ジョーカー | Every Little Step (新)

Every Little Step (新)

りおうさんの更なる進化を求めて。

 ジョーカー(原題:JOKER)
2019年アメリカ 日本公開2019年10月
監督トッド・フィリップス
ホアキン・フェニックス/ロバート・デ・ニーロ/ザジ・ビーツ
画像
(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C)DC Comics

【雑感その1】
良質な〝映画〟だった。
映画らしい映画だなぁと。
この完成度は見事だと思う。

もっと暗くて落ち込むような作品なのかと思ったらそうではなかった。
わしが見たらダメな部類の映画なのかなぁとちょっと不安もあったんだけど。
共感も特にすることもなかった。
完全な傍観者の立場で見てた。
最初はさすがに ちょっと感情が引きずられて
泣きそうになったけれども気がついたら傍観してた。
でもわしもアーサーになるいうる可能性はないとは言えない。
犯罪を擁護するつもりはないけれど
犯罪を産むのは社会なんだろうなと思う。
でもその生まれた犯罪の意識を育てるのは結局自分なんだけど。
そして傍観者でいる罪 ジョーカーという人間を作る手伝いをする側でもありえて
そのあたりがこの映画が危険だといわれる所以なのかな。

全編を通してホアキン・フェニックスの演技の凄さを見せ付けられるわけだけど
アーサーから徐々にジョーカーへと変貌していくさま
最後は完全にアーサーではなくなっていて 息を呑みました。
ピンと背筋を伸ばして 肩で風きって
歩きかたもリズミカルになり 堂々としていた。
序盤あのガリガリな姿で全力で走っているのは見てて辛かった
けどあれって履いてる靴のせいもあったんだよね。走りにくそうにしてるのって。
だからなぜかジョーカーとして堂々と道を歩いてる姿を見て
よかったね、とさへ思ってしまった。

しかしゴッサムという街はすごいところだ。
あの雑多で夢がないように見える街の救いようのない雰囲気が
大好きだなと改めて思いました。



【あらすじ】
80年代のゴッサムシティ。
そこでピエロとして働きながらコメディアンを目指すアーサー。
年老いた母の面倒を見ながらも 自身の持つ病とも闘う生活は楽ではなかった。
そんなある日仕事中に不良少年にからまれ、仕事で使用していた看板を壊され
弁償を余儀なくされる。
そんな些細なことから彼の人生が変わってゆく。


【キャスト】
アーサー/ジョーカー役にホアキン・フェニックス。
毎回書くからもう書かないぞ! 誰の弟かなんて。
でももうそんな肩書きは必要なくなったなと。
この映画をみたらそう思える・
作品内ではほとんど出ずっぱり。
各所で見せるダンスシーンや 彼の見せる笑いの変化
そしてあの減量の仕方を見て
彼本人もまた狂気だなと思わされた。
次にジョーカー役をする人は更にハードルがあがったなと思う。

マレー役にロバート・デ・ニーロ。
誰でもジョーカーに成り得ると同時に
このマレーという人物になって誰でも成りえてしまうんだよね。
現代のSNSにおける問題を体現した人物だと思う。
ロバート・デ・ニーロを起用したのはやっぱり あの映画をオマージュした
部分があるからなのかたまたまなのか。
でもものすごく嵌ってたと思う。

ソフィー役にザジー・ビーツ。
見ててとてもいい役だなぁと思っていました…。
彼女はデッドプール2でドミノ役をやっていました。
アメコミに縁があるのかしらん。
頭良さそうな顔してて割りと好きです。



【雑感その2】
この映画で一番好きなところは 
結局ジョーカーがブルースにつながってそれがバットマンを産むきっかけに
なるっていう、そこに繋げていくんだー!と思って
好みの展開でした。
ただこの映画の時間軸では、それだけの年齢差があるのね…とちょっと
残念に思う部分もあったんだよね。

ここまでこんなに深いな~なんて思って見てても
捉え方によっては すべてが妄想だったとも考えられるわけで
それもまたこの映画のおもしろいところだと思う。
もちろん本当に妄想だった部分もあり
でもそれですら本当にすべてが妄想かもしれないっていうね。
ちょっと衝撃的なシーンもあるけれど
悲しくも美しいと思えてしまう不思議な魅力のある映画です。


やっぱりさDCはこれでいいと思うんだよ。
こういう暗い路線でさ。
なんでもかんでもアメコミだからって明るいテイストにする必要はないよ!
と強く思うりおうさんなのです。
この映画とは繋がりはないけど
新バットマンがロバート・パティンソンだ…と。
絶対アゴだけで選んでるよな!




2019-⑱