旅の終わりに…写真展へ向けて。 | 写真家・小澤太一の『logbook』

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小澤太一のなんでもない毎日の記録集

約二週間のレソト王国での滞在も、本日が最終日。

2011年夏にキヤノンギャラリーで開催した、
アフリカの孤児院をテーマにした写真展『チビッコハウスへようこそ!』の舞台でもある
このレソト王国で、僕は写真展開催後も毎年何度か足を運びました。

これは今回もお世話になった、チビッコハウスにある僕のベッド。
ここで寝泊まりさせてもらっています。
夜は氷点下だし、暖房はないし、凍えてなかなか眠れない夜もありました…。


前回の写真展『チビッコハウスへようこそ!』は、レソトの首都・マセルにある、
小さな孤児院のとても狭いエリアだけで撮った写真展でしたが、
その写真展後、僕は初めてチビッコハウスから外に出て、
レソトの国中を旅するようになりました。


四国よりちょっと大きく、九州よりも小さい…
そんな大きさのレソトという国は、国中全土が1500mを超え、
山に行けば3000mを超えるなんてこともザラな、言うなれば山だけの国です。
小さな国ですが、山ばかりの道で道路も悪く、ちょっと田舎に行こうとすると、
すぐに6~7時間の車移動になってしまいます。

毎度レソトに行くとわざわざ足を運んでいるオールドドクターにも、
『ドクター、元気?』と会いに行きました。
オールドドクターは86歳ですがめちゃめちゃ元気で、
毎度レソトで取れたダイヤモンドを僕に見せてくれて、
そして売ろうとします(笑)

『いくら??』聞くと、今までは5万でしたが、
今回見せてくれたのは4万でいいと言われました。
ちなみにドクターの家まで、車で6時間かかります。


そんなことで、2週間で5000キロを超えるレンタカー移動をしました。
日割りすると…毎日東京から名古屋に通っているようなものです。
しかも高速ではなく、山道を。

被写体との出会いを求め、小さな国中いたるところを旅し続けました。

一緒に遠征の旅に出た、孤児院のみんなと記念写真。

レンタカーはフォルクスワーゲンのPOLOという車を借りました。
今回は初めてオートマを借りることができたのです。

アフリカでもオートマ、あるんですね。

ちなみにこのレンタカーは山道でタイヤがパンクしたり、
ウインドウスクリーンが飛び石で大きなヒビが入ったりで、
まぁ、それなりに大変でした。

でも、オートマって便利だな、次もこれにしようと思いました。


レソトは南アフリカの中にある内陸国という、かなりユニークな立地ですが、
今回の旅では初めてレソトから陸路で国境を越えて、南アフリカも見てみました。
そしたら、まるっきり違うんですよね。

レソトは山ばかりですが、南アフリカは景色がとてもフラットです。
レソトは道がでこぼこですが、南アフリカはとても走りやすいです。
レソトはどこへ行っても田舎の村のようですが、南アフリカはどこも都市化されています。
レソトはレソト人しかいないように見えますが、南アフリカでは白人もよく見ました。
レソトはレソトの通貨(マロチ)と南アフリカの通貨(ランド)が使えるけれど、南アフリカでは自国のものしか使えない。

内陸国で、国中に南アフリカへの国境が至るところにあるので、
すぐに南アフリカに行こうと思えば行けるのに、
ここまで見た様子が違うのには驚きました。

だからこそ、レソトが『レソト王国』であるわけなんですがね。

今年に入って二回目のレソト滞在。
三月にも約2週間レソトに滞在し、そして今回もまた2週間…

じつは、これまで数度と三月に滞在した時の写真をまとめて、
あるギャラリーの公募に作品を提出してみました。

みなさんご存知がわかりませんが、多くのメーカー系のギャラリーは、
公募で写真展作品を募集し、それで開催しています。

もちろん僕がこれまで2009年、2011年にキヤノンギャラリーで開催した写真展も、
公募での審査を通ったからこそ、開催することができたのです。

お金を出して借りることができるレンタルギャラリーとは違い、
ある種、腕試しのようなところもあり、開催時期も自分の思うように選べなかったり、
発表の内容やその展示形態、撮影機材の面などで
いろんな制約があったりすることもあるのがメーカー系ギャラリーならではなのですが、
それでも写真家にとって、集客力がレンタルギャラリーの比じゃないほど多いのも魅力だし、
審査という作品を見て選んでもらったというのはステータスにも繋がるし、
なによりやっぱりいろんなことに挑戦していたい気持ちも常に持ち続けたいんです。

三月までで撮影した作品でポートフォリオと呼ばれる作品集を作り、
『ダメだったらしょうがないや』と半ばチャレンジ気分で公募に出してみたのです。

なにせ今だからこそ書きますが、公募締め切り日の前日に、
わずか一日でプリントしまくって、それでポートフォリオにまとめたんですから…。

それくらい公募の締め切りギリギリまで出そうかどうか迷った末の、
やっとの応募だったのです。

なにせ、三月末という年度末の忙しい時期に加え、
落ちたらやっぱり凹むじゃないですか(笑)


でも、結果がわかった今言うのはフェアじゃないとは思うけれど、
落ちたらまたチャレンジすればいいだけです。
何事も応募しないと始まらないわけですから。

2012年以降は世間的にはなにも作品を発表していなかったように見えてしまっているコザワですが、
今年は撮りためた作品を発表する年と気合いを入れて決めて、
上半期からこっそり動きだしたのでした。

名刺の肩書きにも『写真家』なんて名乗っているからには、
やはり作品を作っていてナンボだと思うし、
多くのホントの意味での『写真家』のみなさんからの姿勢や言動からも、
【写真家にとって作品がすべて!】だと教えていただいているからです。

2月末締め切りのキヤノンギャラリーでの公募による審査に通って、
10月16日~22日まで赤道の島国をテーマにした写真展
を開催できることになったのはすでに発表済みですが、
3月末締め切りの、別のギャラリーの公募にも出して…
そして来年2月10日~20日まで、
このレソト王国をテーマにした写真展を開催できることになりました。

写真展の開催が決まったからこそ、
展示のイメージもこれまでよりはっきりと掴みやすくなり、
だからこそより必要なカット、もっと狙いたいカットも見えてくる…
こともあるかもしれない!?…
これまでの作品で写真展はすでにできるチャンスは得たのですが、
よりいいものにするために、もう2週間滞在してみたわけです。

今回撮った写真は、毎日バックアップだけ取って中身はまるで見ていないので、
どれほど写真展に展示されるかわかりませんが、
それでもこだわってもう一度レソトに足を運びトライしてよかったな、
そう思える撮影機会は何度かありました。

ありあまるほどのたくさんの時間を過ごし、
いろんな出会いがあった今回のレソト王国での滞在。
レソトの人はとてもフレンドリーで、
いきなりの訪問にも、みんな気持ちよく対応してくれました。

写真まで撮らせてもらったうえに、
『これ、持ってけ!』とお土産までいただくことさえ、何度もあったのです。


2週間で撮った約20000枚近くのカットの中から、
10枚くらいは写真展で使えるカットがあればいいなぁ…なんて思っていますが、
さて、来年の2月、どうなっているのでしょうか?

ということで、来年の写真展…
開催場所は…新宿・コニカミノルタプラザ
一番奥のデカいCギャラリーです。

じつはちょうど来年のCP+の時期とドン被りしますガーン

この山ばかりの国で、どんな出会いがあり、
コザワは何を写真に残りしたのか…
ぜひみなさんのお越しを心よりお待ちしております。