翔んでる警備32 | エキセントリックギャラクシーハードボイルドロマンス         

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〜文学、お笑い、オートバイを愛する気高く孤独な三十路独身男の魂の軌跡〜 by久留米の爪切り

警備士ZとV蔵は固い絆で結ばれていた。

夜勤明け、二人は一緒にラーメンを食べに行ったらしい。V蔵に何処の店だったかを訊くと「いや、知らん。Zさんに案内されただけやけん。何処やったかいっちょん覚えとらん」との返答であった。うまかったかと問われると「うまかったですよー!」と元気良く答えていた。

「アンタ、これ食べんね」

「よかとですか!」

Zは、V蔵に自らの麺を分け与えた。

「これも食べんね」

「ほんなってよかとですか!」

Zは、V蔵にチャーシューも譲渡した。

「それなら、Zさんのラーメンはスープだけしか残っとらんやん」

同僚の一人が感嘆の声を上げた。初老男性が中年男性にラーメンを分け与える。余り美しい光景とは思えないが、それは無償の愛、だったのだろうか。それともZは単にラーメンが不味かったから隣りに押し付けただけなのか。

支払いはどうしたのか、真っ当な質問をすると「別々に払ったですよ」お澄まし顔でV蔵は言ったのだ。