9/26ジョン・ウィリアムス、リチャードハーベイ東京公演 | 多弦Gutarist Tominha の部屋

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10弦・11弦という普通派では見ることがない多弦なギターを弾くギタリストTomonari.Cのブログ。音楽はもちろん、映画やら小説やら政治やら、思いつくままに書き連ねています。

クラシックのコンサートには滅多に行かない。お金を払っては。特にクラシックギターといえばなおさらである。ギター弾きのくせにと言われそうだが、クラシックギターは練習のために曲を弾くことはあっても日常的にはまず聴かない。辛いのである。どんな名人でも2・3曲で眠くなってしまう。それなのに、クラシック界の「キングオブギター」ジョン・ウィリアムスのコンサートに行ったのは、連れ合いが切符を買ってくれたから。「これでも聴いて、下手なギターをもう少しうまくしなさい」という「暖かい」心遣いなのである。
予備知識なしでいったこのコンサート、とてもよかった。キースファンには悪いが、はっきりいって、こっちのほうがよかった。最初に耳にきたというか、このばあい目を引いたというべきなのは、共演のリチャードハーベイさん。この人、古楽器奏者としてはとても有名だそうだが、ステージには7本のリコーダー、クラリネット、マンドリンみたいな楽器、ウクレレとギターの中間みたいな楽器、なんとやらハープ、ハンドドラムにアフリカンサムピアノ(一般にカリンバといわれているやつ)があった。それをとっかえひっかえ演奏するのだが、これがものすごく面白い。
曲目もバラエティに富んでいて、バロック以前のヨーロッパ古楽、ピアソラのタンゴ、中国、インドネシア、トルコ、アフリカ、それぞれの楽曲が登場した。クラシックというよりはほとんど「ワールドミュージック」の世界であるが、半分ぐらいの曲はリチャードハーベイさんが採譜したり、編曲したものだという。
このリチャードさん、人間的にもとても面白いというかエンターティナーで、いろんな妙な吹き方をしたり、ジョークを言ったりして会場をわかせていた。ジョン・ウィリアムスは温厚な紳士然としてたが、曲目の影響もあってか、カジュアルな服装にリラックスした演奏で本人がとても楽しそう。それが客席にも伝わってくるようなものだった。正直、なまじのジャズライブよりも良い意味で「サービス精神」に溢れた、幸せな気分になれるコンサートだった。
パンフレットによると、この二人、ただのクラシック演奏者ではないようだ。リチャードさんは「グリフォン」というグループを率い、古楽や民俗音楽とロックの融合みたいなことをやっていたそうだし、ジョン・ウィリアムズさんは一時期「フュージョングループ」を率いていたのだそうな。あ、やっぱり「キングオブギター」もクラシックギターには飽きていたのね、となにか納得する。
ジョン・ウィリアムスは本当に現代「世界最高の巨匠」の一人だと思うけれど、それほど「神格化」はされていないみたいで、会場の雰囲気もよかった。(業界の人、演奏者、とくにギターやっている人の率は普通より格段におおかったとおもうけれど)しわぶき一つも許さないなんていう感じではなくて、みんな楽しそう。もちろん、それには、ジョンウィリアムスさんの人柄、リチャードさんの人柄、演奏メニューのすべてがあずかっているのだが。よく聴いていればものすごいテクニックが必要な楽曲であるはずなのに、二人にかかるとそれがいとも簡単に、聞き手に緊張感さえ与えない心地よくさせてしまう。その力量は、ほんとうはとてつもない物だと思う。緊張感とリラクゼーション、品格と親密さ、すべてが「極上」のバランスの上で成立しているこういう音楽こそ「マエストロ」のなせる技だと思う。
…………余談つかぬことだが、当日、ジョン・ウィリアムスはギターにピックアップを取り付け、アンプを使っていた。つまり、あの巨匠が「エレアコ」で弾いたのだった。これにはビックリ! いくらホールが大きくても、クラシックの人が「エレアコ」を使ったという話は聴いたことがない。この件については、クラシック業界の人はさすがに残念そうだったみたい。でも。私はそのとらわれのなさにむしろ感動したね。だいたい、グレッグスモールマンのギターに穴あけてピックアップ入れちゃうなんて、ジョンウィリアムスぐらいにしか許されないよ。