物質化された「黄金の宇宙卵」と「真実の聖書」の謎
南インドの「神の化身」サイババは、注目すべき物をふたつ物質化している。
ひとつは「ヒラニヤガルバ・リンガム」と呼ばれる黄金の塊(かたまり)。
もうひとつは真実の内容が記されているという「聖書」。
それらに秘められたメッセージとは?
サイババの口から黄金の宇宙卵が!
1999年2月15日。
その日は早朝から、何万人という帰依者たちが「神の化身」サティア・サイババとともにシヴァラトリ(ヒンドゥー教の主神であるシヴァ神の生誕祭)を祝うため、アシュラム(廟)のサイクルワント・ホールに押しかにていた。
午前6時30分過ぎに、インド人のバジャン楽団によるバジャン演奏が厳かに始まった。
しばらくすると、オレンジ色のローブを身にまとったサイババが、バジャンの音楽に合わせるように、女性の帰依者が、い並ぶ側から、静かに姿を現わす。
会場からは、どよめきにも似たうなり声が起こり、同時に緊張感が場内をかけめぐった。
サイババはゆっくりと女性帰依者の間を歩きまわり、差し出される手紙を受け取ったり、ヴィブーティ(神聖灰)を物質化して手渡したりと、いつもと変わらない優しい眼差しを集まった人々に向けながら、男性帰依者の側へと向かう。
そうやって会場をひと回りすると、中央の祭壇に置かれた椅子に腰かけ、胸を何度もさすりながら、何やら苦しそうなしぐさをした。
会場に詰めかけた帰依者たちは、これからいったい何が起こるのかと、固唾をのんでサイババを見つめていた。
次の瞬間、サイババは何かを吐きだすような仕草を始め、苦しそうに胸もとをさすり、再び2度、3度と何かを吐きだすような仕草をした。
そのとき、ホールいっぽいになった帰依者たちは、まるで映画のスローモーションでも見ているかのように、サイババがその体内から「ヒラニヤガルバ・リンガム」、
すなわち「黄金の宇宙卵」と呼ばれる、金色に輝く物体を吐きだす瞬間の目撃者となったのだ。
サイババは、物質化したヒラニヤガルバ・リンガムを頭上高く掲げ、すべての帰依者たちに見せながら、その日の講話を行なった。
サイババによれば、ヒラニヤガルバとは、生きとし生けるものすべての身体の右側に位置する「霊性のハート」であり、それは「愛の原理」の象徴であるという。
左側にある心臓は、肉体とともに朽ち果て、失なわれていくが、霊性のハートであるヒラニヤガルバは永遠に不滅で常に正しく、あらゆるものをその中に包含(ほうがん)している。
ちなみに、リンガムとはサンスクリット語で、Гシンボル」の意味であり、特に男性の性器を指す。これをかたどった彫像は、シヴァ神あるいはそのエネルギーの象徴として、古くからインドの人々に崇拝されているのだ。
リンガムを見を者に不慮の事件はない
21世紀を目前に控えた1999年に、サイババがこのヒラニヤガルバ・リンガムを物質化して見せたというのは、何か深い意味があるのだろうか。
その日の講話で、サイババは次のような内容を語っている。
(続く)