翔んでる警備33 | エキセントリックギャラクシーハードボイルドロマンス         

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〜文学、お笑い、オートバイを愛する気高く孤独な三十路独身男の魂の軌跡〜 by久留米の爪切り

「饅頭ですよ。フフフ。まんこですよ。えへへ」

不気味な笑顔を浮かべた警備士M策が、大きな図体を折り曲げ、いつもの卑屈な調子で、こちらの反応を窺うような視線を下から向けながら、声を掛けてくる。

一瞬、何を言っているのか分からず、困惑するものの、それがトイレへ席を立った間に掛かってきた電話の本数が0本である、という事を示す下卑た冗談であるのに、若い警備士は気が付いた。

その警備員室では下ネタ、性にまつわるエトセトラ、は余り、というより殆ど、論ずべき議題の俎上に載せられる機会は無い。

平均年齢がかなり高めに設定されている警備士達は、すっかり性欲は減退しているようだった。性の舞台から下りていたのだ。勤務中は、眠いな、腹減ったな、と睡眠欲と食欲はまだまだ旺盛である。

「なんね。ハッピーターンやんね!こいは美味かろうが!やめられんもんの」

若い警備士は、ハッピーターンを強奪されたこともあったのだ。

その中で、警備士M策は、まだまだ現役であるようで、猥談を好んだ。

「香蘭は別名、淫乱ですよ。えへへ。それから筑紫女学園は、股開き女学園なんですよ。フフフフッ。間違いないですよ。通ってる子達が言いよったですよ」

一昔前のエロ本の記事みたいな、著しく信憑性に欠ける怪情報だったが、その若い警備士だけは、秘かに胸を高鳴らせ、その言葉を脳裏に刻み込んでいたのだ。