京アニメ事件で死刑判決がなされる
今回、私は前回に続き作家の幸田露伴について、書くつもり
で原稿を用意していました。しかし、朝刊の記事を見て気が
変わり、ブログの内容を変更することにしました。
それは、2019年の7月に京都アニメーションで起きた放火
殺人事件の記事で、青葉被告が36人の犠牲者を出した放火
事件に対して、彼に死刑判決の言い渡しがなされたという
ものです。
●私は、今でもアニメやマンガが好きなだけに、この事件
の経過に少なからず関心があり、長い年月をかけようやく
判決が出たことに、納得できない気持ちになりました。
それは、被告の責任能力の認定に、なぜこんなにも時間が
かかるのだろうか、という疑問があったからです。
●記事によれば、刑事事件では、被告の精神鑑定などを基
にして、事件当時において、
① 善悪を判断するの能力
② 反抗を思いとどまるの能力
などがあったか否かを、裁判所が見極めるのがポイントと
なります。しかし、刑法や判例では、①と②のどちらでも
なければ、「心神喪失」として無罪に、著しく減退してい
れば「心神耗弱」で刑を軽くするとされているようです。
●今度の裁判では、被告の「妄想性障害」という診断が
下され、検察側と弁護側がそれを争点としたことを知り、
納得できないのが正直な気持ちです。亡くなった被害者
からすれば、被告のそういう障害に、一体どんな関係が
あるのでしょうか。その上、被害者家族が被告のそういう
状況を延々聞かされながら、被害者から謝罪のも言葉も
ないというのは、全く誠意が感じられず理解に苦しみます。
●今回は、被害者参加制度により、法廷で被告人質問を
したり、意見陳述をしたりした遺族や被害者は、約80人に
も上ったそうです。
●しかし、被告はきちん遺族の悲しみや苦しみを受け止め
ないようで、36人もの被害者の気持ちも浮かばれないに
違いないと思います、
●要は、被告の犯行により、貴重な命が奪われれたという
事実が明らかになっているのであれば、なぜ投獄の刑期を
最初に明示しないのかということです。人の命の計算には
おそらく議論百出するでしょうが、被告が仮にも一人の命
を奪えば、裁判所が被害者の予想生存年数を出すという考
えはないのでしょうか。事件で人が亡くなったという事実
が大切で、これこそ人の命は地球より思いのではないで
しょうか
●ところが、ハリウッドの映画を見ていると、アメリカで
被告の刑期が、被害者の人数や犯行の内容に応じた「積算
方式」になっているようで、150年、200年、300年いう
ように何百年というように、まず被告に提示されて自覚を
促し、被告の事件当時の精神状態や育った環境などは、
その後に時間をかけて検証されるのです。これは裁判その
ものがスピード化され、だれにも非常に分かりやすいので、
日本でもぜひこの方法を採用してほしいと思います。
穴水 圭(2023.01.26)