言志四録(三)言志晩録 | K's読書室

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読んだ本の紹介をしたいと思います。

「言志四録(三)言志晩録」(佐藤一斎、著/川上正光、全訳注/講談社学術文庫)を読了しました。

この本は、裏表紙によると、『第三巻には、「言志晩録」二百九十二条をおさめる。佐藤一斎が、六十七歳より七十八歳までのおよそ十二年間に書き記した文章である。学問修養・倫理道徳から政治法律・風流韻事に至るまで、人間生活のあらゆる局面における身の処し方・心構えが説かれている。政治家も実業家も学者も若者も、それぞれの立場に応じて味読すべき金言の宝庫である。』となります。

私は、原文の書き下し文を、およそ一日に2つずつ、「音読」しながら、読み進めました。漢文調の文章なので、声に出して読むと、リズムよく読むことができます。こういう本は、一気に読むと、消化不良を起こしてしまう可能性がありますので、少しずつ、じわじわと読むのにふさわしいと思います。実際のところ、内容的に、重みのあることばかり書いてあるので、速読すると、表面をなぞるだけで、真に自分のものになるところまでいかないと思います。ゆっくり読めばそれでいいのかというと、そうでもないのですが、速くサッサと読み進めるよりは、力になったかなと思います。深層心理というか、潜在意識というか、そういうところに、沈潜しているだろうと思います。

この本は、私の理解では、以前も書いたかもしれませんが、儒教の教えを、佐藤一斎が、日本風に解釈して、日本の実情に合うように、表現してくれているものだろうと思います。「源氏物語」において、光源氏が、自身の教育観を述べるところの「なほ才を本としてこそ、大和魂の世に用ゐらるる方も強う侍らめ。」を、実践しているのではないかと思わされてしまいます。漢学知識である「才」を、日本風にして、「大和魂」という、日本人としての自分の精神を発露させているからです。私の勝手解釈なので、間違っていたら、すみません。