佐賀県鳥栖市のＪＲ九州田代駅に隣接する所に、ＪＲ貨物の鳥栖貨物ターミナル駅が設けられておりまして、工場が多い鳥栖地区・福岡県久留米地区を中心とした貨物を請け負っております。
この鳥栖貨物ターミナル駅からは、鹿児島線と長崎線との分岐点でもある事もありまして、下り列車では鹿児島線では熊本貨物駅・鹿児島貨物ターミナル駅などへ、長崎線では鍋島駅へ、上り列車では鹿児島線・長崎線からの列車からも含めまして、東京貨物ターミナル駅や大阪貨物ターミナル・百済貨物ターミナル・名古屋貨物ターミナル各駅へも運行されてもいまして、多くのコンテナが積載されている姿も見られております。
そんな鳥栖貨物ターミナル駅が設けられる以前は、平成２年にＪＲ貨物が田代駅に貨物駅を設けておりましたが、九州新幹線の工事に伴いまして久留米駅の貨物機能が廃止されて以降は鳥栖に集約される事になりまして、平成１８年にレールセンターが遠賀川駅に移転した事（現在は廃止）で駅機能が拡大されまして、新たに鳥栖貨物ターミナル駅として現在に至っております。
さらに昭和時代には、後述の画像にもありますように、鳥栖駅の東側に大規模な操車場をも設けられておりまして、鹿児島線・長崎線などの貨物列車の中心駅としても存在してもいましたが、昭和５９年に廃止、以降跡地は画像奥に見えております、Ｊリーグ「サガン鳥栖」の本拠地であります「駅前不動産スタジアム」や、「サンメッセ鳥栖」などの施設に改められております。
さて、今回ご紹介しますのは、鳥栖駅に隣接します以下画像の「フレスポ鳥栖」がある所はかつて工場が存在しておりました。そして、その工場へ専用線も存在しておりましたが、現在は道路化されております。今回はその工場・廃線跡の現状に関しまして皆様にご紹介してまいります。
それが現在の「フレスポ鳥栖」の所には、かつて現在は「ＪT」とも称します、日本たばこ産業（←日本専売公社）の鳥栖工場が存在しておりまして、たばこの生産が行われておりました。
しかし、福岡県筑紫野市に工場が移転した事に伴いまして（現在はこの工場も閉鎖）、昭和６１年に工場が閉鎖されまして、専用線自体も廃止されております。
ちなみに、かつては全国にたばこ工場が点在しておりまして、九州にも鳥栖工場のように鉄道線沿いに工場・輸送センターが設けられまして、専用線も存在しておりましたが、九州内はすべて廃止されております。画像は鹿児島中央駅南側に存在しておりました鹿児島流通センター跡地に存在した専用線でありましたが、実際に貨物ホーム等が存在していた事がわかります。尚、こちらは現在はＪＲ九州系のマンションが設けられておりまして、このような姿は見られなくなっております。
（いずれも平成２５年撮影）
では、廃線跡をご紹介します前に、国土交通省の「地図・空中閲覧サービス」より、廃線跡の図をご紹介してまいります。画像は昭和５５年当時の画像でありますが、赤線部分が専用線跡でありまして、実際に線路が存在しておりました。ちなみに、画像右側には先述の鳥栖駅・操車場がまだ稼働していた頃でもありましたので、貨車の賑やかな姿が見られていた事もお分かりいただけるのではないでしょうか。
こちらが廃線跡であります。現在は道路化されておりますが、以下画像が奥に「フレスポ鳥栖」となりまして、奥の林を少しカーブしまして、「フレスポ鳥栖」の裏手の所まで線路が延びておりました。尚、「フレスポ鳥栖」は、かつては「ジョイフルタウン鳥栖」とも称されておりましたが、核店舗の寿屋が倒産、その後イオンが進出しましてジャスコ鳥栖店が入居しておりましたが閉店しまして、現在はサンリブが入居しまして現在に至っておりまして、さらに「ＴＳＵＴＡＹＡ」や「スターバックス」なども入居しております。
こちらが、鳥栖駅に通じる県道２０５号線との交差部分であります。「フレスポ鳥栖」側は引き続き道路が続いておりまして、ここに線路があったと言う印象は感じられません。
さらに、撮影場所の反対側には結婚式場（「ララシャンスベルアミー鳥栖」）が設けられておりまして、より面影はみられなくなっておりました。かつての線路は、ちょうどその下の画像にありますチャペル部分に設けられていたようでありまして、それから田代駅方向へ突っ切ったような形で線路も設けられておりましたが、もちろん面影は見られなくなっております・・・。
（ちょうどチャペル部分に線路が存在していたようです）
今回は、かつて存在ました日本たばこ産業旧鳥栖工場の専用線廃線跡の現状をご紹介しましたが、現在は専用線跡は道路化されているものの、面影自体も見られなくなりまして、かつて専用線が存在した事さえも伺わなくなっております。やはり、専用線の廃止からも３０年以上経過している今でもありますので、ご覧の皆様の中にも線路はおろか、工場自体が存在していた事を存じる方もそう多くないのではないでしょうか。しかし、上の航空写真からもかつて存在していた事が存じてはいましたので、今回ご紹介しました事で、これでこの専用線・工場自体が存在していた事を存じていただければと思っております。
