前回のお話をご覧になっていない方、
宜しければ、以下から前回のお話をご覧ください。
さて、前回の続きです。
おじいさんの大好きな水色の丸っこい車。
なんと、おじいさんと100万キロ走ったら、
話せるようになっちゃいました。
これ、車の世界の常識だそうです。
さあ、どうなるのでしょう。
続きのはじまり、はじまり~
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「おじいさん、100万キロ走ったら、話が出来るようになるって、
本当に知らなかったんですか?」
「そんなの知るわけないだろ!」
おじいさんは、ちょっと興奮しちゃっています。
車はあっけらかーんとして話します。
「そうなんですかぁ~?
私はてっきり話がしたくて
100万キロまで私の事を大事にしてくれているんだと
思っていましたよ」
おじいさんは、何が何だか分かりません。
「く、車が話すなんて、わしは悪い夢でもみているのか……」
「まあ、まあ、おじいさん落ち着いて、
そうですね、こんな時は一曲どうですか?」
おじいさんは頭をかかえこんでいます。
「もう、やめてくれっ。
わしは頭がおかしくなりそうじゃ」
「そう言わずに、こんな曲はどうです?」
車はおじいさんの話を聞きもせずに、車の中に音楽をひびかせました。
静かな、優しいメロディーです。
なんだか、懐かしいメロディーです。
そして、車は言いました。
「どうです?おじいさん落ち着きました?」
頭を抱えこんで、耳をふさいでいたおじいさんは、
ス~ッと入ってくる、メロディーに顔をあげました。
「これは……」
「おじいさんが、初めて私に乗ってくれた60年前の曲。
むかーしの曲ですよ~
なつかしいでしょー?」
自然と色んな思い出が、おじいさんによみがえってきます。
「お次はこちらの曲はどうですか?」
今度は、明るいメロディーがひびきだしました。
「あぁ、ばあさんが若い頃好きだった曲だ……」
おじいさんはすっかり落ち着きを取り戻し、
そのなつかしいメロディーに耳を澄ませました。
すると、その時です。
メロディーと一緒に
誰かの声が聞こえてきました。
「んっ?」
「おじいさん、どうしました?」
「おい、いま誰かの声が聞こえなかったか?」
「私の声でしょうか?」
「いや、君じゃない。
ほら、静かに聞いてみてくれ」
おじいさんと、車は静かに耳を澄ませました。
あれあれ?確かに何だか声が聞こえます。
誰かと誰かの楽しそうな話し声。
車にもその話し声が聞こえました。
すると、車はなにごともなかったように言いました。
「ああ、おじいさんと死んだおばあさんの
昔の話し声じゃないですか」
「わしとばあさんっ!?」
おじいさんは、思わず大きな声を出してしまいました。
車は言いました。
「そりゃそうですよ~、
今まで、私の中で起こったことを、
そのまま聞いてもらっているんですから」
おじいさんは、つばをゴクリと飲んで、聞きました。
「じゃあ、この声は若い頃のわしとばあさんか……」
「ええ、お2人ともお若かったですね~」
おじいさんは、落ち着いて、
その楽しそうな話し声に耳を澄ましました。
「はっ、はっ、ばあさんこんな声だったけなあ?
わしも、こんな声だったか、はっはっは」
車の中でひびきわたる、若い頃のおじいさんとおばあさんの
楽しそうな話し声を聞いて、おじいさんは、久しぶりに
とても幸せな気分になりました。
「どうです?おじいさん。
昔の思い出を聞きながら、
そろそろ、ドライブにでも行きませんか?」
「そうじゃのう、60年分の思い出を聞きながら、
ばあさんに会いにでも行くか」
「お安い御用ですよ。
なんてたって、私は100万キロを
走った車ですから」
おじいさんと水色の丸っこい車は、
100万キロを超えた、次の旅に走り出しましたとさ。
おしまい
次回のお話は
「ゴキブリ達は話し合う」です。
宜しければこちらもどうぞ。
ご覧いただきまして、有難うございます。
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ではまた次回。
あずまくも