はじめてのテントたび vol.6 | 写真家・小澤太一の『logbook』

写真家・小澤太一の『logbook』

小澤太一のなんでもない毎日の記録集

東京を出た時にはまだ9月だったのに、いつのまにやら10月になってしまいました。ずいぶんな時間が経ちました。すっかりテント生活にも慣れてきました。『秋が来るまで旅をしていようねぇ〜』と話していたのに、旅の終わりより先に秋の方が来てしまったようです。先日車で超えた峠の目の前に見える標高1661mの立派な山の肌は、すっかり黄色が濃くなってました。

 

そうそう先日、旅先で偶然お会いした方から撮影を依頼される…というなかなか貴重な経験をさせていただきました。こういうことがたまにあったりするから旅って面白いですよね〜。ただの子連れ狼のような親子に撮影依頼って(笑)。もちろん『相手のリクエストには120点で返す!』を目標にしているので、東京で仕事をしているのと同じ感覚で写真を撮りました。東京に戻ってからセレクトや仕上げをしますが、撮っている段階から手応えあったしできあがりも楽しみです。そして旅のご縁に感謝しないと、です。

 

掘り立てほやほやのじゃがいも(しかも5種類も味くらべ)を、農場の大きなソバ倉庫の一角にセットしたカセットボンベのプレートで調理しながら、そこにバターの大きな塊を贅沢に落として食べる…という最高に贅沢な時間を過ごしました。熱々すぎてモロッ子は冷めてからしか食べられませんでしたが。日が暮れると見渡す限りの大きな畑に移動して、薪で焚き火もやりました。畑に入れてもらう機会でさえ普通の暮らしの中では貴重な経験なのに、そこで焚き火できるなんて!モロッ子よ、これが当たり前だと思って、勝手に畑に入ったり、じゃがいも掘ったり、焚き火したりするなよ(笑)。

 

今まで雨が降ったり天気が相当悪い日も何度かありましたが、昨日は雨もそこそこですが、風が相当強かったです。天気予報を見ると9mなんて出てたのですが、海に面した崖っぷちにあるキャンプ場ということもあり体感的にはもっとある感じ。テントの中にいても、何度か強風の時にテントごと浮かび上がるような感じがありましたから。そんな中、朝に車で撮影に出発しましたが、ちょっと心配になって昼過ぎにテントに一度戻ってきたら、まさかテントが崩れていました。こりゃ骨が折れたのか?…と思ったのですが、どうやら骨は大丈夫そう。きっとうまく途中で折れたりして壊れないような仕組みになっているんですね。すごいなぁ、テント。とはいえ、そんな風と雨がすごい中でテントをもう一度組み立てるのはなかなかシンドイですね。うっかり隣に見えるバンガローに泊まりたくなってしまいましたが、さて、いかがなものか…と天気予報を見ながら夕方になると少し風が収まる…という予報にかけて、倒れたテントを目の前に車の中でモロッ子とお絵かきしながら待機。夕方、暗くなるまで残り30分ほどで風がやや弱くなったので、テントの場所を変えながらもう一度なんとか組み立てることができました。モロッ子にもだいぶ手伝ってもらいましたが、完成したのがわかると『やったね、これできょうはてんとでねられるね!きょうはびーるのんでもいいよ』と充実感のある顔。そういえば旅に出てから一度もビールを飲んでなかったと思うので、夜に温泉に浸かってからビールを飲みました。モロッ子、今日はよくがんばった!

 

余談ですが、今回の旅でモロッ子ができるようになったことがもうひとつあります。それは和式便所でのトイレのやり方(笑)。経験と成長って大事ですね。モロッ子もひとつ大人になりました。