女王陛下のお気に入り | Every Little Step (新)

Every Little Step (新)

りおうさんの更なる進化を求めて。

女王陛下のお気に入り (原題:THE FAVOURITE)
2018年アイルランド=イギリス=アメリカ 日本公開2019年2月
監督ヨルゴス・ランティモス
オリヴィア・コールマン/レイチェル・ワイズ/エマ・ストーン/ニコラス・ホルト
画像
(C)2018 Twentieth Century Fox

【雑感その1】
おもしろいのか、おもしろくないのかよくわからない作品。
ストーリーよりも 女3人の演技バトルが見ごたえあると思う。
展開は盛り上がるシーンがなくて言ってみれば単調なんだけど
不思議と眠くならなかった。
むしろすごく集中して見れた。
かと言っておもしろかったか?と聞かれると うーん。となる。
今年に入ってみた作品はこういう感想多いよな、わし。

ヨルゴス・ランティモスという監督さんは
ちょっとヒトクセあるお方だそうで
『ロブスター』や『聖なる鹿殺し』といった作品があります。
気になってはいたんですが ちょっとそのタイトルがイマイチで
見るのに踏み出せなかった。
今回は 邦題が女王陛下のお気に入り とすごくわし好みだったこともあり
気になってた監督さんだったという事もあってか
良くも悪くもすごく楽しみにしていました。
独特の世界観があるんだな…といった程度の
感想しか思いつけない自分の感性。
もっと軽いブラックコメディなのかと思ってたのが
間違ってた。

高角レンズや魚眼レンズを使って画面全体を
いびつにみせていて
なおかつ、映画内の字のフォントも視力検査みたいな感じで
大小織り交ざっていて
それもいびつに見せている。
そのいびつさがこの作品のひとつのポイントでもあると思います。
が、多用されると後半ちょっとうざったく感じました。
ストーリーは章仕立てになっていまして
確か8章か9章まであったはずです。
ただ、集中してみれたのはテンポがよかったからだと思います。



【あらすじ】
18世紀初頭、イングランドはフランスと戦争状態であった。
イングランドのアン王女は体が弱く精神的も不安定だったため
レディ・サラが王女の世話をし、権力も持っていた。
そんな折、サラの親戚にあたるアビゲイルが召使として彼女らの生活する
城にやってくる。


【キャスト】
アン王女役にオリヴィア・コールマン。
この役で各方面で絶賛されています。
一国の王女でありながら精神的に不安定で、態度がコロコロ変わる
という難しい役どころ。
なんとも言えない全体的に清潔感のない王女。

サラ役にレイチェル・ワイズ。
あれ?こんなぶっさいくだったっけ?
役作りでこういう風になったんだと思うけれど。
融通の利かなさそうな、冷酷な雰囲気を見事にまとっていたと思います。

アビゲイル役にエマ・ストーン。
この役に彼女を配役したのは大正解だと思う。
頭の回転がよく小ざかしいんだけど、どこか人を寄せ付けるキャラ。
それが計算であったとしても。
まさにぴったりだと思いました。
エマ・ストーンが特に大好き!というわけではないんですが
彼女の演技が大好きです。

ハーレー役にニコラス・ホルト。
あのくるくるのかつらがブライアン・メイを思い出して仕方なかった。

マールバラ公爵役にマーク・ゲイティス。
マイクロフト!(シャーロックより) あの特徴的な鼻ですぐわかる。
今回はなかなか彼的にはおいしい役だったと思いました!
だってレイチェル・ワイズの夫役だし!



【雑感その2】
メインの女3人、誰に感情移入して見るか。
わしは断然エマ・ストーン。
集中して見れた理由のひとつは上でも書いたけど テンポががよかったこと。
そしてもうひとつの大きな理由は
エマ・ストーン演じるアビゲイルを応援してたからだと思う。
サラが失落していく様子を見て もっとやってやれ! と心の中で思ってた。
自分的はそこが見てて楽しかった。
わしも随分性格悪いからな。

エマ・ストーンはこの作品で初めてトップレスになっています。
本人は提案したそうですが、まわりのキャストは止めたということ。
それでも脱いでます。
ちょっと期待してましたが、見たら、ああそういう風にしたわけね。って思いました。
アレなら実際にしっかり形とか大きさとかわからないよな、賢いな。
って思いました。
でもしっかりちくB出してます。
おかげでそのシーンは、今までなんとなくぼやかされていたのがはっきりとした
いいシーンだったと思います。

アン王女の情緒不安定さに見ていて少しうんざりしたのも事実。
しんどい。
時々いい表情をしたりするのが印象的。
とにかく最初はうんざりだったのが、どんどん内面的な部分も感じとれるように
なっていって悲哀的。
そしてあのラストっていうね。

女の闘いというけれども、女はそうしないと生きてゆけなかったのでは
ないかなと思う。
この作品はフィクションではない。
アン王女もアビゲイルもサラも実在し、この2人の立場の入れ替わりも事実。
もちろん細かい部分は創作だろうけど。
なので歴史モノでもある。
結局、いつの時代も腹の探りあいってことなのね。

この作品がよかったら、監督のほかの作品も見ようと思っていたんだけど
自分は合わないかな…。



2019-④