【国立西洋美術館】
「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」
会期:2022/10/8(土)~2023/1/22(日)
昨年の10月から開催していたピカソ展も、残り数日となりました。行ったのはブログ始める前だったので、今になって投稿、、、
パブロ・ピカソ、パウル・クレー、アンリ・マティス、アルベルト・ジャコメッティ・・・の作品が並び、豪華で贅沢な展覧会一部を除いてほとんど、撮影でした。
この展覧会は、ドイツベルリン国立ベルクグリューン美術館から、ピカソと同時代に活躍した巨匠たちの作品が来日。ベルクグリューン美術館の改修を機に実現。
76点が日本初公開。その半数がピカソ。ドイツ生まれの美術商ハインツ・ベルクグリューンのコレクションです。
この4名の彼らが共通して師と仰いだモダンアートの祖ポール・セザンヌの作品も。
1906年頃《庭師ヴァリエの肖像》Paul Cézanne
⇧《セザンヌ夫人の肖像》もありましたが、庭師の背景だけに色彩があるこの作品が好きでした
作品が数多くありましたが、ほんの一部だけご紹介
パブロ・ピカソ
Pablo Picasso
1942年《眠る男》Pablo Picasso
⇧展覧会の最初は。こちらのピカソ
日本初公開 1905年《座るアルルカン》Pablo Picasso
⇧“アルルカン”とは道化師のこと。ピカソ20代の作品。暖かな色調を用いたこの頃は「バラ色の時代」と呼ばれる。スペイン出身のピカソはこの頃、パリに定住することを決めたばかりで、道化師に異邦人として生きる決意をしたピカソの心情が重ねられているといわれる。
1914年《グラスとトランプのカードのある静物》
(マックス・ジャコブへのオマージュ)Pablo Picasso
⇧ピカソ30代で描いたキュビズムの作品。画面に書籍の予約表などを張り付けている。コラージュはピカソが友人のジョルジュブラックと生み出した新しい手法。
1916年《ギターと新聞》Pablo Picasso
⇧ギターを描いた作品が他2点ありました
日本初公開 1919年《窓辺の静物、サン=ラファエル》Pablo Picasso
1937年《サーカスの馬》Pablo Picasso
⇧「ゲルニカ」の数か月後に描かれた作品。鞭を手にした赤い服の男と抵抗する馬。
暴力性や野蛮さが表現されるが、この馬も暴力による受難の象徴ともとれる。
日本初公開 1936年《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》Pablo Picasso
⇧ピカソ50代の作品。描かれている女性はシュルレアリズム写真家のドラ・マール、ピカソの恋人の一人。余白を強調した大胆な構図。
日本初公開 1939年《黄色のセーター》Pablo Picasso
⇩ドラ・マールの肖像。以前の恋人マリー=テレーズの面影とも!?
堂々を座る女性。正面、横向きの目鼻が組み合わされた頭部やごつごつした両手にはピカソ特有のデフォルメ。黄色いセーターは装飾的効果がある反面、自由な身動きを阻んでいるようも見え、戦争開始直後のピカソとドラの不安や恐怖を伝えている。
日本初公開 1942年《大きな横たわる裸婦》Pablo Picasso
⇧ピカソに大きな影響を与えたのが戦争。パリは第二次大戦中ナチスドイツに占領される。フランスでの作品発表を禁じられながらもパリにとどまり、ひっそり制作を続ける。この裸婦像はあのゲルニカと同じように戦争と向き合った作品だといえる。
ゲルニカは犠牲者や馬や牛が叫び声を上げ感情表現をだしているが、それに比べ、戦時中のこの作品は、絶望の中で叫び声も上げられないような圧迫された戦時下の状況が現れている。
閉ざされた部屋の中で横たわる女性の身体は曲げられ、両脚は死を意味する骨の紋章のように交差。彼女は眼を閉じて眠っているように見えるが、その握り拳はぎゅっと固く握られ、眠りの中でさえ苦しみから解放されることがないことを物語っている。
パウル・クレー
Paul Klee
1917年《黄色い家の上に咲く天の花(選ばれた家)》Paul Klee
⇧黄色の家の上に空に向かって大らかに花を咲かせる植物。クレーが兵役に服していた第一世界大戦中に制作した。破壊された軍用機翼部の亜麻布の上に描いたと書き残している。兵舎から天を青い植物は飛行機をイメージし、黄色の家の前には「K」の文字(クレー自身!?)。厳しい現実世界から生命の開花への希望を託したかのよう。
日本初公開 1917年《青の風景》Paul Klee
⇧色彩の響き合う世界を描き続けたパウルクレー30代の作品。当時のクレーは浜辺を散歩することを好み、変化する自然の魅力に惹かれていた。細かい点や線を書き加えられた家々、村の光景。
1923年《平面の建築》Paul Klee
1927年《植物と窓のある静物》Paul Klee
1924年《口数の少ない倹約家》Paul Klee
⇧タイトルが面白いと思って📷。口数の少ないクレーの自画像・・・。
記号のような「Krg」「Wrt」「Sp.」の文字はドイツ語「Karge(口数の少ない)」「Worte(言葉)」「Sparsamen(倹約家)」に対応する。T字を天秤に重ね合わせ、見開いた大きな目と小さな口は、外界を捉え多くは語らず肝要な点は心に受け止める、外への眼差しと内省のバランスの重要性を示す。
1931年《モスクの入口》Paul Klee
⇧1931-32年は集中的に点描に取組む。3400を超える小さな升目のひとつひとつに水彩絵具で彩色が施されている。骨の折れる作業だったためスタンプのような道具を作り制作する。暖色と寒色、明と暗のコントラストで奥行感をもたらしている。
1939年《子どもの遊び》Paul Klee
⇧楽しそう~ 癒される~
アンリ・マティス
Henri Matisse
1920年《室内、エトルタ》Henri Matisse
⇧1920年の夏、マティスが妻と娘で訪れたノルマンディー地方の浜辺の町エトルタ。手前に娘、開いた窓からは海と空と船や人々。穏やかな光と室内を描く。窓を伴う室内画を繰り返し手掛ける画家自身が、窓は内部と外部をつなぐ重要なモティーフだったと語っている。
1929年《ニースのアトリエ》Henri Matisse
⇧こちらも窓ですね
日本初公開 1943年《雑誌『ヴェルヴ』第4巻13号の表紙図案》Henri Matisse
⇧色彩の魔術師とうたわれるアンリマティス70代の作品。色のついた紙を切って貼り合わせた切り紙絵。ハサミで切るマティスの手の動きが生み出したリズミカルな形。
1945年《⻘いポートフォリオ》Henri Matisse
⇧これも室内画
1947年《家に住まう沈黙》Henri Matisse
⇧このも室内。窓。
1952年《縄跳びをする青い裸婦》Henri Matisse
⇧晩年は生命感あふれる女性像の表現に達する。“ブルーヌード”とも言われる。余白や隙間を入れることで量感・立体感を表し、平面的、簡略的に変わっていく。
アルベルト・ジャコメッティ
Alberto Giacometti
日本初公開 1948-49年《広場Ⅱ》Alberto Giacometti
1956年《ヴェネツィアの女 Ⅳ》Alberto Giacometti
⇧細長く引き伸ばされた女性立像のバリエーションのひとつ。
1956年《男》Alberto Giacometti
1960-61年《ヤナイハラI》Alberto Giacometti
アルベルト・ジャコメッティは彫刻と絵画において、自分の目に見えるままの人間を表すという課題を追求し、脆さを抱えながらも空間の中で確かな存在感を持つ人間像を生み出す。
最後にまたピカソ。第二次大戦後のピカソ
1970年《闘牛士と裸婦》Pablo Picasso
第二次世界大戦後は、過去の巨匠たちの作品を解釈することに取り組み、晩年はエロスの大らかな表現を自由に追求していく。
一連のピカソの作品を見ると、ピカソがめまぐるしく作風が変化したことで知られている意味がよくわかるようでした。
作品だけに目がいきがちですが、今回の展覧会では額縁も見どころ。
ベルクグリューンは作品を購入すると、アンティークの額を探し出し、こだわった厳選した額縁と組み合わせました。ここにも注目です
ただそのこだわりを理解できない私
こういうのが人の持つ”センス”というものなのでしょうね。まだまだセンスがない私でした
購入したポストカード グッズもユニークなものが多かったです
贅沢な展覧会。あと数日、観てない人はぜひ
(2022/10 撮影)