北海道へ行くきっかけ | 写真家・小澤太一の『logbook』

写真家・小澤太一の『logbook』

小澤太一のなんでもない毎日の記録集

今回の北海道テント旅ではたくさんの人に会って大変お世話になったのだが、その中の一人・小西正敏さんのことも振り返っておきたい。

 

そもそも僕が北海道に行くきっかけになったのは小西さんが大きな要因だろう。今から7〜8年ほど前。僕が『日本カメラ』のフォトコンテスト・ビギナーズ部門を担当していた時に、小西さんは写真を応募してくれていた。ビギナーズとは思えない写真の高い技術と、日本カメラの応募者としては珍しい若さと情熱と、あと根性かな…そんなものを感じて、その年の年度賞の一人に選んだ。その後、別の審査員が担当されたレベルがさらに上のカラープリント部門でも年度賞を受賞したりして…。ルーニィで個展やったり(この時、ギャラリートークを一緒にさせられました・笑)、地元・北海道でも個展やったり…とアマチュア写真の楽しみ方としては大活躍と言ってもいいだろう。

 

その小西さんが日本のことにもあまり興味なさそうな、風景写真もうまく撮れなさそうな僕に…『いつでも北海道遊びに来てください。いろんなところを紹介しますから!』なんて常々言ってくれてたのだが、休みがあるごとに海外にばかり行っていた僕がコロナで海外に行けなくなり、初めて去年の夏、北海道を娘と2週間の『あてのないたび』をした。仕事で短期間ではなく、自分の車で自分の好きなように巡る北海道はなかなか楽しかった。北海道なんてどこでもだいたいすぐだろう…と富良野にいた時に小西さんに急に連絡して遊びに来てくれることになったのだが、どうやら彼の地元からは車でそこそこのスピードを出しても3時間以上はかかる距離らしかった…。東京から言えば長野まで行ける距離。北海道が広すぎるのがそもそも悪いのだが、それでも小西さんは彼の写真のモデルにもよくなっている息子と一緒に遊びに来てくれて、一緒に写真を撮ったりしていい時間を過ごした。

 

『今度は冬にぜひ!』と言ってくれたのだが、僕にとっては鬼門の(?)、冬。寒いところは嫌いなのだ。海外に行くのも基本暖かいところを目指すことがほとんど。なんで寒い思いをしなきゃいけない場所にわざわざ行くのだろう…とず〜っと思っていてその思いは今も変わらないのだが、いろんなタイミングやご縁があって、今年の初めに真冬の北海道、しかも彼の地元を娘を連れずにたった一人で旅をした。たぶん仕事が忙しかったと思うけれど、彼はいろいろ僕の知らない真冬の北海道を案内したり紹介してくれた。きっと仕事もサボったりしたと思う…そのおかげで、僕は彼の地元を好きになった。

 

この夏、小西さんは地元で2つの個展をやるらしかった。僕もたまたま新しいことをしたかった。そういうのはタイミングなのだ。僕は小西さんの個展を見るために初めてテントを買って、そして車に娘を乗せて北海道に向かったのだった。