そんなことを思い出していると
彼の家族がICUへ入ってきた。
私は頭を軽く下げ
彼の家族も無言で頭を下げてくれた。
私は彼の横から離れて
家族が呼び掛けるのを見ていた。
またお母さんのあのことばが。
私の胸に突き刺さってくる。
お母さんは看護師さんに
なんでこんなことになったの?
ストレスが原因?
たくさん悩みがあって誰にも言えずに抱えこんでたからこんなことになったんかねぇ。
原因はストレスよね?
昨日の看護師さんが言ってくれた。
お母さん。
くも膜下出血はほとんどが遺伝です。
出血した原因は何かはわかりませんが、
もともとは遺伝ですから。
お母さんはそれを聞いて、
うちの親族でくも膜下出血なんか一人もおらんよ!
みんなガンで亡くなってるから違うわよ!
荒い口調で言い返すと
看護師さんは
くも膜下出血の可能性はおそらく親族のかたはもたれていたと思いますが
ガンが先行して亡くなれたのではないでしょうか。
お母さんはそれを聞いて返す言葉がなかったのか、
黙り込んだ。
でもその看護師さんんの言葉のおかげで
私は少し安心した。
100%私の責任だと思ってたから。
きっとお母さんは
職場と私に対してのストレスが原因だと思ってたから。
その看護師さんの言葉をきいてからは
あの言葉の回数が激減した。
あの看護師さんはやっぱり私の気持ちをわかってくれてる。
そう確信した。
彼と家族だけの時間をつくる為に
先に待ち合い室に行くことにした。
彼の家族が戻ってきた。
お母さんはあの言葉をつぶやきながら椅子に座った。
看護師さんが来て
先生からお話がありますのでこちらへ。
先生の説明が始まった。
一日経過しましたが
非常に厳しい状態です。
これ以上脳が腫れて右の脳を圧迫すれば
また施術が必要になります。
最悪の場合、合併症を起こせば手のほどこしようがありません。
私たちはもう彼の脳が腫れないよう
願うしかなかった。
なんにもできない。
無力さ、後悔しかなかった。
おそらくあのとき私と彼の家族は
彼の死が頭をよぎった。
よろしくお願いします。
彼のお父さんが先生と握手をして
深々と頭を下げた。
くも膜下出血⑤ |口約束の婚約者 ~未来の約束~
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