NO.3057 運行休止から間もなく6年です、平成30年「ぎんなん号」熊本→北九州最後の乗車記録 | コウさんのコウ通大百科 PART3

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(平成24年1月〜平成30年3月の記事はPART2の内容です)

 
 ご覧の皆様の中には、かつて熊本~北九州間の高速路線バスとして、「ぎんなん号」と呼ばれる高速路線バスが存在していた事はご覧の皆様もご存知の方もいらっしゃるのではないかと思います。
 

 この「ぎんなん号」とは、平成元年に西鉄バス・九州産交(→九州産交バス)の2社で9往復で運行を開始しておりましたが、運行開始時は休止末期時のような3列シートによる運行でありました。

 

 当時は、「ぎんなん号」自体も多くの利用者を得ていたようでありまして、当時存在しておりましたJR特急「有明」「つばめ」とと争う立場でもあったほどでありまして、平成11年には、積み残し対策としまして全車が4列シートに置き換えられました。

 

 そのため、西鉄バスは上の画像1の西日本車体(西工)S型の三菱エアロバス(3326・KC-MS829P)が、九州産交では画像2の三菱エアロバス(熊本22か32-88、KC-MS829P)が「ぎんなん号」専用車第3世代として使用されておりました。

 

 

 しかし、平成22年に西鉄バスが撤退しまして、九州産交バスの単独運行となり、本数は平日6往復・土休日7往復での運行となりました。この西鉄バスの撤退は、この時施行されておりました「高速1000円」の影響を受けていたとの事でありまして、そう言った事から九州産交バス単独運行へと至っておりまして、単独運行後も4列シート車が使用されていた事もありましたが、その後は他路線(南九州・西九州路線)から転用されました日野セレガ・三菱エアロバスの3列シート車が使用されておりました。

 

 (熊本22か30-25、三菱U-MS826P)

 

 (熊本22か31-57、日野KC-RU3FSCB)
 
 
 平成27年には、本数が3往復に減便されまして、料金もカレンダー運賃を採用するようになりまして、平日(月曜~木曜)は通常運賃3290円を最安で「平日割引」が2780円「WEB早割7」を利用しますと平日2640円、金・土・日・祝日が3130円、「WEB割」が平日2720円金・土・日・祝日が3220円でそれぞれ利用できるようになっておりまして、早割運賃はクレジットカード決済であるならば割安で利用する事も可能になっておりまして、総合的には平日の利用がお得となっておりました。

 

 

 そして平成29年には、北九州側におきまして、これまでの小倉(砂津)発着から新門司港発着に改まっておりまして、新門司港を発着します大阪南港へ運航されております名門大洋フェリー利用者に向けたもので、新門司港には九州産交バスのバス停まで設けられていたほどでありまして、後述のように日野セレガの専用車には名門大洋フェリーのラッピングも公式側に貼り付けられておりまして、「ぎんなん号」と名門大洋フェリーと一体化している所も見られておりました。

 
 (パンフレットより)
 
 
 さて、今回ご紹介しますのは、運行休止前にあたります平成30年11月の平日に利用しました、「ぎんなん号」九州産交バス便最後の乗車の模様を皆様にご紹介してまいります。
 
 (熊本22か31-58)
 
 
 ここからはこの時の乗車時の模様をご紹介してまいります。私は、乗車にあたりまして事前に先述の運賃の所でご紹介しました「WEB割」で購入しておりまして、平日であった事から通常運賃3290円を2720円で利用する事ができておりました。正直、もう少し決行が早かったら「WEB早割7」でさらに安くなっていただけに(2640円)、これは少々惜しかった所であります。
 
 (アップ)
 
 
 こうして、最後の「ぎんなん号」乗車のため、当時の熊本交通センターから小倉駅前まで乗車します。この時の乗車となりました車は、熊本22か31-57でありました。
 
 
 熊本22か31-57の車内です。車内は先述のように3列シート車となっておりまして、Wi-Fiも装備されておりましたが、このタイプに関しましてはコンセントは装備されてはおりませんでした。
 
 (車内で楽しめていた、Wi2Wi-Fi)
 
 また、各座席には熊本県のゆるキャラ「くまモン」の姿を見る事ができておりました。今回は3種類に関しましてご紹介しておりますが、「くまモン」のかわいらしい姿がそれぞれ見受けられていた事もお分かりいただけるのではないかと思います。
 
 さらに、各座席には名門大洋フェリーのパンフレットが置かれておりまして、フェリーに関します案内も見られておりました。しかし、このようなフェリー接続と言う形もこの時もうあとわずかである事を思いますと、正直残念でならない所でもあったように思います。
 
 
 さて、この日乗車しました肝心の今回の便(熊本交通センター16時30分発)の乗客は、熊本駅から1名、熊本交通センターからは私のみ1名、通町筋1名、味噌天神1名、熊本県庁前1名の計5名が乗車しておりました。この時、熊本県庁前のイチョウの並木の姿を車内で収める事ができておりましたが、散っている姿を見ますと冬が一歩ずつ近くなっている事を伺わせておりました。
 
 しかし、以降の自衛隊前~菊水インター間の乗車はなく、ここまででわずか5名(しかも、私以外女性)でありました。やはり平日はこれだけの乗客しかいらっしゃらないとなりますと、それほど九州新幹線に押されてしまっている事も伺わせる所でもありました。
 
 
 こうして、乗車もないまま「ぎんなん号」は画像の菊水インターを発ちまして、北九州へ向けて九州自動車道を北上してまいります。それにしても、夕方5時半過ぎで暗くなってきておりましたので、それだけ日の入りもこの11月は早くなっている事もわかります。
 
 
 菊水インターから約25分走りまして、「ぎんなん号」は福岡県広川町の九州自動車道広川サービスエリアに到着します。ここで何と30分もの長い時間休憩を行います。尚、この日は約7分遅れて運行されておりましたので、休憩時間は23分に短縮されておりましたが、それでも正直長~い休憩であった事には間違いなかったでしょうか。
 
 
 この長い休憩時間を生かしまして、様々な撮影を今回は行っておりました。上の画像にありますように、車の前後を収めましたり、名門大洋フェリーに関します側面部分を収めたりもしておりました。と言いますのも、この車自体も休止後どうなるのかがわかりませんでしたので、収められるうちに収めておこうと言う私の思いでもありました。
 
 
 こちらは、「ぎんなん号」の前面・側面の行先です。実は私自身この「小倉・新門司港」の行先は初めて収めておりまして、まさに最後の利用でようやくこの行先を収めるに至っておりました。それにしても、この時前面はくもっておりましたので詳しく収める事はできませんでしたが、側面に関しましてはうまく収める事ができておりましたので良かったと思っております。
 
 (前面)~一部くもっています
 
 (側面)
 
 
 所で、今回の休憩場所であります広川サービスエリアと言いますと、最も知られておりますのが以下画像の下り線でありますが、今回は北九州へ向かいますのでその下の画像の上り線であります。こうして見ましても、下り線・上り線と見た目も広さも違いますが、それでも重要なサービスエリアである事には間違いないようであります。
 
 (下り線)~この時時間がありましたので撮影
 
 (上り線)
 
 
 さて、時間が迫ってまいりましたので車内へ戻ります。ドア際には、「ぎんなん号」の休止のお知らせに関します貼り紙がありまして、この11月30日で休止する事を伺わせておりました。
 
 この車日野セレガの運転席です。この車自体はフィンガーコントロールでありますので、ハンドルの左側にはそのシフトレバーが見られるのがわかります。それにしても、この車自体ももう100万キロ以上は走っていた訳でしょうから、それを操る場所として20年以上にわたって使ってきていた事がこの姿からもわかるのではないかとも思います。
 
 
 それ以降は、高速基山・宇美の各バス停でも乗車客はいらっしゃらず、結局わずか5名でこの日熊本交通センター16時30分発の「ぎんなん号」は確定しました。本当に、利用客減少の話は聞いてはいましたが、平日と言う事もありまして、これだけの乗客しかいらっしゃらないと言うのは残念ではありましたし、運行休止も仕方がない所ではなかったかと思います。ちなみに、過去には4列時代に私も含めまして2名と言う時もあったほどでしたが(平成20年乗車時)、そう言った「ぎんなん号」での一桁での利用は久しぶりでもありました。
 
 
 若宮インターからは降車のみとなりますが、この日はその若宮インターから直方パーキングエリア・高速千代ニュータウンバス停での降車客はいらっしゃらず、黒崎インター引野口・三萩野の各バス停で各1名の降車客があったほどでした。それでも、この便では予定変更で降車客がいらっしゃる場合を想定しまして、各停車バス停には停車を行っておりました。
 
 (黒崎インター引野口バス停)~ここで1名の降車客あり
 
 (三萩野バス停)~ここで1名の降車客あり
 
 (平和通りバス停(撮影場所は平和通駅側))~ここでは降車客なし
 
 
 こうして、途中の渋滞もありまして、予定より約10分ほど遅れまして、約3時間30分で小倉駅前に到着しまして、最後の乗車を終えました。ここでは私を含めまして2名の降車客がいらっしゃいまして、もう一人の方も小倉駅方面へ足早に去って行かれておりました。尚、もう1名の乗客は次の砂津バスセンターか終点であります新門司港いずれかへ行かれていたようでしたが、既にフェリー接続もないため、恐らくは前者(砂津バスセンター)の可能性が高かったようであります。
 
 (砂津バスセンター・新門司港へ向けて、1名の乗客を引き続き乗せて発車)
 
 
 その後、平成30年11月30日をもちまして、「ぎんなん号」は休止、そして去就が注目されておりました「ぎんなん号」専用車は、廃車情報も聞かないまま他路線に転用・イレギュラー運用される姿が見られておりました。
 
 しかし、令和2年までに全車運用を離脱・廃車となっております。こちらの画像は、令和2年9月訪問時に九州産交バス西部車庫で撮影しました運用離脱しましたセレガ3台でありますが、このうち熊本22か31-54におきまして新門司港行きの行先が見られておりまして、まさに最後の最期にそう言った行先の姿が見られるに至っておりました。
 
 (熊本22か31-54)~この車で新門司港行きの行先が見られておりました
 
 
 今回は、平成30年のこの「ぎんなん号」運行休止前最後の乗車の模様をご紹介しましたが、休止が発表された際は、私自身も驚きは隠せないものでもありました。そんな「ぎんなん号」も、タイトルのように運行休止から間もなく6年になりますが、福岡市内を経由せずにダイレクトに行く事ができていただけに、こんないい路線がなぜこんな事に・・・とも思う所でもありますが、それほど九州新幹線の影響は大きかったのではないかとも思ってならない所ではないかと思います。ご覧の皆様も、こんな路線があったんだと思われた方はいらっしゃるのではないかとは思いますが、これで存じていただければとも思っております。