中国・不老不死の仙人たち(1) | ふしぎのメダイ

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 鬼神を操り天空を駆ける

 中国には数多くの仙人たちが存在した。
 彼らは多くの場合、峻険な山奥深くに隠れ住み、滅多にその姿を人前に現わすことはな,という。
 だが、中国の歴史の紐(ひも)とけば、様々な逸話に彩られた仙人の姿が現われてくる。
彼らは気まぐれから、あるいは権力者の要請によって、時折その不思議な術を垣間見せるからだ。忽然と姿を現わし、忽然と消えてしまう仙人の世界は、こうした出来事の一端からうかがい知るよりほかにない。ここでは中国の有名な仙人のうちから8人をとりあげ、彼らにまつわるおもしろい話を紹介しよう。


 (壺🍯の中の世界に住む仙人のもとで修行した費長房)

 (煙のように壺に出入りする不思議な老人)

 汝南(じょなん)というところに費長房という役人が住んでいた。彼は今でいう市役所に勤めていたのだが、とりたててかわった日々をおくっていたわけではない。

 ところがある日のことである。

 彼が、とある居酒屋🏮に立ち寄り、2階にあがって、ひとりちぴちび酒を飲んでいると、下で市が開かれているのが目に入った。

 市は、相当な賑(にぎ)わいで、品物を売る人、買う人が入り混じり、押すな押すなの盛況ぶりであった。

 見るともなしにそれを見ていると、やがて、ひとりの老人が古びた🍯壺をぶらさげた天秤棒を担(かつ)ぎながら市の賑わいの中に入ってくるのが目に入った。そして、老人は、その一角に腰を下ろし、壺の中から薬草をとり出すと、やわら自分の前に並べ売りはじめた。かなりの時間がたち、市は、大賑わいの末、幕を閉じた。

 なおも、費長房が見ていると、くだんの老人は、商いが終わると、担いできた壺の中にスーッと吸い込まれるように入っていった。壺の大きさは、およそ、一升の水が入るか入らなりかぐらいの大きさである。どう見間違えても人ひとり入れるとは思えない。

 また、奇怪なことに、市が引けたとはいえ、往来には人がひっきりなしに通っている。
 それなのに、だれひとりとしてこの光景に注意を向けないのだ。

 酒に酔ったのかなと思い、費長房は、この有り様を確かめたくてあたふたと階下へと下りていった。そして老人の消えたところへ行き、まじまじと眺めた。

 すると、どうだろう。壺の中から老人が現われ、

 「どうやら、おまえさんには、仙縁(せんえん)があるらしいな、だれにも見えない筈の光景が見えたのじゃからな。
 ならば、明日、ここに来なさい。わけを説明しよう」

 といってまた壺の中に姿をくらました。

    (続く)