炎症に続いての一般的な痛みの原因は、組織変質です。
腱周辺に起きる慢性的な痛みを、「腱炎(Tendinitis)」と呼びますが、痛みのある部位にある腱に炎症がないという事が報告されており、腱周辺にある慢性的な痛みは、腱の炎症によるものでなく「組織変質(Degeneration)」であり、「腱の組織変質(Tendinosis)」とするのが適切だという事になっています。
これは新しい見解ではなく、1986年に「腱または周辺の痛みをあらわす用語と、
具体的には、エキセントリック運動の効能が報告されています。負荷と動きのスピードを漸進的に大きくしながら、1日一回、3x10を毎日続けるのがよく使われている方法です。エキセントリック運動中の多少の痛みは、OKです。詳しくは、「Eccentric」と「Tendinosis」で検索すると論文が出てきます。他に効能が認められているのが、Tissue Mobilizationなど、腱に物理的に刺激を加えて微小なダメージを起こす事によって治癒を再開しストレッチと併用してリモデリングを促進する方法です。この他には、PRP(多血小板血漿)注入、Prolotherapy、Shockwave療法(衝撃波療法)、また針を使って直接腱にダメージを与える方法などがあります。
組織変質の原因は、急性傷害の結果、もしくは不適切な姿勢や動作の繰り返しが原因で身体の動きの問題(運動機能障害)が起き、組織への慢性的な負担の増加によっておこります。従って、上記の対処法で組織の質の向上を図っても、元々の原因である運動機能障害を対処しなくてはなりません。