぼってから孝蔵が選んだ噺は人情話「文七元結(ぶんしちもっとい)」
頑張る孝蔵。けど牢名主は寝てる。
牢名主の評価は、長い噺をつっかえずに言えて大したもんだ、というあのガキと同じもの。つまり「面白くない」

走るちいちゃん。
孝蔵釈放のために八百庄の力を借りようとする。
でも八百庄では次男坊の政治が倒れて大変。
遠泳が原因(?)で慢性盲腸炎と大腸カタルを併発。なので泳ぎもドクターストップ。
田畑のまーちゃん。
彼こそが1964年東京オリンピック招致の立て役者たる田畑政治。
その話はまたあと。

不貞腐れてバナナを頬張る孝蔵。
牢名主曰く、おめえにはなんかあるのに噺を始めるとそれが消えちゃう。
バナナ食ってるだけの方が面白い。バナナを食ってるみてえにやれよ。
くせえのはやりたくねえ?それを決めるのは客じゃねえか。
!!!!
「じゃあ今度はくさくやります」
ふたたびの「文七元結」
今は亡き師匠の面影を追うかのような熱量。「最後の別れ」もトレース。呼ぶ声は誰に向けてか。
牢名主が寝ている間に、看守から借りたハサミで髪をバサバサ切ってる孝蔵。
牢名主は驚くけど、文七をもっとくさくやろうとしたんだって。

こざっぱりした孝蔵。勝鬨亭に舞い戻り、立て替えてくれた席亭ちいちゃんに礼を言い、出戻りを小円朝師匠に報告。
特にリアクションせずにそれを容れる小円朝。噺家世界ではアルアルだからか。
「寿限無」なんかやったりして、真面目に修行する朝太。

海辺を走る四三ら。
あえて水際を走って負荷をかけて歓喜する四三に、「やっぱりバカだな」と賛辞をもらす野口源三郎。

四三から池部家に手紙。
世界新記録の報告。2時間19分30秒で優勝。

スヤから四三に手紙。
中秋の名月だから、いきなりだごを作る。
雑誌の「早いもの」に金栗四三の名前を見付ける。
で、お正月に戻ります?

四三からスヤに手紙。
仕送りへの謝礼。
いきなりだごが懐かしい。
正月には帰れない。写真を送って欲しい。
身は遠く さすらへ人となるとても 故郷の空 はるかにのぞむ

スヤは四三の歌に「?」
幾江が謎とき。「自転車節たい」。
つまり
「あの山こえて会いに行ったらよか!」

スヤ上京。
早々にぶつかった相手は、永井道明の弟子、3年のイギリス留学から帰朝した二階堂トクヨ。

体協に顔を出すトクヨ。永井が熱烈歓迎するけどトクヨは少し迷惑。
治五郎はベルリンオリンピックの話をしようとするけど、役員は金の話をしたがらず、トクヨは戦火拡大の欧州を踏まえてオリンピックの話題自体を無意味と断ずる。
治五郎激怒。
政治とスポーツは別だ!人材も揃ってきている。
「国家だろうが戦争だろうが、若者の夢を奪う権利は誰にも無いんだよ!」

四三、新足袋を絶賛しながら帰宅。
けど黒坂夫妻は困惑顔。
スヤ来訪済み。四三驚愕。
山を見て「あれは阿蘇?」
「富士山!いや箱根」
いきなりだごを食べる四三。
「ああ…スヤが部屋におる…」
恍惚の表情の四三。すぐ真顔に戻り
「帰って」
「え?」
要は、今はオリンピックのために集中したいから。堕落しちゃうから。
スヤ、スヤさん、とどちらに言いきれずに告げる。
「すいまっせん!」
四三、駈け逃げる。
スヤ、播磨屋に四三を頼んで帰る。

「実次!」
四三の仕打を聞いた幾江さんは、言っても仕方無いと分かっていても実次に八当り。
実次、平謝り。

そんなのお構い無しに四三は選手としてのピークに。

戦争激化

トレーニングする四三に、何事かを告げられない治五郎と可児。


朝の冷水浴に出てこない四三を心配して声をかけるシマ。が、辛作に止められる。

部屋にはうずくまった四三。
おもむろに壁に貼ったベルリンオリンピックの紙を破り捨てる。

新聞を読んだスヤ、幾江さんに上京の許可を求める。

大正4年6月、ベルリンオリンピックの中止が報じられる。



次回は駅伝回か。
あとまーちゃんも?


紀行は五輪中止で参加出来なかった繋がりで、モスクワ五輪ボイコットの話。ソ連軍アフガニスタン侵攻、1980年レスリング全日本選手権、高田裕司コメント、山下泰裕コメント、高田裕司さんはJOCの理事としても頑張ってる。


この時代の有名人にはありがちなパターンだとは思うけど、実家からの仕送りを当然のように使い、周囲にも振る舞ってしまう四三には、現代人視点でイラっとする。(前回大河の『せごどん』での、泣き落し借金を成功させた直後に豪遊するバカ西郷家も大概だったけど)
ましてや、彼は養子だからね。
「国のため」を言い訳に、自分のやりたいことを身勝手にやってるようにしか見えない。
まだ三島天狗の方がスジを通している。
これじゃダメだよな。
円谷幸吉の悲劇への伏線ならば、それはそれでウマイというよりツラいけど。