K's読書室

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読んだ本の紹介をしたいと思います。

「湖月訳 源氏物語の世界Ⅴ 名場面でつづる『源氏物語』」(島内景二、著/花鳥社)を読了しました。

この本は、2024年度のNHKラジオ第2「古典講読」のほとんど放送テキスト的位置付けの本です。私は、原文を2回づづ音読しました。

私の理解では、話の展開がここまでくると、どうにもならない人間関係、思い通りにならない人間関係、ままならない人間関係、これを描いていると思います。大君も、中の君も、薫も、匂宮も、なんかしっくり来ていない感じがします。私たちの現実も、こういう感じの時があるように思います。なんで、こうなってしまうのだろうと、思い悩んでしまうことがあります。「源氏物語」は、虚構の話で、現実ではありませんが、まあ、仕方ないよなと、あきらめの気持ちを持たせてくれる点で、一種の清涼剤のはたらきがある気がします。物語の効用でしょう。

ここで、一気に話は飛びます。といいますのは、私の理解では、世界は、三層構造になっていると思っています。それは、具体的現実の世界、抽象的論理の世界、それから、いわば形而上学的命題の世界、この三層になります。具体的現実の世界というのは、日々、私たちが暮らしている現実で、雑多なものがたくさんあって、一つ一つ個性がある、個別性の強い世界です。次に、抽象的論理の世界とは、概念の世界です。法律用語でいえば、債務者とか、債権者とか、そういう抽象性を帯びた概念の世界になります。それから、この世界は、論理をつかさどる世界にもなります。AならばB、BならばC、というように、論理展開を促していきます。最後に、形而上学的命題の世界とは、殺してはならないとか、盗んではならないとか、親切にすべきだとか、論理的には理由を説明しにくいけれども、それはそうだろうと、納得のいく規範の世界です。さらに、ここで、それぞれの関係を述べます。具体的な事象を、抽象的な概念の世界に写し取って、論理操作をします。その時、どのような論理展開をすべきかを、命題の世界が指示します。命令してきます。そして、論理展開が終わったとき、それを、再び、具体的現実の世界の言葉に適用していきます。そして、具体的に、誰が、何が、どうすべきなのかの結論を出すという構造になっていると、考えてみるのです。そうすると、意外に、分かりやすいかと思います。

それから、この「世界三層構造論」を、源氏物語から生み出された、「源氏文化」に適用してみようと思います。というのは、「源氏文化」の生み出す世界観を、「形而上学的命題の世界」に落とし込むことで、世界を説明しようという試みです。「源氏文化」の生み出す世界観から、出てくるいろいろな命題を、「形而上学的命題」と見るのです。そうすることで、「源氏文化」を、現代によみがえらせようというのです。

残念ながら、今の私にできることは、ここまでです。力尽きました。なぜなら、源氏文化の生み出す世界観を、つかみ取れていないからです。そういうことで、とりあえず、枠組を示してみただけです。

では、今回は、以上です。