♯526【KT-48】和製英語 | コトバあれこれ

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子ども作文教室、子ども国語教育学会の関係者による
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 和製英語とは、日本人が作った英単語のことである。日本語は柔軟性があることに加え、カタカナの存在があるため、新しい概念や外国の言葉を柔軟に受け入れて「カタカナ言葉」として日本語の一部にしてしまうという性質を持っている。加えて、「マック」や「コンビニ」など日本語には既存の言葉を省略したり、くっつけたりして新しい造語を作りだすということもよく見られる。こういう理由から、国内外から来た新しい概念や言葉もどんどんカタカナ言葉として新しく作り出していき、その一部が和製英語になっているのである。

 和製英語は、ぱっと聞いた感じは英語のように聞こえるが、言語の種別としては英語ではなく、日本語の分類に入る。日本語であるので、英語圏で使うとまったく理解されず、全然違った解釈をされてしまうことがある。先日、街中である人が外国人との会話において自分の言いたいことがうまく伝わらず、不思議そうな顔をされ言いたいことが理解させずに苦労している人を見かけたが、その人が英語だと思って使っている言葉には和製英語が含まれていたため、当然英語ネーティブの人には通じなかったのである。

 和製英語には、日常生活でよく使われるものから、ビジネス用語、IT用語、食品、ファッション、スポーツ、音楽、映画、アニメ、マンガなど、多岐にわたる分野に存在しているが、数多くある和製英語の中でよく使われている身近な和製英語を以下に挙げてみたい。

 

1.ノートパソコン

 和製英語の代表格と言っても過言ではない。「ノートパソコン」は、英語では「laptop」と言う。「lap」とは「膝」の意味で、膝の上に乗せるパソコンである。日本語のノートパソコンの「ノート」はメモ書きなどの「ノート」から来ていると考えられる。しかし、日本語の「ノート」は英語では「notebook」と言われ、「note」だと別の意味になるため通じない。デスクトップパソコンは英語でも「desktop」というので、なぜノートパソコンだけ和製英語ができたのか不思議である。

 

2.フライドポテト

 米国ではFrench friesもしくは、Belgium fries、英国ではchipsを使うのが一般的である。米国ではひところ、フレンチフライを「フリーダムフライてfreedom fries」」と呼ぶことがちょっとしたブームになった。「フランスがイラク戦争への加担を拒否したため、一部の米国民が反仏活動を行い、『自由のフライ』と言い換えた」とのこと。戦争の終息とともにフレンチフライに戻った。

 

3.ホチキス

 ホチキスという言葉自体は、昔ホチキスを作っていた企業の社名から来ているので英語由来と言えなくもないが、英語では「stapler」と言わないと全く通じない。ちなみに日本でも一時期ホチキスを「ステープラ」とも呼んでいたこともあったが、いつの間にか「ホチキス」の方が定着してしまった。

 

4.ガソリンスタンド

 ガソリンスタンドはアメリカ英語では「gas station」、そしてイギリス英語では「petrol station」と言う。地域によって、「ガソリン」の呼び方が異なる。日本語では略して「ガソスタ」なんて言われることもあるこの言葉は、英語で使うと何となく意味をわかってもらえることもあるが、ほとんど通じない。

 

5.アルバイト

 よく使うこの言葉を英語として言ってもまず間違いなく通じない。何故ならこの言葉は、ドイツ語の「仕事」と言う意味の単語「arbeit」から来ているからである。ちなみにドイツ語で「arbeit」は英語で「work」に当たる言葉であり意味が違うので、「アルバイト」は和製ドイツ語となっているのである。英語で「アルバイト」は「part time job」と言い、「パート」も「part time job」である。

 

6,シャープペンシル

 シャープペンシルを英語で言うとmechanical pencilであり、直訳すると[機械式の鉛筆]である。何かシャープペンシルのイメージが変わり、ロボットのように感じてしまって面白い。

 

7.サラリーマン

 サラリーマンを英語ではOffice workerと言う。和製英語では“salary”と“man”でお給料をもらう人という意味で作られた言葉であるが、英語では通じない。実際の英語は会社で働く人という意味で、会社勤めの人なら誰にでも使えるが、海外では職種を言うことがより一般的である。

 

8.バイキング

 バイキングを英語ではBuffetと言う。バイキングは日本で初めて開かれた食べ放題の名前を当時流行していた映画のタイトル「バイキング」からとったとされている。英語表現でバイキングという意味では “buffet”が一番近いが、食べ放題という意味の “all-you-can-eat”も日常でよく頻繁に使われる。

 

9.マンション

 

 日本では集合住宅をマンションと呼ぶが、英語ではCondominium、condoと呼ぶ。

 英語ではmansion になると大邸宅、大豪邸の意味になってしまう。英語で【僕はマンションに住んでるよ】というと、すごいお金持ちであると思われてしまう。

 

10.リフォーム

 日本語では家を改築したり内装をやりかえたりすることを、「リフォーム」と言うが、英語では「renovation」と言う。「reform」という英単語はあるが、制度などの改善や改正という意味なので、英語で使うと通じない。最近では「リノベーション」というカタカナ語もよく使われるようになってきたが、これであれば通じやすいと思われる。

 

 以上、身近にある和製英語をきっかけに、英語のボキャブラリーを増やすことにも、ぜひ役立てていただきたい。

<K. Takagi記>