Nevermore | 星導夜

星導夜

何気ない日常にも素敵なことが満ち溢れているように思います
日常のささやかなよろこび、楽しみを書き留めてみたいと思います

エドガー・アラン・ポーの「大鴉」にインスパイアされて創作してみた短編です。

みらあじゅ

夜明け前
目覚めると窓の向こうから
レイブンが私に呼びかけた。
いや、私の心がレイブンを呼び出したのだろうか。

レイブンは
ここより永遠な世界に私を誘う。
私は今直ぐに飛んで行きたい!
だけど愛しいあの人に 
別れの接吻をして行きたい。


ゴソッ。


新聞紙がポストに落ちる微かな音。

その途端

レイブンは羽音も荒く飛び去り

私は、今日も飛び損ねた。

群青色の朝が




黒い喪服の裾を軽やかに引きずる。

7色プリズムの朝。

レイブンは

プリズムの彼方に消えていく。

それから7日目の朝早く

若い女性の投身自殺体が見つかった。

彼女は

レイブンに

誘われて

跳んだのだろうか?