同棲中のボーイフレンド・ゲリー(ダミアン・ルイス)の暴力に耐えかね、シングル・マザーのジェーン(ジェニファー・ロペス)は娘のグリフ(ベッカ・ガードナー)を連れて家を飛び出す。
車も壊れ所持金も残り少なくなった親子は、アイオワの田舎で牧場を営む義父アイナー(ロバート・レッドフォード)を頼る事に。グリフは祖父が生きていた事を知らず、彼も孫娘が居た事を知らないほど、アイナーとジェーンの関係はねじれていたが、あどけないグリフの存在や、牧場で働くアイナーの旧友ミッチ(モーガン・フリーマン)のささやかな押しもあって、祖父、娘、孫娘の関係は徐々に改善して行くかに見えたのだが…
マーク・スプラッグの同名小説(日本語訳題「果てしなき日々」) を、マーク自身が脚色し、「サイダーハウス・ルール 」などでしられる大御所ラッセ・ハルストレム監督が演出したヒューマン・ドラマ。レッドフォード、フリーマン、ジェニロペ、という豪華キャストは当然のように期待通りの巧さを見せてくれるのに加え、「ドリーム・キャッチャー 」での演技が印象に残るダミアン・ルイスも子役のベッカもなかなかいい演技を付けています。
雄大な自然に囲まれた牧場のレッドフォード、という所だけ聞くと過去の「モンタナの風に抱かれて 」を彷彿させられますが、キャラクター的にはずいぶん違う味付けがしてあるせいか、この被りはあまり気にならず。一方、ストーカーまがいの暴力夫に怯える娘を連れたシングル・マザー、という役はジェニロペの「イナフ 」が思い浮かびます。演技の幅がいっぱいいっぱいなのか、こちらのダブり具合はちょっと気になって、ひょっとするとこのままジェニロペが元彼をイスラエル軍式護身術クラヴマガでボコボコにするんじゃないかと、なんとなく不安になってしまいました(ってちょっと大げさか)。
豪華なキャスティングに目を奪われがちですが、この映画、キャラクター・ドリブンではなく、プロット・ドリブンが勝っている印象。原作者自らが脚色している脚本は奥行きが深く、久々に物語を追う楽しみを感じさせてくれる作品でした。義父と娘の関係性を、ミッチと熊、義父と孫娘など別の組み合わせを使い何度もなぞり返すという作り込みの巧さには脱帽。
画面や台詞に含まれない舞台裏の時間とドラマを感じさせる上品な演出は流石と感心させられる一方で、前へ前へと急いで進む編集はちょっとせっかちだった印象も。107分まで短く刈り込む必要もなかったんじゃないかなぁ。
ミラマックス製作配給+ラッセ・ハルストレム監督、と来ると、いかにもオスカー狙いの賞取り映画、という売り方が鼻に付くのが常ですが、この映画はそういう変な先入観が無く普通に観れたのは幸運だったのかもしれません。
良質の小説を読み終わったような、爽やかな気分になれた観劇でした。ジェニロペ色は意外なほど薄いので、ラッセ・ハルストレムやロバート・レッドフォードが嫌いじゃなかったら、ぜひ。
IMDb: An Unfinished Life
Official Site: Miramax







