TESE当日、呼ばれて入ってからのことは、並行して書くとわけがわからなくなるため、別で記事にします。
全て、夫からの聞いたお話の、書き起こしです。
呼ばれてまず、手術着に着替えましょうと言われ、着替える空間に案内されました。
「下のカゴに、サイズ毎に分かれて入っているので、選んでくださいね」
「まぁ、○○さんは身長もあるし、Lかなー?と思いますよ」
「身に着けているものは全て外してください」
「指輪も外してください」
こう言われたので、眼鏡とマスクも外したら、眼鏡とマスクはしていて良いと言われました。
着替えている最中、看護師さんから、カーテン越しに話しかけられる。
「○○さん、着替えながらで良いんですけどね、手術中に、何かかけて欲しい曲とかってありますか?」
(夫 心の声)
こんなときに急に言われても思い浮かばん!!!
緊張してるせいもあって、本当に何も浮かばん!!!
全く思い浮かばない!!!
何と答えたら良いかわからず「めちゃくちゃ緊張していて、気持ちを落ち着かせたいんで、クラシックをかけて頂けませんか?」と言ってみました。
試しにクラシックをかけてもらうも、ものの数秒で眠くなると思いました。
先生や看護師さんたちが眠くなったら申し訳ないと思い「これって、先生や皆さん、眠くなっちゃいませんか?大丈夫ですか?」と聞くと「大丈夫ですよ」とあっさり回答。
俺が眠くなるかも・・・
「自分が、途中で寝ちゃっても、大丈夫なんですか?」と聞くと「手術中に麻酔の確認も必要なので、一応起きていてもらえた方が良いですね」と言われ、クラシックは断念。
「ジブリとか、ディズニーとかもありますよ」と提案され、「じゃあ、ジブリで!」とお願いしました。
風の谷のナウシカを聴きながら手術台に横になり、いろいろと準備が始まりました。
点滴がついたり、心電図を付けられたり、手術中の姿勢、手足の場所などを説明されました。
寒いかどうかも気にしてくださり、足は毛布でくるまれ、おなかにも毛布をかけてくれましたが、術野の陰部はおっぴろげ。
おなかよりも向こう側の術野は、自分からは見えないように、カーテンのような布で仕切られていました。
がしかし、真上のライトの銀色の部分が反射して、術野のむき出しの部分もしっかり見えてしまうことがわかり、これは術中は見ないようにしようと、強く心に誓いました。
剃毛の確認をされ、看護師さん2人がかりで、竿の裏からタマの裏まで隅々確認され「毛、問題ないですね~」と言われ安心。
勃起したらどうしようと思い、必死に真剣にジブリを聴き込みました。
その後も、準備中「○○さん、ジブリ好きなんですか~?」など、無言にならないように、ずっと話しかけてくれていました。
今思えば、無機質な音ばかりだと不安になるだろうと、話しかけてくれていたような気がします。
準備が終わると先生が入ってきて、「培養士さんの準備ができて、私も準備ができたので、これより始めます」と。
手術をする前の確認、「生年月日〇年〇月〇日、年齢29歳、○○さんの精巣内精子採取術をこれより開始します」と先生が読み上げましたが、誰も返事をしないので、俺が返事をしなきゃいけないのか?と思い「はい!」と大きな声で返事をすると「〇〇さんじゃなくて、私たちの確認です」と一人の看護師さんがこっそり教えてくれました。
「僕の確認じゃなかったんですね!」と皆で笑いあい、和やかな雰囲気の中で手術が開始されました。
開始直後、看護師さんに包囲されました。
一人目は頭上のあたりに立っていて、肩を押さえつけながら、ポンポンしてくれました。
二人目は左側に立ち、ガーゼを握らせてきて、腕をポンポンしてくれて、2人で「大丈夫ですからね~」と優しく話しかけてくれていました。
右手は自由でしたが、自分の右太ももを、ぐっとつまむように押さえつけて、気を紛らわせていました。
三人目の看護師さんが「竿、上に貼りますね~」と言って、竿をペタッとおへそ側にテープどめしました。
「下の方も固定するね~」と、タマの下にガーゼか何かを入れて、手術をしやすいポジショニングを取られました。
先生が「○○さん、これから、こういう段取りで、手術を始めますね」と細かく手順を説明してくれました。
「麻酔の注射だけ、ちょっと痛いからね。そのあとは痛みが無くなるからね。痛いけど、頑張ろうね」と、目の前でガッツポーズしながら、語り掛けてくれました。
(夫 心の声)
いやいや、先生のそのちょっとは、ちょっとじゃないんじゃないですか・・・?
金玉に針刺されるんだろ・・・?
痛くなかったら、こんなに肩、押さえつけないですよね・・・?
「じゃ、今から刺すね」と言った瞬間、見ないようにしていたはずの、真上のライトの銀色の部分の反射で、長い注射針を見てしまいました。
すぐに目を逸らしましたが、後悔する間もなく、その瞬間にはもう刺されていて、味わったことのない痛みを感じました。
意識が飛びそうになるような激痛。
ほんの数秒ですが、刺された痛みと、液体が入ってくることによる痛みが襲ってきました。
必死に自分の右太ももをつねって、意識が飛ばないようにと、耐えました。
痛いのは、タマそのものではなく、タマの付け根から下腹部にかけてにも激痛がありました。
(夫 心の声)
タマが痛いだけじゃないんかーい!
おなかも痛くなるんかーい!!!
プルプルしながら必死に耐え、地獄のような時間は終え、注射の針が抜けた後、先生から「タマの方の注射は終わったから、今度は皮の方にも打つよー!」と言われ「え?!また激痛?!!」と身構えたら、これは全然痛くありませんでした。
腕の採血のときのような痛みでしたね。
「痛いところに注射しないと、麻酔って効かないんだよね。効いてくるまでに少し時間がかかるよ。このあとは、極力痛くないようにするから。無痛にするからね~」と先生が言ってくれました。
看護師さんからは「はい、頑張りましたね~」と言われ、左手のガーゼを取られ、ガードが解かれました。
麻酔が効くまでの間、しばし歓談。
ジブリの話が続く。
「ジブリパーク行ったよ」
「めちゃめちゃ混んでますよね」
「ネコバスがあるんだよね」
などと話が弾む。
先生が、麻酔の効き具合を確かめていく作業。
「これ痛い?」「これは?」「これはどう?」と少しずつ確認。
大丈夫そうだとわかったようで、「じゃ、そろそろいいかな、これから手術を始めるからね」と。
このときトトロのメインの曲、となりのトトロが流れていました。
ちょうどサビの「こどものときに~だけ あなたにおとずれる~ 不思議な出会い~」のタイミングで、右のタマを切開され、手術が始まりました。
(夫 心の声)
先生・・・タイミング合わせて切ってますか?
どうしてサビで切るのさ!この曲トラウマになるよ!!!
てか看護師さん、リズムとって揺れてるし!!!
切られた後すぐに、先生が「今の痛かった?大丈夫?」と聞いてくれて「全然大丈夫です!」と答えました。
その後は看護師さんたちと、ジブリについて雑談していました。
先生もちょくちょく話に入ってくることもありました。
曲が変わるたびに、そのアニメの話をしていました。
なんてほのぼのした手術なんだ・・・!
もののけ姫が流れてきたときに看護師さんのうちの1人が「私この曲カラオケで歌っちゃうんですよね~」と言ってきて「わかるわー!俺も歌っちゃうわー!!」と返答。
「○○さんも歌うんですか?キーはそのままなんですか?」と聞かれ「キーそのままです」と答えると、めちゃくちゃ驚かれました。
そんな雑談をしていたところに、先生から真面目なトーンでお話が。
「じゃ、右の精巣を開いて、精細管を取っていきます」
顕微鏡のような大きい機器がやってきて、集中する作業が始まりました。
さすがにこのタイミングは、皆黙っていました。
麻酔が切れそうなタイミングには声をかけてくれて、麻酔が追加され、全く痛みはありませんでした。
しばらく、集中した時間が経過していました。
先生が、何かを取り出し、銀色の皿に乗せ、渡された看護師さんが、隣の部屋に持って行く。
看護師さんが戻ってきたときに、先生へゴニョゴニョ耳打ちして報告。
また先生が何かを取り出し・・・と、これが何度も続きました。
この作業に入る前までは、逐一説明しながら手術を進めてくれていましたが、この作業が始まってからは、こちらへの経過報告がなく、不安な気持ちになりました。
(夫 心の声)
居るの?居ないの?どっちなのー
居ないとは、はっきり言われてはないしなぁ・・・
はっきり言ってくれた方が、楽だなぁ・・・
行ったり来たりしている看護師さん、ずっと、先生と緊迫したやりとりをしているように見えていましたが、終盤、晴れやかな表情のように見えました。
先生が「培養士さんのところに、確認しに行ってきますね」と言って手術室から退出。
看護師さんもしばらく静かでしたが「緊張してますか・・・?」と、このタイミングで声をかけてくれました。
「いるかどうか、心配ですわ・・・」と答えると「きっと大丈夫ですよ」と励ましてくれました。
先生が戻ってきて報告をもらいました。
「居そうな太めの精細管を10本とった中で、3本見つかりました」
思わず口に出ていたと思います。
「はぁ・・・良かった・・・!」
看護師さんたちも「おめでとう○○さん、良かったですね」と言ってくれました。
すると先生から「でもかなり少ない方だから、左も探してみようかね。左もいくけど、大丈夫?」と聞かれ「はい、大丈夫です!お願いします!」と答えました。
「とりあえず右の精巣は今から縫合して、そのあと左の手術に入ります。じゃ、さっきの注射、もう1回いくよ?」
(夫 心の声)
うぇぇぇ?!
注射、左も行くのーーーー!?
なんとなく、既に麻酔をしたら、もう痛みは無いんだと思ってしまっていた・・・!
ほんの1時間ですっかり忘れていた。
この注射は痛いんだった・・・!!!!!
またガーゼを握らされて、覚悟を決め、間もなくぶっ刺さりました。
このときは、右のときほどは押さえつけられずに、注射されました。
一度経験したためなのか、右のときほどは痛くはありませんでしたが、痛いものは痛いです。
右のときと同様に進んでいきました。
ちょうど、ジブリのメドレーが終わり、ディズニーのメドレーに変わっていました。
左のタマを切られたときは、映画ウィッシュの無礼者たちが流れていました。
サビの「なんて無礼な 恩知らずめ なんて無礼な ひどい仕打ちだ」を口ずさんでしまったら、看護師さんたちが笑い始めてしまいました。
笑いながら、右タマのとき同様、和やかな雰囲気の中で手術は進んでいきました。
しかしあるとき先生からお話がありました。
「残念ながら、今見ている範囲内では、精子が居るような太さの精細管が見つけられませんでした。
もっと細かく探せばいるかもしれないけど・・・手術の時間も決まっているし、○○さんの体力的にも、ごはんも食べられていないし、手術中って体力実は消耗しているからね、左はここまでにして、縫合するね」と言われ、今回の手術は終了。
「わかりました、ありがとうございました」と言うと、先生から「まだ終わりじゃないよ、もう少し頑張ろうね」と言われ、最後にまた麻酔を追加してくれました。
縫合しているときも、最後まで痛みを感じることはありませんでした。
先生は、縫合が終わったタイミングで「じゃあ、奥さんに伝えてくるね」と言って手術室から去り、消毒は看護師さんがやってくれました。
「良かったですね、おめでとうございます」と、またしてもねぎらいの言葉を頂きました。
手術室での、先生からの最後のお話。
「お疲れさまでした。
途中でも説明した通り、右の精巣から、太めの精細管を10本取り出し、うち3本で精子を確認できました。
正直に言うと、比較的少ない方です。
多分、奥さんの採卵をした後、一発勝負になるかと思います。」
このあたりから、意識があやふやです。
精子が採れたことと、手術が無事に終わったことで、ほっとして、気が緩み、一気に疲れがどっと出てしまい、思考が回らないような感じでした。
先生もそれを察していたのか「また明日、詳しいことはお話ししますね」と言われ、先生とのやり取りは終了。
看護師さんから「30分くらいは横になってから、ゆっくり起きましょうね」と言われ、横になったまま休ませてもらいました。
最後まで、ずっとディズニーは流れ続けていました。
看護師さんは片付けをしていましたが、そのうちの一人が「タマ固定しますね」と言って、ガーゼとテープで固定してきました。
上によけられて、テープどめされていた竿は、このとき解放され、元通りとなりました。
そして「手術室を出たら、まずトイレに行ってください。そのあとまた呼びます」と言われ、自分で着替え、自分で歩き、待合の妻のもとへ戻りました。
この続きは、遠くの泌尿器科③ TESE当日(妻サイド)をご覧ください。
倒れた瞬間のことだけ、こちらに記録します。
気持ち悪くて、上体を起こしていることが、辛すぎました。
麻酔も、切れ始めてきていたんだと思います。
突っ伏したときは、もうすでに意識を失いかけていた気がします。
妻の声が遠くなっていったことは、なんとなく思い出せます。
床に寝たまま呼びかけられて、意識が戻ったときには、ぐっすり寝て起きたような感じでした。
それ以降の記憶は全てあります。
~記載を終え、妻より~
これを書いたときには、TESEから4週間弱経過していました。
夫から話を聞き記録を始めると、直後の時期に聞いたことがなかった話もボロボロ出てきました。
(トトロは俺トラウマになるかもー、と早々と私に言ってきていましたが、ウィッシュの曲を歌った話は知らなかった)
改めて聞いてみて、記録して良かったです。
夫は面白おかしく話してくれました。
「手術自体は楽しかったよ」と言っていたことが、とても印象的で、先生はもちろんですが、看護師さん含め、素敵なスタッフさんたちによる、良いチームワークに恵まれたんだな、と思いました。

