政府の秘密組織の手足として、武力を伴う特殊活動を行うエージェント xXx (トリプルX) が作戦中に死亡。長官(サミュエル・L・ジャクソン)は新エージェントのリクルートを開始。作戦行動中に隊長(ウィレム・デフォー)の不合理で非情な命令に背いたとして服役中の特殊部隊出身の男(アイス・キューブ)に白羽の矢が立つ。

当初は協力する意思を見せない男だったが、自分を窮地に追いやった元上官が政府上層組織に食い込んでおり、大統領暗殺後クーデーターにより政権転覆を狙っている事を知り、新XXXとして彼の野望を止める
ために暴れ始める…


エクストリーム・スポーツと火器アクションを組み合わせ、ヴィン・ディーゼルの魅力もあってスマッシュ・ヒットした前作「xXx」の続編(もっとも前作目玉のアクション・シーンはプロの手によるスタントにCGで顔挿げ替えですが)。ハリウッドでは、フランチャイズを狙える大型作品は、監督や出演者に続編契約への縛りを入れるのが常套(でないと、過去カート・ラッセルが「エスケープ」シリーズでやらかしたように、「だってみんな俺を見に来るわけだし」とかゴネて出演料を理不尽に吊り上げてくる)。この作品には第1作がそれほど売れると思ってなかったのか、主演は別の映画の方が面白いとプロジェクトを降り、監督も交代。作品コンセプトも変わった、設定だけ借りた別作品のようになってました。(コレって過去量産されたホラーの続編クソ映画のパターンだなぁ)


まずまずの作り込みに思える脚本も、アクションもそれなりにちゃんとはしているのですが、コレ、という突出した売りが見当たらないのが弱点かも?アイス・キューブによる新xXxも、凡庸なキャラ付けで、前作ディーゼルのような魅力は感じられず。途中、色仕掛けのトラップにハマり窮地に立つシークエンスなんかは、なかなか面白く見れました。一方サミュエル・L・ジャクソンは相変わらず自信満々で見ているだけで楽しい。


お金はかかってそうなアクションも、全体に「雑」「大雑把」という印象は払拭できず。(演出のリー・タマホリ監督、「007 」は巧さが光っていたのになぁ) それでも最近のハリウッド流に、それなりにちゃんとした出来に仕上がっている点は流石。観劇には大画面と大音量のアシストが欲しい所で、そういう意味では映画館で見る価値のある作品と言えるのかも?

個人的には嫌いじゃないので、なんだかんだと文句を言いつつ、しっかり楽しんできたのでした。


IMDb: xXx: State of the Union
Official Site: Sony Pictures

xXx

ご存知、鈴木光司の原作(仄暗い水の底から)によるホラーのハリウッド・リメーク。演出は ウォルター・サレス監督。マネージャが泣きそうになるほど、変わった作品しか出たがらないというオスカー女優のジェニファー・コネリーが、ヒロインのシングル・マザーを演じ、脇もジョン・C・ライリーやティム・ロスなど中堅が固めるキャスティング。


ニューヨーク&ニュージャージーに舞台が移されてた本作、小汚いボロマンションを背景にしたシネマトグラフィが秀逸。壊れカkたエレベータやら、薄暗い廊下とか、ちょっとトラウマになりそうなくらい怖かったです。


自分は原作も日本版も未見なのですが、知り合いに聞いてみた所プロット的にはハリウッド版は原典にかなり忠実らしい。上の階に住んでいたのは旦那がロシア系マフィアのカップルで、"女の子"もロシア人だったりするのは異なるらしく、見た目はずいぶん違う事になってるのかもしれませんが。


日本人には当然に思える、無念・執念から家に呪いが憑く、という概念が平均的米国人の常識には存在しないようで、その辺の事情が、「呪怨」で理不尽に襲われる恐怖がヒットの要因となり、逆にこの作品ではなんとなく消化不良に感じているんではないか、と勝手な憶測を展開してみました。根拠はあんまり無いですが。


リング 」、「リング2 」のヒットもあってか、近所のシネコンではスクリーンを2枚さいて、相当集客が期待されていたようですが、米国での興行成績はいま一つパッとしなかったようです。近々邦題「ダーク・ウォーター」として日本に逆輸入されるらしいですが、人気、出るんでしょうか?出て欲しいな。


IMDb:Dark water
Official Site: Touchstone Pictures

DarkWater

主人公は父親の家業を継ぎ、不動産取引業、というよりは地上げ屋に近い荒っぽい仕事につく青年。心の中ではピアニストだった母親の想いもあって、音楽への情熱がくすぶっていた。ある日、街中で死んだ母親のマネージャを見かけ、オーディションがあると聞いた彼は、居ても立ってもいれない熱情にかられ、プロのピアニストを目指すべくピアノへのめり込んで行く。中国からの音大留学生を先生につけ、仕事を投げて練習へ熱中するのだが…


フランス映画だと知らずに映画館に入り、しばらくは滝のように流れる英語字幕を必死で追いながら見たのですが、久々に手ごたえがずっしりある内容にすぐに引き込まれて行きました。どちらかと言うと、プロットに展開されるイベントのシークエンス自体にはそれほど重きを置かず、登場人物の心境心理を味わい、人間同士の関係性を見つめる形式の、骨太の本格ドラマ。監督はジャック・オーディアール、主演はロマン・デュリス。


冒頭のさりげない会話シーンに、反発する父親への反発と愛情の葛藤というクサビを打ち込んであったりして、映画を映画として成立させるために使われているテクニックの厚みには相当なレベルの高さ。意表をつく後半の展開もあって観劇の満足度はたっぷり。フランス映画は役者の顔が個性的なのもあって、ハリウッド流の演技とは微妙に異なる味わいを感じる点も多いにプラス。予備知識ゼロで飛び込んだ劇場での思わぬ収穫に、ほくほくしながら帰路に着きました。


(でも、スペクタクルやシネマトグラフィ的には見るものが少ないこの手の地味な作品って、別にビデオ待ちでいいじゃん、って思わなくもないんですよねー。)


IMDb: De battre mon coeur s'est arrete
Official Site: Wellspring Media


TheBeatThatMyHeartSkipped

ミッドウェストの田舎町で、エミリー(ジェニファー・カーペンター)が衰弱死した。親友や家族、そして彼女自身も悪魔に取り付かれたと信じており、神父(トム・ウィルキンソン)に悪魔祓い(=エクソシズム)を頼んでいた結末だった。神父は、精神科医による投薬を阻み彼女を死に至らしめたとして起訴される。
州政府は凄腕の検察官(キャンベル・スコット)を立て、一方弁護側もハングリーにキャリアを求めるやり手の女流弁護士(ローラ・リニー)で裁判に臨む。自分自身の処遇よりも、エミリーに何が起こったか真実を語りたいとする神父の望みもあって、科学的精神病理的にエミリーの症状を立証しようとする検察側と、
超自然現象は存在し神父の行動は正しかったとする弁護側とが真っ向から衝突する裁判になるのだが…


スコット・デリクソンが演出した、オカルト法廷スリラー。映画の題名から「エクソシスト 」を連想したせいか、首を180度回して緑のゲロを吐いたりする派手目なホラーを想像していたのですが、映画の主題は、科学派 vx. 超自然現象派が裁判でお互いの立場を主張しあうという、真面目な法廷物でした。


ウィルキンソンの牧師、検察のキャンベル、弁護士のリニーの主演3人は、さすがベテランらしくディテールを作り込みつつ深みも出す完璧な演技。この映画の面白みの半分以上はこの3人の演技力にあると言っても過言でないような、見ごたえたっぷりで見事でした。

一方で残りは普通にまずまずの出来で、褒める所もも貶す所も見つからず。脚本に作品に具体化されている以上のポテンシャルを感じるも、演出は若干力不足。編集は中庸。怖がらせる所はもっとドッカンどっかん行けばいいのに、と歯がゆく感じる所も。理知的に理詰めでカチカチに固める場所と、情動で勢いに乗る所のコントラストがもっと出せれば、更に面白くなったのではないかと思ったりもしました。まぁ素人の無いものねだりって言われればそれまでですが。


場面場面で見所はいろいろある、いい意味でわりかし重たい映画でしたが、なんと言ってもエミリーを演じたジェニファー・カーペンター嬢の素の顔が怖かったのが印象的(トーリ・スペリングを不細工な角度で止めてびっくりさせた表情、みたいな?顔でした)。


題名からはちょっと想像できにくい真面目な映画で、平均以上の出来。見て損はしないクオリティはあると思いました。


IMDb: The Exorcism of Emily
Official Site: Sony Pictures

TheExorcismofEmily

政府管理下の倉庫から、自動小銃や銃弾が大量に強奪された。ATF(アルコール・タバコ・火器等取締局)のエージェント・デレック(サミュエル・L・ジャクソン)は身の潔白を晴らすために単独事件解明の調査へと乗り出す。
内偵者を通じ武器買い付けの商談を装った面会を設定するデレックだったが、相手は偶然待ち合わせ場所に居合わせたアンディ(ユージン・レヴィ)をアンディだと勘違いして接触。捜査を前に進めたいデレックは、嫌がるアンディを無理やり武器商人に仕立て、決定的な証拠をつかむためにおとり捜査を続行しようとするのだが…


古くは「34丁目の奇跡 」、お子様向けの「フラバー 」、最近では「ブルー・ストリーク 」など幅広く作品を手がけてきたレス・メイフィールド監督のクライム・アクション・コメディ。

過去、チグハグな二人組みの刑事コンビが犯罪を追う、というパターンの映画は山のように製作され、既に一つのジャンルとして確立されているかのようにすら感じます。組み合わせの奇抜さもそろそろ手が尽きてきた感もあり、そういう状況下で新作映画を企画するにあたっては、粗暴で切れ者の刑事を演じるジャクソンのカッコ良さと、平凡な歯科製品のセールスマンを演じるレヴィのダメさ加減のコントラストにオリジナリティを求めたのかもしれません。そういう製作側の狙いはある程度成功していたように思えます。


となると否が応でも注目せざるを得ないのが、主演二人の演技。サミュエル・L・ジャクソンは流石の貫禄ぶりで、いま一つ切れがない演出を振り切り、いつもの彼らしい俺様演技で映画をぐいぐい前に引っ張っています。一方、それと比べちゃうと相方はイマイチ。お膳立てなしの素の絵にユージン・レヴィをピンで立たせるのは、ちょっと辛いのかも。考えてみると、「アメリカン・パイ 」での父親役程度の露出なら面白く作品に食い込めるのに、オルセン姉妹のキャリアを撃沈した問題作「ニューヨーク・ミニット 」くらいの%で出てくるともう既に息切れ感。あの色物キャラクター一本で、2時間は間が持たないということなのか?

終わり 1/3 くらいになって、ようやく凸凹コンビのエンジンがかかり始めるものの、後半まで演出や編集にあと一歩の飛躍が欲しいと思い続けた観劇となりました。

大きな穴もない代わりに、どこを切っても「こちらの想定の範囲内」みたいなヌルーいカットが続くので、いい意味で安心、悪い意味でちょっと物足りなさも。でもラストは意外にも、しゃれたヒネリがぴりっと決まっていて、最後の最後でちょっと得した気分になったのでした。やっぱりジャクソンはすごい。


IMDb: The Man
Official Site: New Line Cinema

TheMan

チャーリー少年(フレディ・ハイモア)の家は町外れにあるボロ屋で。父はは工場の機械化によりリストラされ、母は極めて厳しい経済状況に頭を悩ませる。しかしチャーリーは、家族が皆で集まって暮らす生活を幸せと思っていた。
そんなある日、町の中心にあるチョコレート工場の経営者、ウィリー・ウォンカは、彼のブランドで出荷されているチョコレートの中に5枚だけ当たり券を入れたと発表。当たり券で、ここ数十年間誰も入った事のない工場を見学させてくれるというのだ。
世界中の子供達が券を求めてチョコレートを買いあさり、各地で当たりくじを引いた子供がニュースに登場する。未当選の券はあと一枚。チャーリーは当たりくじを引くことができるだろうか…?


主演ジョニー・デップ、監督ティム・バートン……という話は今更説明するまでもない程、広告宣伝が行き渡っていると思うので、前フリは端折っててきとーに感想など。


71年に同じロアルド・ダールの原作から作られた「夢のチョコレート工場 」は、米国内では家族向けミュージカル・ファンタジーとしてカルト的な人気が続いていたようで、今世紀に入ってからも折を見てリバイバル上映されているのを見聞きしていました。

一方、この最新版は、良くも悪くもティム・バートン色が強く反映されている仕上がり。物語の主軸は少年ではなく(影がえらく薄いのだ)、あくまでデップ演じるオーナー社長のウォンカなのだ。父子関係の葛藤などのサブプロットの強調に加え、バートン流のファンタジー、パステル・カラーなディズニーのそれではなく、ダークな「ナイトメア… 」系のそれ。だいたいキャスティングからして、父親役が「アドルフの画集 」でヒットラーを演じたノア・テイラー、母親が「ファイト・クラブ 」でズタボロの娼婦まがいを演じたヘレナ・ボナム・カーターという変態チックな配役だし。


*企画段階では、監督にマーチン・スコセッシ、ウォンカ役には、ジム・キャリー、ウィル・スミス、スティーブ・マーティン、ブラピ、ニック・ケイジ、アダム・サンドラー、クリストファー・ウォーケン、マリリン・マンソンなどの名前が挙がっていたそうな。実現してたらなんかすごい事になってたかも…


某テリー・ギリアム監督はこの映画に対し「デップ以外は立ってるだけの木偶の棒がそろったクズ映画」的な批判を加えていましたが、そもそも、ある程度厚みのあるキャスティングに芸のできそうな子役を揃えているにもかかわらず、バートンはあまり役者に芝居をさせる自由度を与えていない印象。

ミュージカル部分は自分的にはなんだか??で、良く理解できませんでしたが、ビジュアル的にはかなり尖ったセンスがいい感じ。ネスレ(旧姓ネッスル)が2000枚近くの板チョコを提供したそうで、カラフルなプロダクション・デザイン(セット)は死ぬほど金がかかってそうでした。


デップ人気のせいか、リメーク前のオリジナルの認知度のせいか、はたまた正しいタイミングでちゃんと観られる家族向け作品をリリースしたせいなのか、米国では公開8週目にして未だに14位に留まり、累計興行収入は200億を突破。制作には150億もかかってますが、十分ヒットと呼べる成績でしょう。日本でも邦題「チャーリーとチョコレート工場」として、今週末から一般公開です。果たして売れるかな?


IMDb: Charlie and the Chocolate Factory
Official Site: Warner Bros.

*そういえば、最近 WB の配給は日米の時間差がどんどん短くなってきてます。98年の「アベンジャーズ 」の公開時には、「米国から悪い噂が飛び火する前にとっとと海外興行で稼げるだけ稼ぐ」という夜逃げ商法かと思ったのですが。その後もWBは他の配給会社に比べ、劇場リリースもDVDリリースも時差を短くして来ているように思います。どんな事情なのかは知る由もないですが。


CharlieChocolateFacotry


ディナーの帰り道、ソフィー(コートーニー・コックス)とヒュー(ジェームズ・ル・グロス)は街角のコンビニにお菓子を買いに立ち寄る。ソフィーは車に残りヒューの帰りを待っていたのだが、彼は偶然居合わせた強盗に撃たれてしまう。
精神科セラピスト(ノーラ・ダン)や母親(アン・アーチャー)の助けを借り、彼氏を失ったショックから立ち直ろうと努力するソフィー。平穏さを取り戻したかに見えたのも束の間、教鞭を取る美術短大での講義中に、何者かが強盗事件当日に店先を写した写真をスライドに忍び込ませているのに気づく。彼女が事件の謎を調査するに従い、彼女の身の回りには奇妙な出来事が起こるようになるのだが…


ベンジャミン・ブランドのクリスプな脚本を「 groove -グルーヴ- 」のグレッグ・ハリソン監督が演出した、サイコロジカル・スリラー。
製作予算1500万、撮影日数15日、Sony Picture Classics 配給というぱりっぱりのインディ映画ですが、mini-DV カメラの機動性もあってかライティングやプロダクション・デザインなどは予算規模を超えたしっかり感があります。創意工夫が感じ取れる色彩デザインとサウンド・エフェクトは、幾度かちょっとでしゃばり過ぎかも、と思った場面がありましたが。


主人公のコートニー女史はTVコメディ「フ・レ・ン・ズ 」のモニカ役が有名ですが、この作品ではがらりと違うキャラクターのかなり特殊な精神状態を見事に演じています。「スクリーム 」フランチャイズでも、嫌味な突撃 TV レポーター役で出ていましたが、思いのほか演技の幅が広いのかも、と、映画女優として技量を再認識。


デジタル編集の技術的進歩という背景もあるのでしょうが、この作品も昨今流行っている、やたらと凝った構成のエディティング。劇中でソフィーが歩む、リアリティと無意識とが混沌とまざりあう超現実的な世界からリアリティへの解脱を、観客はリアルタイムで同時体験する、という仕掛けで、この辺りの作り込みはちゃんと機能していたように思います。


で、振り返ってこの作品を考察するに、実験映画的な飛躍と遊びは十分成功している一方で、映画を映画として成立させる基本要素は最低限ぎりぎりの肉付けしか無い。意図的であれ結果的であれ、物語の深みやキャラクターの厚み(母親の描写がアレだけって反則でしょう)については、少し物足りなさも残りました。

困惑と混乱、あいまいさと事実がシーソーのように行ったり来たりする物語進行の中で、観客も多義性の海を自分で舵取りして岸にたどり着かなければならない --- いやー、こういう映画、好きです。


監督は「トラウマの支配下では、何を記憶するか、何を記憶しないかの無意識の選択が人間にはあり、それは事実を許容するためのプロセスの一環だと思う」というような発言をしていました。自分はエリザベス・
キューブラー・ロスの 5段階説(否認と孤立、怒り、取引、抑うつ、受容) をなんとなく連想したのでした。


個人的にはすごく好きなジャンルの映画なので、最初から最後までみっちり楽しむ事ができました(同じ映画を2度映画館で観るほどのお気に入り)。全米20スクリーン前後で累計興行収入は1600万円程度、と箸にも棒にもかからない程マイナーな映画ですが、もし観る機会があってこの手のジャンルが嫌いじゃなかったら、ぜひ。


ちなみに本作品は2004年のサンダンス映画祭に出品され、撮影賞を受賞しています。


IMDb: November
Official Site: Sony Picture Classics


November

お人好しだが気弱なウィルはもうすぐ高校入学。彼に愛情を注ぐ父スティーブ(カート・ラッセル)とジョージー(ケリー・プレストン)の表の職業は不動産エージェントだが、裏の正体は怪力のザ・コマンダーと空を飛ぶジェットストリームというスーパー・ヒーロー夫婦。ウィルの入学する高校も、空中に浮く秘密の場所にあるスーパー・ヒーロー養成学校である「スカイ・ハイ」だ。

しかしウィルには生まれつき何一つ特別な能力がなく、今まで両親の前ではフリだけでごまかしていただけだった。世界的に有名な両親のせいで周囲の注目を集めるウィルだったが、実力の無さはすぐにバレ、近所の幼馴染の女の子レイラ(ダニエル・パナベーカー)と共に、落ちこぼれ達が集まる「ヒーロー・サポート」に振り分けられてしまう。また学校一の暴れ者ウォーレン(スティーブ・ストレイト)の父親はかつてウィルの父が倒した悪者で、入学早々ウィルはいじめっ子達に目を付けられてしまう。
そんな彼にもやがて転機が。ダメ同士のクラスメートの結束は固くなり友達も増える。またいじめを創意工夫でかわしたあと、実験クラスでクラス一の美女グエン(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)に気に入られ、
二人の仲は急接近。ウィルを密かに想うレイラはちょっと面白くなく、あてつけにウィルの天敵ウォーレンとベタベタして見せるのだが…


デュース・ビガロウ、激安ジゴロ!? 」や「Surviving Christmas 」(←これはハズれました)で知られる中堅マイク・ミッチェル監督が演出。ディズニーが製作しブエナビスタ・ブランドを付けて PG レーティングで公開された、ファミリー向けアドベンチャー・コメディ。タイトルは「XX高等学校」の略称「XX High」というのと、青天井の意味を引っ掛けてあるのかな?
ジャニーズのように層の厚い子役予備軍を持つディズニーらしいキャスティングでそこそこ巧い子役が山のように出演。有名所は両親役のカート・ラッセルとケリー・プレストンですが、スーパーヒーローに扮する二人のタイツ姿はあんまり見たくはなかったかなー。


設定が一部「Mr.インクレディブル 」や「スパイキッズ 」などと被ってますが、ターゲットは微妙に違うという感じ。本作は普通に良く出来たエレベータ・ミュージック風ソフトジャズみたいな、いい意味でも悪い意味でも万人向けの仕上がり。バタ臭いアメリカンなハイスクール・ライフ的バイアスが強すぎる箇所は日本人にはつらい所もありましたが、学校生活特有のいろんな空気、みたいな物はきちんと捕らえられているあたりは良かったと思いました。
すべてがベタにディズニー調色眼鏡を通してですが、劣等コンプレックスやピア・プレッシャー、両親からの期待とそれに対する反発、等々の書き込みはちゃんとしていて、能天気なティーン・コメディに+アルファがある所は好きです。


調べてみたら製作予算35億で米国興行収入が55億強、という収支らしいですが、この手の中規模作品を手堅く量産できるノウハウとリソースを蓄積しているあたりにディズニーの強さがあるのかなぁ、と思ったのでした。


IMDb: Sky High
Official Site: Disney


SkyHigh

時は近未来、科学者チームは生物の進化を決定付けて来たと思われる宇宙線の調査に旅立つ。しかし予測を大きく上回る速度で接近したため、調査チームはシールドを閉める暇もなく宇宙放射線を被爆してしまう。
帰還後、探査チームのキャプテン、リード(ヨアン・グリフィズ)は体をゴムのように変形させる能力(=Mr.ファンタスティック)を、科学者スー(ジェシカ・アルバ)は体を透明に出来る能力(=インビジブル・ウーマン)を、宇宙飛行士のジョニー(クリス・エヴァンス)は炎を操る能力(=ヒューマン・トーチ)を、そして実験技師のベン(マイケル・チクリス)は全身が硬い岩で覆われ怪力(=ザ・シング)を身につける。一方、実験の出資者で探索にも同行したビクター(ジュリアン・マクマホンン)も体が金属化し磁力を操る能力を持ち始めていたのだが…


と、この夏にまたしてもやってきたアメコミ原作の大型アクションVFX作品。アメリカン・コミックは良く知らないし、さほど興味も無いので、特に大きな思い入れも持たずに観に行ったのですが、観劇後の印象は、意外にも普通の映画だったなー、という物。
大きく破綻している部分も目に付かない代わりに(さすがに「この服も一緒に放射線を浴びたから俺達と同じ能力を持っている(よく伸びたる/透明になる)」って台詞には吹き出しそうになりましたが)、「おぉっ」とうならされるようなビビッドなカットもあまり無い。澱みなく最初から最後まですっー流れる演出+編集は、ある意味スムーズ過ぎてちょっと物足りなかったかも。

それなりに金はかかっているのであろう特殊視覚効果(VFX)も、どこかで既に見た事があるような物が多く、ともすれば一周遅れの安い空気が滲み寄ってくるあたりはいささか不安になりました。観客の頭には「スパイダーマン」、「X-マン」、「バットマン」等数多くの傑作フランチャイズが既にあるわけで、これらと比べてしまうとやっぱり… 劣等感(≒ピア・プレッシャー)に日々悩む内気な少年達の、思い入れや夢想を受け止める器としては、ちょっとこじんまりまとまり過ぎちゃったかなー


一部の噂のあった、Mr.ファンタスティック=ジョージ・クルーニー、インビジブル・ウーマン=ナオミ・ワッツ、ヒューマン・トーチ=ポール・ウォーカーザ・シング=ジェームズ・ガンドルフィーニ、Dr.ドゥーム=ティム・ロビンス、というキャスティングをスティーブン・ソダーバーグ監督が演出してたら、すごく面白かっただろうなぁ、とも無いものをねだってみたり(でも相当おっさん臭いっすね、コレはこれで…)


で、不満タラタラの観劇だったか、というと、実はそうでもなく、結構楽しんで観れた部分も多々ありました。なかでもジェシカ・アルバ嬢は、役の設定である理系女子にはあんまり見えなかったけど、今回もキュートで魅力的。初めて「アイドル・ハンズ 」で彼女を見た時には「えらいかわいいけど一発で消えていくんだろうなぁ」とか思っていたのですが、そのすぐ後でバリモア女史の「25年目のキス 」で、性格ブスの意地悪クラスメート役で再開。その後しばらく映画出演はブランクだったのが「ダンス・レボリューション 」では演技も踊りも魅せる主演デビューでびっくり。そして先日観た「シン・シティ 」ではセクシーさとあどけなさが同居する役をうまくこなし、ブルース・ウィリスと並んでも萎縮しない存在感を出していたのが印象的。今後ますます伸びそうな女優として要注目かも?


と、長々とジェシカ・アルバ嬢への脱線が続きましたが、振り出しに戻って、この作品、いい意味でも悪い意味でも平均的なハリウッド映画だったように思います。制作費100億で米国国内興行収入が150億、は製作側としては不本意な成績でしょうが(広告に気合入ってたからなー)、日本ではどうなりますか?
たまにはこれくらいヌルい映画を、肩の力を抜いてのんびり楽しむのもいいかな、なんて事を思ったりしたのでした。


IMDb: Fantastic Four
Official Site: Twentieth Century Fox

FantasticFour

フランク(ジェイソン・ステイサム)は、依頼物を指定場所に時間通りに運ぶドライバー。法外な料金と引き換えに、どんな障害をも乗り越え物を指定通りに届けるプロ中のプロだ。そのフランクは、ここの所フロリダで
上流家庭の一人息子の学校への送り迎えする仕事を引き受けていた。しかし、南米マフィアの息のかかった冷酷非情な犯罪組織が息子を誘拐しようと接近したため、フランクは単独孤立でマフィアと立ち向かう事になる…


リュック・ベッソンの原案・脚本を、同じく彼の手による「ダニー・ザ・ドッグ 」も演出したルイ・レテリエ監督が演出。前作「トランスポーター 」では、コリー・ユンも監督として共に名前が出ていましたが、今回はルイ監督の名前のみがクレジット。


夫との不仲から、息子に慕われているフランクへ恋心を抱く人妻役でアンバー・ヴァレッタ、マフィアの女流凄腕刺客としてケイティ・ノタ、他にはバカンスに訪れたのに事件に巻き込まれ警察に捕まるも裏からフランクを支え続ける友人役でフランソワ・ベルレアン。


なんとなく大味で締まりのなかった前作は、さほど客も入っていなかった印象もあり、金勘定の細かいハリウッドの体質を考えるに「えー続編が出来るの?」と正直驚いたわけなのですが、調べてみると、このシリーズ、フランス・米国の合資製作でした。制作費も約20億とアメリカ映画と比べるとこの手のジャンルにしてはお安い作り(ハリウッド映画の平均製作単価は40億だそうで)


前作は BMW、今回はアウディ、と車は変わったものの、基本構成は1作目を踏襲。前半でクールなカーチェース・シーンをたっぷり見せ、後半は超人的なフランクの格闘術を香港スタイルでたっぷり魅せるわけですが、消防ホースを使ったアクションとか、どことなくジャッキー・チェーン風でユーモラスでもあったり。


特筆すべきは、冒頭マフィアのボスが披露する剣道。日本人なら誰もがずっこけるようなめちゃくちゃなコリオグラフの、あまりのぶっ飛び方に腹がよじれるほど笑わせていただきました


リュック・ベッソンの原案、というだけで、おそらく多くの人を襲うであろう悪い予感そのまんまのような出来ですが、頭を空っぽにしてアクションを楽しむと割り切ればそれなりに楽しいと思います。一作目よりはちゃんとしたお話になっていたと思いますし。自分個人的には割引で入った入場料の元は取った、くらいの満足は十分ありました。邦題はそのまま「トランスポーター 2」になるようです。


IMDb: Transporter 2
Official Site: Twentieth Century Fox


PS: これ、おそらく3作目が作られる事になると思うので、日本の自動車会社にベッソンにプロダクト・プレースメントの交渉に行く事をお勧めしたい。1億+実車3台支給くらいでやってくれそうな気がするんだけどなー。米国市場で走りのイメージがある日本車って何だ? アキュラとかかなぁ…


TransPorter2