夢野久作の瓶詰めの地獄 | 星導夜

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何気ない日常にも素敵なことが満ち溢れているように思います
日常のささやかなよろこび、楽しみを書き留めてみたいと思います

留吉に文学作品の紹介させると、めちゃくちゃになりますので、今回はブログ管理人がご紹介いたします。
夢野久作集より
今回は短編の
「瓶詰めの地獄」をご紹介します。

あらすじは次の通りです。
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ある町役場から、海洋研究所に向けて「瓶に入った3通の手紙が砂浜に打ちあがった」という手紙が送られました。それぞれの手紙には、ある兄妹の告白が記されていました。

第1の瓶には、無人島に助けの🛳船が来るにも関わらず、太郎とアヤ子は自分たちの罪を懺悔して、自らの命を絶とうとする様子が描かれています、


第2の瓶には、兄の太郎と妹のアヤ子が火をおこしたり、食べ物を取って生き延びている様子が書かれています。

また、成長して青年になった兄の太郎が、妹のアヤ子にただならぬ感情を抱き始めていることが告白されました。アヤ子も、うるんだ目で太郎を見つめるようになります。

熱心なキリスト教信者の太郎は、罪を意識して苦しみます。
そうです。言いにくい話ですが、太郎は実の妹を愛してしまい、近親相姦の関係になってしまうのです。

第3の瓶には、「オ父サマ。オ母サマ。ボクタチ兄ダイハ、ナカヨク、タッシャニ、コノシマニ、クラシテイマス。ハヤク、タスケニ、キテクダサイ」とだけありました。

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ブログ管理人が、夢野久作のこの短編を見事と思ったのは、瓶詰めの手紙についての時系列です。

本来ならば、第3の瓶は2人が幼い時に遭難して助けを求める内容ですから、1番先になる筈のものです。

しかし、敢えて時系列通りにしなかったが故に
2人がだんだん成長して、兄妹でありながら男女の仲になっていく、そして罪に慄く様が、手に取るようにわかりましたから。

ふと思ったのですが

瓶詰めの地獄とは

単に瓶に入っている助けを求める手紙のことではなくて、

瓶詰めにされて、がんじがらめになって逃げ場を失ってしまった兄妹の地獄のことを指しているような気がしてなりませんでした。

ブログ管理人は、夢野久作には感心しています。

なぜならばたった3通の手紙でありながら、読み進めずにはいられない構成力の巧みさが光っているように感じるからです。

ブログ管理人もこのブログ内で創作を発表してまして
構成力の見事な文章を書いてみたいと、常日頃から思っている次第です。