戦闘機が不時着していた。駅舎の上にまるで始めから取り付けられていたかのような格好だ。人間離れした神業に依る見事な着陸なのだろうか。一歩間違えば大惨事である。しかし、パイロットはどうやって降りたのだろう。結構な高さだ。ジャンプしたら路面の衝撃で足を骨折してしまいそうだ。
大刀洗レトロステーション
の中にレトロカフェなる喫茶スペースがあった。トタンの外壁に描かれた屋号の字体とデザインが洒落ている。甘木行き発車まで15分ほど時間があり、僕と先輩
は束の間の休憩をとることにした。
特製カレー、ぜんざい、コーヒ、メニューは三種類と潔い。喫茶スペースは建物の側面に入り口があった。正面から入ると入館料が発生するらしい。
カウンターにテーブル席が二席設けられていた。天井が高く解放感がある。壁に昭和の映画のポスターが飾られ、詳しくないので良く知らないが、古い音響機材が置かれていたようだ。僕が気に入ったのはカウンターに立てかけられた詩、だった。「あした死んでもいいように!」と題されたそれは、かなり無理矢理に韻を踏ませている印象だったが、直情的な切実さが伝わり、感慨深いものだった。バインダー替わりに両端に置かれた二本の酒瓶には、死ぬまで呑んだくれよう、おこ!という或る意味、アル中賛美とも受け取れるメッセージが籠めらているのか。籠められていないのか。
発車時間が迫り、僕は慌てて熱い珈琲を啜った。物腰柔らかい年配の御婦人が丁寧に淹れてくれた珈琲だ。場所代、雰囲気代も考慮して、300円は妥当な値段だと思った。
熱い液体で舌を火傷させつつ、僕は明日死ぬのは嫌だな、と考えていた。僕はまだ何もやっていないんだ。明後日でも嫌なんだ。けど、それは、その日は唐突にやってくるのだろうか。それから僕たちは婦人に見送られ、甘木へ。おこ!
