手術でガン細胞が増殖する | ふしぎのメダイ

ふしぎのメダイ

ブログの説明を入力します。


 手術には、ガンの増殖をスピードアップさせる可能性があります。

 実例をお見せしましょう。

 図12(掲載していません)は、乳ガンで乳房を全摘された患者さんの術後の写真です。黒っぽく見えているのが再発病巣で、その範囲は手術時にメスが入った部位にかぎられています。正常組織には、ガン細胞が育たないようにする低抗力がある反面、メスが入ると、その抵抗力が破綻するからでしょう。
内臓のガンでも、手術をすると同じことが起こります。食道ガン、肺ガン、胃ガンなどの術後に死亡した人たちの解剖に立ち会ったとき、メスの入った部位への再発をよく見かけたものです。ただし、どこかの臓器に転移がひそんでいたケースにかぎられます。転移がひそんでいるのは、初発病巣のガン細胞が血管の中に入ることができ、血液とともに全身をめぐり、一部が臓器にとりついたことを意味します。とすると手術時にも、血管の中をガン細胞がめぐっています。そこにメスが入ると血管が切れ、ガン細胞が血液とともに流れだし、傷あとに取りついて増殖するのです。図12のケースも、血管内のガン細胞が、術創にばらまかれたものでしょう。したがってこれは、通常いわれている「局所再発」ではなく、「局所転移」と表現するのが適切です。胃や腸をおおっている腹膜にも、局所転移が生じます。かつて大人気のアナウンサーだった某さんが人間ドッグで見つかった小さな胃ガンの術後、1年もしないうちに亡くなりました。図12のような局所転移が腹膜に生じたからです。手術さえうけなければあと何年も元気だった筈です。手術で転移の成長スピードが加速することもあります。

 もっと古い報告例は、次のケースでしょう。

 世界でもっとも有名な米国ハーバード大学の病院で20世紀半ばに大腸ガンの手術がおこなわれました。そのとき肝臓に転移が認められなかったのに、術後、肝臓転移が急激に増大し、患者さんは手術から10週間で肝機能不全のために亡くなりました。このケースを報告した外科医は、ガンの急速増大のきっかには手術だと総括しています。