パコ・デルシアにはまった。
この歳で、本格的にフラメンコギタリストのパコ・デ・ルシアに嵌ってしまった。
きっかけはアフリカンドラムのわきたにじゅんじさんとのコラボレーションに、どうしてもフラメンコティストが欲しかったからである。アフリカンドラムとのコラボには相当なギターの音量がいる。それにはフラメンコの右手のテクニックが必要だろうと思った。それで、かねてより気になるギタリストだったパコを初めて「まとも」に聴いてみようと思ったのである
昔ももちろん耳にしたことはある。アル・ディメオラ、ジョン・マクラフリンとの「スーパーギタートリオ」でである。しかし、それ以来、「早弾きとストレッチポジションはパス!」できた。小生ギタリストとしては指が短い。それに右手の細かい動きが苦手なのだ。
ところが、パコ・デ・ルシアの「幻」というアルバムを聴いて、「早弾きではないパコ」の魅力にとりつかれてしまった。パコのギターの「うたごころ」に撃たれてしまったのである。この衝撃はバーデン・パウエルやラルフ・タウナー、そしてジャンゴ・ラインハルトを初めて聴いた以来ですね。
この四人に共通すること、それはそのジャンルでは通常伴奏にまわることが多いギターという楽器を、あえてソロ楽器として前面に持ってくる覚悟の強さだ。それはホントに「覚悟」という言葉をあえて使いたくなるほど潔く、凄まじい。(ラルフ・タウナーの場合は12弦ギター)
特にパコの場合、フラメンコギターというジャンルの中ではメロディストとして突出した存在感がある。だいたいが激しいリズムと早弾きの繰り返しが多い中で、ジャズにおけるソロ(アドリブということね)をきっちり聴かせる人は他にはいないんじゃなかろうか。
そして、その音である。甘さがなく、枯れて突き刺さるようなその音を聴いてるだけでもジプシーミュージックの神髄に触れてる感じがする。ジャンゴは史上初めてジャズの世界でギターをフロントに持ってきた革命児だけれど、パコはそれをフラメンコギターでやった……ってことはみんな書くんだろうけど、ジャズとフラメンコでは歴史の重みが違う。ジャンゴの時代のジャズなんてまだまだ新興音楽、形式なんてなんにも確立していない。でも、フラメンコはそれこそジプシーミュージックの中でもワールドワイドに有名な巨大な流れである。様式も確立されて久しいのだ。そこでこれほどのことをやってのけるということ自体、大変なことである。