全室スイートの高級ホテル‘‘ラッフルズ’’。シンガポールを代表するホテルですね。

2019年に改修を終え、リニューアルオープンしました。変わらず健在な‘‘ロング・バー’’では元祖のシンガポール・スリングを楽しみたいですね。私も生涯一度は体験してみたいです。

このカクテルの誕生は1915年。当時は社交の場で女性がお酒を嗜むことに抵抗感があった時代でした。
そこでラッフルズのバーテンダーは、女性が負い目を感じることなく飲めそうなカクテルを創作したのです。見ためトロピカルジュースな一杯。
女性のみなさん大歓迎。一気に大人気となりました。

ところがこのカクテルが世界に広まったのはイギリスから。後に伝説となるバーテンダー‘‘ハリー・クラドック’’が手を加え簡素化したレシピがカクテルブックで紹介されてからなのです。
しかしその新しいレシピは、女性への優しさ(当初の思い)は残っていない、すっきりスタイリッシュな一杯だったのです。
あ、ハリーを否定してるわけではないんです。美味しいアレンジですからね。

現在の日本では、ハリーのレシピからオリジナルレシピへ切り替えるバーが増えてきたような、そうでもないような。
元祖の魅力に原点回帰してゆく傾向、悪くないと思います。


《レシピ》
・ビーフィーター・・・・・・30ml
・チェリーリキュール・・・・15ml
・コアントロー・・・・・・・5ml
・ベネディクティン・・・・・5ml
・グレナデンシロップ・・・・10ml
・アンゴスチュラビターズ・・1dash
・パインジュース・・・・・・100ml
・ライムジュース・・・・・・10ml
※クラッシュアイス

●シェーク

※マラスキーノチェリー等を飾る


アメリカのTVドラマの主役たちが愛飲してましたよね。それで世界中でブレイクしたりして。
そのドラマがスタートしたのが1998年。
カクテルの誕生はハッキリしていないけれど、1985年頃じゃないかと云われてます。フロリダのバーテンダー‘‘シェリルクック’’が当時新発売ホヤホヤ(発売前の)の‘‘アブソルートシトロン’’を使って仕上げたとかなんとか。
新しいカクテルのひとつ、なんて云われます。

しかしながら、さらなる元ネタ情報もありまして、1930年代の文献に‘‘コスモポリタンデイジー’’なる名前が。レシピもそっくり。ベースはジンでしたが。

なので情報をまとめますと、なかなか歴史あるカクテルであり、少しずつ進化しながら、ある日一気に広がった、そんな感じが正解かもしれません。

研修旅行で赴いたNYのバーで、「今一番ホットなカクテルだぜ」と教えてもらったのが1997年だったので、ドラマ撮影の頃にはすでに人気のカクテルになっていたのでしょうね!

世界中に多様なレシピが存在するので、お店によって違う味が楽しめます。
オクターブではNYのバーテンダーから聞いたレシピをずっと大切にしています。

爽やかな美味しさをどうぞ。


《レシピ》
・アブソルートシトロン・・15ml
・コアントロー・・・・・・15ml
・クランベリージュース・・20ml
・ライムジュース・・・・・10ml


●シェーク

メールの打ち間違いはかわいいものですが、誤植となると大ごとになったりもしますね。
誤植がきっかけ(であろう)となり、名前が変わったカクテルがあります。

アメリカ禁酒法時代、お金持ちたちはクルーズ船にて遠洋へ離れ、法の力が及ばぬ海の上で酒盛りを楽しんでいました。
‘‘スリーマイルリミット(領海の限界線)’’なんて名前のカクテルを作って悪法をおちょくったりしながら。

このカクテルが‘‘Three Milerスリーマイラー’’と略されるようになったのが1930年頃だそうです。
伝説的バーテンダー‘‘ハリー・クラドック’’が著したカクテルブックにもスリーマイラーは掲載されました。
しかしそこには、‘‘Three Miller(スリーミラー)’’の文字が。これでは3人の粉屋です。誤植です。

そしてそして日本に伝えられるといつの頃からか‘‘s’’が加わり、‘‘スリーミラーズ’’と認知されて現在に至るのです。
伝言ゲームみたいです。

数十年後、また違う名前に変わっていたらおもしろいですよね。


《レシピ》
・ブランデー・・・・・40ml
・ホワイトラム・・・・20ml
・グレナデンシロップ・1tsp
・レモンジュース・・・1dash


●シェーク