その日は、雨季には珍しく良いお天気でした。
夕食の準備をしようと、角の食料品店に行くつもりで私は外に出ました。
すると目の前を、長いしっぽに金色の鍵をぶら下げた、あの銀鼠色の猫が、ゆうゆうと歩いているではありませんか。
しかも時折猫は振り返り、まるで私に後をついて来るようにと言っているかのようでした。
思い切って後をついて行くと、猫は不意に大きなお屋敷の前で立ち止まり、しっぽから鍵を落としました。
そしてそのまま、ものすごい勢いで走って行ってしまいました。
私は金色の鍵を拾うと、思い切って鍵穴に差し込みました。
カチリという音がしてドアが開いたので、恐る恐る私はお屋敷に入りました。
「お邪魔します。誰かいらっしゃいますか?」
返事がないかわりに、私はある部屋に、まばゆい灯りが灯っていることに気がついたのでした。
(続く)