#525 【kubotan#123】京アニメ事件の悲劇 | コトバあれこれ

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子ども作文教室、子ども国語教育学会の関係者による
投稿記事ブログです。

 

 京アニメ事件で死刑判決がなされる

 

今回、私は前回に続き作家の幸田露伴について、書くつもり

で原稿を用意していました。しかし、朝刊の記事を見て気が

変わり、ブログの内容を変更することにしました。

 

それは、2019年の7月に京都アニメーションで起きた放火

殺人事件の記事で、青葉被告が36人の犠牲者を出した放火

事件に対して、彼に死刑判決の言い渡しがなされたという

ものです。

 

 

●私は、今でもアニメやマンガが好きなだけに、この事件

の経過に少なからず関心があり、長い年月をかけようやく

判決が出たことに、納得できない気持ちになりました。

それは、被告の責任能力の認定に、なぜこんなにも時間が

かかるのだろうか、という疑問があったからです。

 

●記事によれば、刑事事件では、被告の精神鑑定などを基

にして、事件当時において、

 

 ① 善悪を判断するの能力

 ② 反抗を思いとどまるの能力

 

などがあったか否かを、裁判所が見極めるのがポイントと

なります。しかし、刑法や判例では、①と②のどちらでも

なければ、「心神喪失」として無罪に、著しく減退してい

れば「心神耗弱」で刑を軽くするとされているようです。

 

 

●今度の裁判では、被告の「妄想性障害」という診断が

下され、検察側と弁護側がそれを争点としたことを知り、

納得できないのが正直な気持ちです。亡くなった被害者

からすれば、被告のそういう障害に、一体どんな関係が

あるのでしょうか。その上、被害者家族が被告のそういう

状況を延々聞かされながら、被害者から謝罪のも言葉も

ないというのは、全く誠意が感じられず理解に苦しみます。

 

●今回は、被害者参加制度により、法廷で被告人質問を

したり、意見陳述をしたりした遺族や被害者は、約80人に

も上ったそうです。

 

 

●しかし、被告はきちん遺族の悲しみや苦しみを受け止め

ないようで、36人もの被害者の気持ちも浮かばれないに

違いないと思います、

 

●要は、被告の犯行により、貴重な命が奪われれたという

事実が明らかになっているのであれば、なぜ投獄の刑期を

最初に明示しないのかということです。人の命の計算には

おそらく議論百出するでしょうが、被告が仮にも一人の命

を奪えば、裁判所が被害者の予想生存年数を出すという考

えはないのでしょうか。事件で人が亡くなったという事実

が大切で、これこそ人の命は地球より思いのではないで

しょうか

 

●ところが、ハリウッドの映画を見ていると、アメリカで

被告の刑期が、被害者の人数や犯行の内容に応じた「積算

方式」になっているようで、150年、200年、300年いう

ように何百年というように、まず被告に提示されて自覚を

促し、被告の事件当時の精神状態や育った環境などは、

その後に時間をかけて検証されるのです。これは裁判その

ものがスピード化され、だれにも非常に分かりやすいので、

日本でもぜひこの方法を採用してほしいと思います。

 

穴水 圭(2023.01.26)