<地雷ではなく花をください>
子ども作文教室に関わって以来、絵本に興味を持つようになった。
図書館や書店に行っても、絵本のコーナーをチラチラと見ることが
多い。驚かされるのは、多種多様な絵本が出回っていることで、大
人が読んでも心打たれるものがある。中には、物事を詳しく説明し
た図鑑まがいの絵本もあり、大人も勉強になる。私達の子供時代の
絵本事情とは、大きな違いと言えよう。そのような中で、たまたま
下記の絵本に興味を惹かれて、購入して読んでみた。
「サニーのお願い 地雷ではなく花をください」
絵・葉 祥明 文・柳瀬 房子
(1996年9月15日 第一版発行:自由国民社)
その内容を要約すると、
「海に囲まれた日本とは違い、大陸では国境や支配地域に沿って
多くの地雷が埋められている紛争地がある。そして、今も子供や
老人、動物たちが地雷の被害に遭い、命を無くしたり、或いは手
足を失い松葉つえや車イスの生活に頼って生きている。戦争が終
わっても地雷は残ったままで、世界中のどこかで1時間に3人の人
が犠牲になっていると言われる。これを取り除くには、膨大な時
間とお金がかかるが、世界中の人が力を合わせてやらなければな
らない。サニーちゃんは、一つ地雷を取り除いたら、そこに花の
種をまいたり、木を植えてくださいとお願いしている。そうした
ら、山や野原も花いっぱい、安全で豊かな地球が戻ってくるでし
ょうと。」
この絵本では、すべての箇所で、日本語の下に英語でも文章が
書かれている。例えば、大人が少し英語の言葉を教えて読んであ
げたら、子供は英語のサウンドに慣れるかもしれないと感じた。
巻末には、黒柳徹子(ユニセフ親善大使)や明石康(前・国連事
務次長)の小論(英訳付)も載せられている。なお、本書は続編、
続々編も出版されており、絵本シリーズになっている。
地雷と云えば、日本ではカンボジアのことを頭に浮べる方も多
かろう。日本の方々も地雷除去に協力している。被害は減少して
いるようだが、約6百万個という地雷の撤去は容易ではない。ア
フガニスタン、コロンビア、イェーメン、シリア等では、今も多
くの犠牲者が出ている。一番多いアフガニスタンでは、年に1050
件の地雷犠牲者が報告されている。世界全体で見ると、大人の被
害者が54%、子供の被害者が46%と、子供の被害が馬鹿にできな
い(いずれも2013年の数字)。戦争がなくならない限り、「悪魔
の兵器」地雷はなくならないのだろうか?
2017.12.21 Gootama-1