夜勤明け、二人は一緒にラーメンを食べに行ったらしい。V蔵に何処の店だったかを訊くと「いや、知らん。Zさんに案内されただけやけん。何処やったかいっちょん覚えとらん」との返答であった。うまかったかと問われると「うまかったですよー!」と元気良く答えていた。
「アンタ、これ食べんね」
「よかとですか!」
Zは、V蔵に自らの麺を分け与えた。
「これも食べんね」
「ほんなってよかとですか!」
Zは、V蔵にチャーシューも譲渡した。
「それなら、Zさんのラーメンはスープだけしか残っとらんやん」
同僚の一人が感嘆の声を上げた。初老男性が中年男性にラーメンを分け与える。余り美しい光景とは思えないが、それは無償の愛、だったのだろうか。それともZは単にラーメンが不味かったから隣りに押し付けただけなのか。
支払いはどうしたのか、真っ当な質問をすると「別々に払ったですよ」お澄まし顔でV蔵は言ったのだ。