同棲中のボーイフレンド・ゲリー(ダミアン・ルイス)の暴力に耐えかね、シングル・マザーのジェーン(ジェニファー・ロペス)は娘のグリフ(ベッカ・ガードナー)を連れて家を飛び出す。
車も壊れ所持金も残り少なくなった親子は、アイオワの田舎で牧場を営む義父アイナー(ロバート・レッドフォード)を頼る事に。グリフは祖父が生きていた事を知らず、彼も孫娘が居た事を知らないほど、アイナーとジェーンの関係はねじれていたが、あどけないグリフの存在や、牧場で働くアイナーの旧友ミッチ(モーガン・フリーマン)のささやかな押しもあって、祖父、娘、孫娘の関係は徐々に改善して行くかに見えたのだが…


マーク・スプラッグの同名小説(日本語訳題「果てしなき日々」) を、マーク自身が脚色し、「サイダーハウス・ルール 」などでしられる大御所ラッセ・ハルストレム監督が演出したヒューマン・ドラマ。レッドフォード、フリーマン、ジェニロペ、という豪華キャストは当然のように期待通りの巧さを見せてくれるのに加え、「ドリーム・キャッチャー 」での演技が印象に残るダミアン・ルイスも子役のベッカもなかなかいい演技を付けています。


雄大な自然に囲まれた牧場のレッドフォード、という所だけ聞くと過去の「モンタナの風に抱かれて 」を彷彿させられますが、キャラクター的にはずいぶん違う味付けがしてあるせいか、この被りはあまり気にならず。一方、ストーカーまがいの暴力夫に怯える娘を連れたシングル・マザー、という役はジェニロペの「イナフ 」が思い浮かびます。演技の幅がいっぱいいっぱいなのか、こちらのダブり具合はちょっと気になって、ひょっとするとこのままジェニロペが元彼をイスラエル軍式護身術クラヴマガでボコボコにするんじゃないかと、なんとなく不安になってしまいました(ってちょっと大げさか)。


豪華なキャスティングに目を奪われがちですが、この映画、キャラクター・ドリブンではなく、プロット・ドリブンが勝っている印象。原作者自らが脚色している脚本は奥行きが深く、久々に物語を追う楽しみを感じさせてくれる作品でした。義父と娘の関係性を、ミッチと熊、義父と孫娘など別の組み合わせを使い何度もなぞり返すという作り込みの巧さには脱帽。
画面や台詞に含まれない舞台裏の時間とドラマを感じさせる上品な演出は流石と感心させられる一方で、前へ前へと急いで進む編集はちょっとせっかちだった印象も。107分まで短く刈り込む必要もなかったんじゃないかなぁ。


ミラマックス製作配給+ラッセ・ハルストレム監督、と来ると、いかにもオスカー狙いの賞取り映画、という売り方が鼻に付くのが常ですが、この映画はそういう変な先入観が無く普通に観れたのは幸運だったのかもしれません。

良質の小説を読み終わったような、爽やかな気分になれた観劇でした。ジェニロペ色は意外なほど薄いので、ラッセ・ハルストレムやロバート・レッドフォードが嫌いじゃなかったら、ぜひ。


IMDb: An Unfinished Life
Official Site: Miramax

AnUnfinishedLife

最近のハリウッド発の大型興行作品のラインナップを見ていると、原作付き(近年アメコミが多い)、リメーク、続編映画ばかりで、新しいアイデアって枯渇しちゃったかのようにすら感じてしまう。で、そんな中でTBテーマに絡む続編映画が作られる事情なわけですが。


伝え聞く話によると、映画の興行は大昔から今にいたるまで博打勝負。当たれば投資の何十倍にも利益がでるが、外れると1割の回収もおぼつかないハイリスク・ハイリターン型の商売。株式会社化している大手ハリウッド・スタジオ的には、会計・経理上、そーゆーのはちと困る。
「こうやれば確実に売れる」という方程式は未だに確立できず。いい脚本家や役者、監督を揃えてもいい作品ができるとは限らず、よしんば"いい"作品が出来てもさっぱり人気がでないという場合もあるわけで…
(90年代ITバブルで景気が良かったころは、作れば必ず大ヒットする凄腕プロデューサの神通力がまだ生きていて、先に夏休み開始日のベストな公開日で劇場を押さえ、役者と監督を抑え、
脚本は後でどうにでもなるから、という順番で映画を作っていた会社もあったとか)。


で、各興行会社が血眼になって発掘しようとしているのが「フランチャイズ」できるシリーズ映画。無理せず手堅く普通に作れば、1作目の8割くらいの集客が予想できるし、知名度は浸透しているからTV放映権は高く売れるし、セルDVDの広告宣伝費を抑えられる、という一石二鳥。野球に例えるなら、出塁率が悪い長距離バッターより、確実にヒットや送りバントができる打者を揃えたい、とう感じでしょうか?


と、そういうわけで、WBのハリーポタ、ソニーのスパイダーマン、みたいなシリーズ物をどの配給会社も必死に確立しようとしてるんだそうな。どうりで最近、ラスボスを倒して大団円というエンディングの最後に(まだ終わってないよ)的なカットをちらっと入れて続編に含みを持たせる映画がやたらと多いわけだ。あんまりそんなのばっかり続けて見せられると「心配しなくたって、こんなダメ映画、どうせ大ゴケして続編なんか作れねーよ」と毒づきたくなったりもしますが。

舞台は21世紀の半ばのシカゴ中心部。タイムトラベルを始めて商業実用化したタイム・サファリ社は、金持ち相手に恐竜ハンティング・ツアーを開催開始。やり手社長(ベン・キングズレー)に雇われた科学者トラビス(エドワード・バーンズ)はツアー・ガイドを勤め、過去を何も変えないこと、過去から何も持ち帰らない事を徹底するよう最新の注意を払っていた。


が、そんなある日の朝、昨日までと何かが微妙に違う事に気付く彼。その日のタイプトリップは何故か計算から5分ずれて到着してしまう。事態を重く見た政府の監視員はシステムのシャットダウンを命じる。しかし時は既に遅く、オリジナル・システム開発者のルーカス博士の恐れていた通りに、タイムトラベルの副作用で世界は大きく変わり始めていた…


レイ・ブラッドベリの原作「雷のとどろくような声」を、SFアクション・アドベンチャーに仕立てた、製作予算80億と伝えられる本格ジェットコースター・ムービー。監督は過去、ブリュッセルからきた筋肉ことバンダム主演の「タイムコップ 」でもメガホンを取っている ピーター・ハイアムズ監督(うーむ、味付けはだいぶ違うが、両者は思いっきりカブってるなぁ)


この手の映画って、特殊効果に制作費を回すためにキャスティングがしょぼいのが常だったりしますが、本作品はてオスカー俳優のキングスレーと、「彼女は最高 」等で脚本・演出・出演をこなす才人出演: エドワード・バーンズ、となかなかの奮発ぶり。残りはまるでB級大部屋俳優のようなセコい配役でしたが。


間違った方向に進化した怪物達が夜のシカゴで暴れまわる、というスペクタクルがお約束のように用意されているわけですが、怪物の造形が、暴力猿+大型トカゲ風で、これはなかなか良いと思いました。黄色に光る両目だけを残して後ろの闇にすっと引いて消えていくシーンなど、シネマトグラフィもいい。

製作プロダクションが破産して、撮影が中断してた、等の噂を伝え聞き、どうせダメダメ映画だろうと、かなり期待度を下げていったのが功を奏したのか?意外なほどに楽しんでみれたのでした。


設定のリアリティ等ハードSFを期待していくとガッカリでしょうが、水に石を投げ入れて波紋が立つように、世界が段階的に変化して行く、というアイデアを一つ入れているおかげで、物語的にはぐっと動きが出ていたと思います。


ふと考えるに、過去、タイム・トラベル物ってたくさん作られてきたわけですが、最近面白かったなー、と思ったのはアシュトン・カッチャー主演の「バタフライ・エフェクト 」(←どこまでも意地悪な話だった)、と、エイドリアン・ブロディと キーラ・ナイトレイの「The Jacket 」です。好みが別れる所でしょうが、個人的には「ジャケット」のプロットと映画のトーンにとってもシビれたのでした。


邦題「サウンド・オブ・サンダー」として(また冠詞は抜くわけね?)近々日本公開だそうです。原作は横に置いておいて、アクションを楽しめるなら…


IMDb: A Sound of Thunder
Official Site: Warner Bros.

ASoundOfThunder

クアド・ラグビー、もしくはウィルチェアーラグビーと呼ばれる競技がある。身体障害者が車椅子に乗って行ううラグビーで、かつては「マーダーボール」と呼ばれた過激なコンタクト・スポーツである。
一部には認知されているが、一般にはまだあまり知られていないこの競技を取り上げ、数年間に渡りアメリカの選抜チームで活躍する選手達を追ったドキュメンタリー映画が本作品。

今年のサンダンス映画祭など複数の映画祭で評判を集め、製作・国内配給を行う MTV が「Jackass Presents: Murderball 」という特別番組を流した話題作。(*この TV 特番、タイトル通り、ジャッカスでおなじみの、ジョニー・ノックスビルやスティーブ O らが登場)


競技のルールから(障害の重度をばらけさせて選手を起用しなければならない)、頸髄損傷の説明(損傷する箇所が頭に近くなるほどの障害は重くなる)、など、舞台背景を丁寧に説明したあと、選抜チームで活躍する個々の選手について、障害を負った背景から現在の生活までをカバーする、なかなか芸の細かい
技巧的な作り込み。


映画のメイン・キャラクターは、米国チームのエースの、短髪+ひげに全身刺青というパンクな外見の一方で真面目で真摯な青年マークと、年齢のため米国選抜から漏れたのを潔しとせずカナダ選抜チームのコーチとなって復讐をねらう中年ジョーの二人。スポーツ万能の若者が事故から半身不随になり車椅子の球技を始めたりするケースなんかも多くらしく、"紳士のスポーツ"っぽさはあまりなくて、選手は見ていてハラハラするほど元気で過激で明るい。


交通事故を起こし障害を負わせた元親友との関係や、リハビリを通じて受け入れがたい現実を受け入れ新たに人生を歩み始める過程など、見ていてちょっとシンドイ部分もあり、逆にあくまで強い登場人物から勇気付けられる所もあって、見ごたえは十分。部分・部分の力強さもさることながら、1時間半弱の一本の映画として、起伏のある編集でちゃんと構成がしっかりしている点が、すばらしかったと思います。


障害者を変に持ち上げたり聖人君子として距離を取ったりせず、観客と等身の距離に立ち位置を置く所が、とても好感が持てました。事故から半身不随になって最初に心配するのが「Hはできるのかな」という事だったり、事故後初めて一人Hするのが大変だった話とか、観ていて、うーむ、と思う所も多々。先日みた英国映画で、障害者が主人公でありながら、障害物と括り切れない青春映画「Rory O'Shea Was Here 」(米国公開名、本国英国原題では"Inside I'm Dancing")でも同じような印象を持ちましたが、最近はこういうスタンスが流行りなのかも。


個人的には、国際試合のシーンで、日本チームが一瞬だけ写るのだけれど本当に一瞬しか写らないのがちょっと残念。それとラスト近くで、イラク帰りのあどけない負傷兵達に競技をひろめに行くシーンも、時間切れでちょっととっちらかっちゃったかなぁ、という箇所も目に付きました。


しかし、よく出来たドキュメンタリー映画であることは間違いなく、観劇後は万人に薦めて回りたい衝動にかられました。MTV の製作と国内配給で、結構ハデにプッシュしていた割には公開8週目で53位、累計興行収入が 1.5億というのは少し寂しい成績。もうちょっと売れても良かったんじゃないかな、と思ったのでした。


IMDb: Murderball
Official Site: ThinkFilm

MurderBall

ケニアの英国領事館に勤務するジャスティン(レイフ・ファインズ)は、出世や人付き合いより庭いじりを愛する真面目で温厚な外交官。最愛の妻テッサ(レイチェル・ワイズ)は、彼とは対照的に情熱的で活動的。医療ボランティアの活動に燃える彼女は、2~3日後に戻ると言って現地人医師と共に飛行機で内陸へと旅立つのだが…


ピアース・ブロスナンとジェフリー・ラッシュ主演「テイラー・オブ・パナマ 」の原作でも知られるサスペンス作家ジョン・ル・カレの原作を「シティ・オブ・ゴッド 」のフェルナンド・メイレレス監督が演出した、スリラー・ドラマ。

映画館で流れる予告編はスリラー・サスペンス色を全面に押し出していましたが、実際に見てみると、プロット・ドリブンのヒューマン・ドラマで、人間や社会の悲哀を巧みに映し出す大人の味わい深い作品という印象です。


「薄幸のプリンス」とでも呼びたいほど悲しい目をさせたら天下一品のレイフと、ちょっとミステリアスでセクシーなワイズの二人のキャスティングはぴったり。アフリカの大地を色鮮やかに切り取るシネマトグラフィも綺麗。そして時系列をシャッフルするトリッキーな構成ながらも物語を前へ前へとグイグイと引っ張る馬力のある演出。近年まれに見る骨の太い作風でとても見ごたえがありました。


イングリッシュ・ペイシェント 」風に胸が締め付けられる純愛ドラマもあり、アフリカの民を蝕む国際政治と巨大コングロマリッドの陰謀もあり、盛りだくさんのプロットを、ディテールをはしょらずにきちんと2時間強にまとめてある編集もなかなか。


個人的にとてもつらかったのは、手持ちカメラのふらふら画像が結構長く続く事。スピードのある監督流の演出なのは理解できるのですが、自分は極めて映像酔いに弱いもんで…


飲み込むのが少しシンドイようなほろ苦い世の中の不条理を描きつつもエンターテイメント性も持っている、という所がお勧めのポイントになるのかもしれません。出来の良い長編小説を読みきった後のような、確かな満足感を味わえる一方で、平均的ハリウッド映画とはどこか違う不思議な後味もあった作品でした。


IMDb: The Constant Gardener
Official Site: Universal

TheConstantGardener

デトロイトのグロッサリー・ストアで強盗の流れ弾に当たり老婆が殺された。その葬式に参加するため故郷へと戻ってきたのは、彼女に育てられた四人の養子兄弟だった。札付きのワルと評判の自分達の引き取り保護してくれた彼女への想いをかみしめつつ悲しみにくれる四兄弟だったが、やがて彼女の死は偶然ではなく、何者かの意思による計画殺人だっと知る。四人は街に留まり犯人を突き止め復讐しようとするのだが…


文芸調ブラック・ムービーの「サウスセントラルLA 」から商業ブロックバスター「ワイルド・スピードX2 」まで作風の幅を広げてきたジョン・シングルトン監督の最新作。

西部劇の大ファンだという同監督が、ジョン・ウェイン&ディーン・マーティンの「エルダー兄弟 」のリメークを撮影、という企画だそうで、プロットはやっぱりストレートで古典的な展開。正義の復讐に燃える熱血漢が、街の権力者に対して不利を承知で立ち向かう、という「西部劇における悪徳保安官退治」のプロットを現代
に置き換え、原作にある謎解きとサスペンスに加え、今風のブラック・ムービーの要素が散りばめてあるという構成でした。


四人の"ブラザー"を演じるのは、マーク・ウォルバーグ、タイリース・ギブソン、アンドレ・ベンジャミン、ギャレット・ヘドランドの黒人二人+白人二人という構成。この他先日公開されたMTV製作のラップ・ドラマ「Hustle & Flow 」で主演していたテレンス・ハワードが刑事役で登場。で、残りはよく知らない顔でした。


細部を気にせず文字通り暴力的にグイグイ話の展開を引っ張るあたりはいつものシングルトン節ながら、今回ことさらラフなのは客層をねらって「あえて」の意図的演出なのでしょう。この手のブラック・ムービー(コレ主演はウォルバーグ=白人ですが)って、不思議と完全懲悪のモラルに満ちた寓話的でメロウな物も少なくないですが、本作もえらくバイオレントな一方で妙なセンチメンタリズムが同居しているのが面白い。

いくら狙ってやっていても、今時こりゃー無いんじゃないの? という箇所もちらほらありましたが、パワーで押し切る展開にちょっぴりヒネったオチもあって、個人的にはなかなか楽しめました (でも自分の敬愛する某映画評論家はめったに出さない評定=Dでズタボロにケナしてました…うーむ)。


制作費30億、製作総予算45億と伝えられていますが、興行収入は公開3週目にして55億を突破。興行的には成功した作品、とは言えそうです。


IMDb: Four Brothers
Official Site: Paraount Pictures

FourBrothers

映画「スクリーム 」の続編スクリーム 2 」でも、映画ヲタクのランディ君に「定義からして続編映画はダメ映画」("By definition alone, sequels are inferior films ")という台詞がありました。映画の中では、続編映画の中にも良い作品はあると食ってかかるクラスメイト達を:

エイリアン2 」 → 好みはいろいろだけど、リドリー・スコット監督は神様だし

ターミネーター2 」 → 最初のは不朽の名作だけど…

帝国の逆襲 」 → 計画して作られた3部作の中篇(続編ではない)

ゴッドファーザー2 」 → 授業終了でうやむや

という具合にあっさりスルーしていました。


スピード2 」は、嫌がるサンドラ・ブロックに対して、彼女の製作プロダクションで「微笑みをもう一度 」を撮らせてやるから、というバーター取引で配給会社が無理やり出演させたんじゃなかったでしたっけ? 「ツイスター 」までは冴えまくっていたヤン・デ・ボン監督の神通力も消え、「コムロ、ハリウッドへ進出」などという嘘臭いタイアップもあったりと、きな臭さだけが残る変な映画でした。


最初のは良かったんだけど、続編を作って失敗、って例は、たくさんありすぎて迷うしイマサラなので、逆に続編の方が良かったものを。真っ先に浮かんだのは、「X-メン 」≪「X-MEN2 」、「スパイダーマン 」≦「スパイダーマン2 」等ですが、オリジナルより続編の方が好きな上に続編だけ見ても立派に作品として成立しているという稀有な例として「恋人までの距離(ディスタンス)」 と「ビフォア・サンセット 」が上げられるのではないでしょうか?

舞台は、80年代冒頭の架空の都市。政治腐敗が進み、混沌とした世界。権力者は法を逃れるすべを知り、汚職警官は悪事に加担するそんな町にも、自らの信念を貫こうとする少数の勇敢な者達も居た…


フランク・ミラーのヴィジュアル・ノベル(コミック)を、ひたすら原作に忠実にロバート・ロドリゲスが映像化した、バイオレンス・アクション・スリラー。普通なら十分主役をはれるA級役者がずらりと顔をそろえた話題作でもあります。名前の一部を並べると、ブルース・ウィリス、イライジャ・ウッド、ミッキー・ローク、ブリタニー・マーフィ、ベニチオ・デル・トロ、クライブ・オーウェン、ジェシカ・アルバ、ロザリオ・ドーソン、マイケル・クラーク・ダンカン、ジョッシュ・ハートネット、マイケル・マドセンなどなど。またゲスト監督として、(とびきりバイオレントな)ベニチオのシーンに、クエンティン・タランティーノが演出しているんだとか。

この他、目に付いた配役として、TV 「Gilmore Girls」シリーズからアレクシス・ブレデル、高級鉄板焼きレストラン・チェーンのベニハナ創業者の娘としても知られるモデル兼女優のデボン青木などの顔も。


フランク・ミラーの原作は真面目に読んだ事はないのですが、断片的に見聞きする限りではそのビジュアル・エレメントは映画から強い影響を受けているという印象。その"映画"的な要素を持つスタティックな2次元構成を映画に戻す際、ロドリゲス監督は、あえて2次元→3次元の再変換という素直なラウンド・トリップをさせずに、劇画チックな癖や歪みをそのまま残すという、言ってみればかなり実験作品っぽい作りにしてある点が面白かったと思います。

ちょっと安っぽい CGI 背景との合成(全編ブルー・スクリーン前でデジタル・ビデオ撮影)や、人工的でバタ臭いモノクローム化(+一部着色)など、コミックの絵をそのまま動かす、という目的に一致した合理的でうまい処理だと思いました。一方で、延々と続くボイス・オーバー(ナレーション)など、映画的にはちょっと反則だと思わなくもない部分も在りましたが。


デジタル処理はロドリゲス監督のインハウス・ワークだそうで、制作費45億円というのは一般的なやり方の半額程度に収まっているんだとか。R 指定にもかかわらず、米国で 74 億の興行成績をあげた作品。もうすぐ日本でも邦題「シン・シティ」で公開だそうですが、この極めて暴力的でグロい劇画映画、日本では受けるのか、興味のある所ではあります。ちなみに、米国では来年に「Sin City 2」が、2008年には「Sin City 3」の公開が予定されています。


IMDb: Sin City
Official Site: BV Entertainment

SinCity

舞台は中世、フランス占領下のドイツ。村々の民を恐怖に陥れる魔物を退治してまわるグリム兄弟は、人々の間で次第に名声を高めていた。シッカリ者で世渡り上手な兄(マット・デイモン)と、口頭伝承された民話を記録するのが趣味の気弱な弟( ヒース・レジャー)の二人は、実は本物の魔術は信じておらず、仕込みとヤラセで金を巻き上げる詐欺師だった。
しかし、女の子が次々と森に消え不安を募らせるある村の治安維持のため、フランス軍はグリム兄弟を捕らえ、本物の魔物退治へと向かわせるのだが…


フィッシャー・キング 」など数々の傑作映画の演出で有名な一方、参加プロジェクトに混乱と失敗を呼び込むと言う悪名も高いテリー・ギリアム監督の新作。例によってこの作品もすんなり製作されたわけではないようで、MGM 製作の予定がドタキャン。でこれを救ったのがミラマックス創設のワインスタイン兄弟だが、商品性にいささか懐疑的で主演女優に監督の希望するサマンサ・モートンではなくずっと安い無名の英国女優レナ・ヘディを使ったり、製作進行が遅いという理由で、「ラスベガスをやっつけろ 」時代から監督と仲のよかった撮影監督ニコラ・ペコリーニをプロデューサ権限で首にしてニュートン・トーマス・サイジェルにスゲ替えたり、と監督とプロデューサの間もなんだかゴタゴタしていたらしい。(結局、ワインスタイン兄弟は製作完了前にディズニー支配下のミラマックスを去ってしまう)


すごいと思った話は、感性直前にスティーブン・ソダーバーグに作品を見せ、ここは切った方がすっきりすると言われて、もっとも金がかかった CGI カットをばっさりカットしたという逸話。同じスティーブンでも、「宇宙戦争 」を評して「スピルバーグ、各々のシーンはいいんだけど、1本通しての映画作りは下手」なんて貶していたのとは大違い。うーむ。 (*ギリアム曰く、史上最高に金がかかったデリート・シーンがDVDに収録される、だそうで…)


この他にも、製作予算と時期のすれ違いから流れてしまったキャスティング予定者は、ニコール・キッドマン、アンソニー・ホプキンス、ロビン・ウィリアムズ、ジョニー・デップ。この配役なら凄かっただろうなぁ。そういう事が頭にあったせいか、全般にキャスティングには少し疑問が残るし、シネマトグラフィーもいつもの監督作の切れがない印象。

「この映画は思いっきり商業映画に擦り寄ってみせる」との監督の意向のせいか、主演のデイモン&レジャーのコンビは描写が大人しく描かれ方はいま一つ平面的。この二人より、ちょっとしか出ない脇役のフランス軍の方が、いつもの監督流テイスト=イカガワシサに満ちているっても、なんだかなぁ、ですが。
キャスティングで良かったのは"鏡の女王"役の モニカ・ベルッチで、彼女が出てくるシーンは、衣装も撮影も CGI もとても美しくすばらしい出来栄えで満足でした。


脚本は「スクリーム3 」あたりからメキメキと実力を伸ばしてきたアーレン・クルーガー。赤頭巾ちゃんや、白雪姫、ヘンゼルとグレーテルなど、有名な童話のモチーフを散りばめたセンスはなかなか。プロット自体はちょっととっちらかっちゃったかなぁ、という気も。


テリー・ギリアムという事で少し偏った期待を入れすぎたせいか、個人的にはイマイチ物足りない観劇となりましたが、普通によく出来た映画ではあったと思います。80億の大型制作費に対して米国興行はやや苦戦中。日本公開も近いようですが、さてどうなりますか?


IMDb: The Brothers Grimm
Official Site: Miramax


TheBrothersGrimm

ジョン(オーウェン・ウィルソン)とジェレミー(ヴィンス・ヴォーン)はワシントンDCで活躍する離婚調停員。そんな彼らの趣味は「結婚式荒らし」。赤の他人の式場へ知人を装って参加。適当に話を合わせて盛り上がり参加者のなかからめぼしい女性を「お持ち帰り」する、というのが彼らの手口。
ところが名門政治家(クリストファー・ウォーケン)の娘の結婚式はいつもと勝手が違っていた。ジェレミーが狙ったグロリア(アイラ・フィッシャー)はコロリと落ちたものの、積極的で熱烈な逆アタックを受けストーカーまがいの迫り方をされる。一方ジョンが狙ったクレア(レイチェル・マクアダムス)は、容姿端麗、性格も
趣味も申し分ない女性だったが、彼氏持ち。遊び以上の物を感じたクレアを何とか落としたいジョンは、過激さを増すグロリアからなんとか逃げたいジェレミーを説き伏せ、彼女らの実家にしばらく滞在する事にするのだが…


インディ「ムーンライト・ドライブ 」で注目され、「シャンハイ・ナイト 」でメインストリームでも成功したデヴィッド・ドブキン監督が、スティーブ・ファーバーとボブ・フィッシャーの脚本を演出した、お下品ドタバタ・ロマンチック・コメディー。絶頂期のファレリー兄弟作品 の勢いを彷彿させられる作風で、コアにシンプルな純愛モチーフを通しながらも、ドタバタのお笑いは派手目で、お下品さはこちらの想像を突き抜けた過激さ。うーむ、面白い。ユル過ぎず急ぎすぎない演出のテンポの制御が見事でした。


さすが、と思ったのは、例によって、独特のずらしの間で笑いを誘うオーウェンのコメディ・センスと、多彩な芸を見せるヴィンスのコンビネーションの絶妙さ。オーウェンは、「ビック・バウンス 」のような真面目な役も普通にうまいし、コメディでは、いったん、ふっ、と引いておいての押しがうまい。。

先日「Be Cool/ビー・クール 」での、出鱈目なチンピラ役でもヴィンスのうまさは際立っていましたが、今回も冒頭の長回しでエディ・マーフィもを超えそうなマシンガン・トークを披露。

大きく色の違う二人がコンビを組み、ちょっぴり"キワどい"のテーマも含ませて笑いを誘う、大人のコメディ、映画。好きですわ~こういうの。


伝説の男チャズ役で、ちょっとびっくりのカメオも登場。ポテンシャルの高い脚本の上で芸達者の役者が思う存分遊び、ちゃめっけたっぷりに演出された、傑作映画。予算40億、という平均規模の作品ながら現在までに177億の興行収入。公開6週目でまだ4位に留まる健闘ぶり。R指定(18歳未満は保護者同伴)のコメディで初めて150億の興行収入を超えた作品、という事で米国映画界でも注目を集めているそうです。


IMDb: Wedding Crashers
Official Site: New Line Cinema

WeddingCrashers