原因を探る5「ベンチャーブーム」
1990年代前半、店頭公開基準の緩和や
官公庁主導のベンチャー支援策などにより
日本に「第三次ベンチャーブーム」が巻き起こりました。
さらに1990年代後半以降、
マザーズやナスダックジャパン(現ヘラクレス)の創設を機会に、
株式公開を目指すベンチャー企業が急増。
テレビや新聞の経済ニュースに若手起業家が連日登場するようになり、
経済雑誌を見ても、大手企業の社長より
ベンチャー企業の社長の方が多く掲載されています。
実力のある若者が、短期間で急成長をとげる様子を見て育った彼らには、
「仕事に年齢は関係ない」というイメージがあります。
したがって、会社に入ってからも
「部長だから偉い」とか「顧客先の社長だから偉い」
といった感覚がありません。
また、インターネットを使いこなす彼らは
上司より知識が豊富な場合が多々あり、
自分が知っていることを知らない上司を軽蔑したりします。
「知っている」を「できる」と勘違いしているのです。
「ベンチャーブーム」という環境がつくった『人の特徴』
●社会の常識を知らない
●年上に対する尊敬の念がない
●公私の区別がつかない
原因を探る4「バブルの崩壊」
1990年にバブルが崩壊し、
2000年まで複合不況が続き(失われた10年)、
2002年から景気が少し好転したものの(いざなみ景気)、
2007年に端を発した世界的な不況に巻き込まれ、
いまだ先が見えない日本経済。
20代前半の若手社員は、生まれてから今まで
「景気がいい」時期をあまり経験したことがありません。
父親がリストラされた、母親がパートに行きはじめた、
友だちの両親が経営する会社が倒産した、
といったことは、日常的に身の回りで起こり、
銀行や証券会社や上場企業など大手企業の破綻が
たびたび報道されるのを目にしています。
加えて、阪神大震災、地下鉄サリン事件、
若者による残虐な殺人事件、アメリカの同時多発テロ。
こんな世の中で育った彼らは将来に不安を抱えています。
「何が起こるか分からない」「永遠に続くものはない」
そう考えているのです。
会社には期待しない。信じられるのは自分だけ。
だから、自分が成長できる会社を選ぶし、
自分のためになる仕事しかしない。
そんな傾向が見られるのです。
「バブルの崩壊」という環境がつくった『人の特徴』
●自分の成長には貪欲
●自分にとって無駄なことはしない
●やりたいことができる会社を選ぶ
原因を探る3「少子化」
シックス・ポケットという言葉をご存知ですか?
子どもには6つの経済的なポケットがあります。
それは、両親と、両祖父母の計6人の財布のこと。
子どもや孫に高額の衣料や小物などを買って与えることを表す言葉として、
百貨店やアパレル業界などで使われています。
少子化の影響で、一人の子供に多くのお金をかけられるようになりました。
子どもたちは両親や祖父母から愛情を注がれ(お金も注がれ)、
必要なものはすべて与えられて育ってきたのです。
欲しいものを手に入れるために、工夫したり発想したりする必要もないため、
「自分で考える」能力が低下してしまいます。
また、過保護な環境で育てられたため、
失敗経験が少なく、環境の変化にも弱い傾向があります。
「少子化」という環境がつくった『人の特徴』
●自分から行動しない
→用意されているのがあたりまえだと思っている
●発想力・創造力がない
→ただし、言われたことは真面目にやる