♯0279【kubotan91】:気になる翻訳された日本語 ① (2020.03.23)   | コトバあれこれ

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子ども作文教室、子ども国語教育学会の関係者による
投稿記事ブログです。

 

                気になる映画タイトルの翻訳

 

●映画好きな私は、ときどきテレビを見ると、最近名作映画が

よく再放送されています。ところが、翻訳されたタイトルや字幕

などで気になることがよくあります。

 

●特にタイトルなどは、その映画がヒットするかどうかのキー

ポイントになり、映画関係者には大問題でしょうから、必然的

にウエートが高くなるでしょう。例えば、名作中の名作である

『風と共に去りぬ』は、”Gone With The Wind” が翻訳された

ものです。

       

        

 

      (絶対に、「風と共に去りぬ」…がいいわよ!)


●これは世界中で大ヒットした作品で、年配の方にはきっと

ご覧になった方が多いと思います。しかし、以前はあまり気に

ならなかったのですが、なぜタイトルが「風と共に去りぬ」の

「去りぬ」というふうに、そこだけが古文調になっているのか

疑問に思いました。

 

●いろいろ調べてみたところ、映画評論家として活躍された

淀川長治さんが、かつて配給会社にいたころ、この映画の

名付け親だったことが分かりました。彼はこの映画をなんと

かインパクトのあるものにするため、いろいろ考えあぐねい

た結果、「風と共に去りぬ」に決定したとのことです。

 

もし、彼が現代日本語でそのまま「風と共に去った」に翻訳

したすると、「風と共に去りぬ」の「ぬ」の意味する「去って

しまった」という「完了の意味」が出ないので、後世にまで

残るような印象のタイトルには、なっていなかった可能性が

あります。

 

●かつて多くの名作を作った小津安二郎監督が、「風と共に

去りぬ」という作品を、シンガポールで戦中に観て、「こんな

豪華映画を撮るアメリカに、日本が戦争で勝てる訳が無い」

と語ったという有名な逸話があります。観客のみならず映画

監督などにも影響を及ぼすわけですから、タイトル一つの

翻訳でも決して疎かにしない方がいいかもしれません。

 

●ちなみに、その他よく知られた作品があるので、ここで

いくつかのタイトルを紹介しましょう。

 

 ①『ムトウ踊るマハラジャ (Muthu)』 (1995、インド)

 ②『グース(Fly Away Home)』   (1996, アメリカ)

 ③『ピーター・グリーナリーの枕草子  (The Pillow Book)』

                       (1996英=仏=蘭)

 ④『恋愛小説家(As good as it goes)』(1997、アメリカ)

 ⑤『モンタナの風に吹かれて(The Horse Whispere)』

                       (1998、アメリカ)

 ⑥『メリーに首ったけ(There’s something about Mary)』

                                             (1998、アメリカ)

 

    

 

    

   

                  (上の6点は、いずれもネットより転写)

 

●いずれも原題にみられない「踊るマハラジャ」、「グース」、

「枕草子」、「恋愛小説家」、「首ったけ」などの翻訳があり、

いかにも興味をそそるようなタイトルになっています。何の

違和感もなく観客を惹き付ける言葉になっているのは、映画

ストーリーの内容をよく理解していなければ、とてもできない

発想だと思います。

 

●次回は字幕にまつわる興味深い出来事を、いくつか紹介

してみたいと思いますので、どうぞご期待ください。

 

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(2020.03.23)